{"product_id":"9784839421793","title":"公正価値会計情報の有用性","description":"　平成24年に発足した安倍内閣は、金融緩和と財政出動により構成される\"アベノミクス”を大々的に展開し、デフレ脱却、雇用拡大を一気に進めていった。それまでの政府および政策担当者は、急激に進んだ円高に十分な対処ができず、その結果我が国の経済は混迷を極めていた。いわゆる\"失われた20年”が、ピークを迎えていたのである。\u003cbr\u003e　そして、こうした20年の間に、金融経済を支える重要な社会制度の一つである企業会計制度は、大きな転換期を迎えた。金融商品や事業用資産に対する公正価値評価への制度の変化が、欧米を中心に世界各地に広がっていたのである。\u003cbr\u003e　他方わが国では、こうした世界の潮流に反し、歴史的原価主義を固持する姿勢が、財界や学術界など広範囲において貫かれた。そもそも公正価値会計は、製造業が衰退しかつ金融業が偏向的に栄えた英国の会計観が多く盛り込まれたともいわれている。そこにおいては、運用される金融資産の\"含み損益”、あるいは投下資本から添加した事業用資産の\"将来キャッシュ・フロー”の価額計算が重視される。これに対しわが国では、旧来より\"ものづくり”を尊重する文化・気質が維持されているため、\"努力とこれに対する成果”の計算が、会計の眼目となり得ている。\u003cbr\u003e　しかしながら、金融商品の多様化と相まって、ハイリスク・ハイリターンとなる取引がわが国でも増加したため、決算時における\"含み損益”が看過できないものとなった。本業ではない余剰資金運用活動の業績につき、隠さずに表示・開示した方が、資金提供者の意思決定に有効となる可能性が高まったのである。\u003cbr\u003e　また、投下された資本が転化した事業用資産については、経済学的に見れば、そこにおいて\"使用価値”が内在している。原価会計のもとでは、当該価値の減耗分を、減価償却によって期間配分する。しかし現実には、減価償却費を大きく上回る減耗が十分に起こり得る。そこで、経営活動の基盤となる事業用資産に対しては、使用価値の\"経済的実質”を隠さずに表示・開示した方が、資金提供者の意思決定に有効となる可能性が高まるはずである。\u003cbr\u003e　以上のような問題意識のもとで、本研究は、原価会計情報に対する公正価値会計情報の有用性・優位性を明らかにすることを目途としている。公正価値会計制度は、欧米諸国で導入された社会制度が、言わば\"黒船”的に、わが国にもたらされた経緯があり、商慣習や文化に照らせば、多くの点でそぐわない代物とも言える。しかし、それを制度として適用することが海外の趨勢に即するのであれば、その利点に目を向け、内実を科学的に分析し、しかるのち整合的に適用して行くことが、これまでわが国が採ってきた制度確立の手法に合致すると確信する次第である。","brand":"森山書店","offers":[{"title":"Default Title","offer_id":48522521805104,"sku":"","price":3080.0,"currency_code":"JPY","in_stock":true}],"url":"https:\/\/www.maruzenjunkudo.co.jp\/products\/9784839421793","provider":"丸善ジュンク堂書店ネットストア","version":"1.0","type":"link"}