{"product_id":"9784756626998","title":"宮廷芸術家","description":"レオナルド・ダ・ヴィンチは、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァ（イル・モーロ）に仕えた宮廷画家であった。絵画制作にとどまらず、祝祭の演出、軍事技術や機械設計、建築的構想にまで関与し、宮廷における芸術家の職能を著しく拡張した。彼の素描に見られる人体比例の研究と工学的発想との結びつきは、宮廷において要請された知の総合性を端的に示している。こうした活動に照らすならば、宮廷とは単なる制作依頼の場ではなく、芸術家の知と技術が総動員され、それが政治的・象徴的実践へと組みこまれる場であったことが浮かびあがる。一方、ベラスケスとプッサンは、一七世紀ヨーロッパにおける宮廷芸術家のあり方の二つの極を体現している。一人は宮廷の最深部に身を置きながら、自らを宮廷の視覚秩序の内部へ描き込んだ画家であり、他方は宮廷を離れ、ローマという外部に立ちながら、その不在ゆえに後代の宮廷制度や王立絵画彫刻アカデミーにおける「規範」となった画家である。両者の歩みは対照的であるが、いずれも宮廷芸術家という概念を固定的な制度に還元するのではなく、その輪郭を内側と外側から揺さぶっている点で一致している。「宮廷芸術家」は宮廷という制度に一義的に回収される存在ではなく、宮廷、都市、市場、宗教、国家、アカデミーといった複数の空間の交点に立ち、権力と芸術との関係をたゆまず媒介していた。すなわち「宮廷芸術家」とは、固定された身分を指すのではなく、歴史のなかで形成され続ける「関係の配置」をとらえるための批評的概念にほかならない。ヤン・ファン・エイクから、カロン、クラーナハ、ベルニーニ、プッサン、そしてベルナルド・ベロットまで、その変容の軌跡をたどることは、近世ヨーロッパ宮廷文化の多層的な豊かさと複雑さを理解するだけにとどまらず、近代的な「芸術家」という存在そのものが、いかなる制度と権力との交渉のなかから成立したのかを、あらためて根底から問い直す契機となるはずである。","brand":"ありな書房","offers":[{"title":"Default Title","offer_id":67495281688880,"sku":null,"price":5500.0,"currency_code":"JPY","in_stock":true}],"url":"https:\/\/www.maruzenjunkudo.co.jp\/products\/9784756626998","provider":"丸善ジュンク堂書店ネットストア","version":"1.0","type":"link"}