丸善ジュンク堂書店は、全国の書店員が選んだ「未来の古典 丸善ジュンク堂書店スタッフおすすめ〈現代〉の名著フェア」を2022年9月1日(木)~10月9日(日)の期間、全国の店舗で開催いたします。

本フェアは、いっときのベストセラーや流行りの本ではなく〈50年、100年と長く読み継いでもらいたい現代の名著〉という基準で選書したもので、ジャンルには制限を設けず、歴史・戦争・科学・文学・哲学・俳句・随筆など多岐にわたっています。
世界文学全集や古典名作シリーズにはまだ載っていないけれども、これからの時代を生きていく私たちの思考と精神の栄養となるような、新時代の名著となる30冊です。

丸善ジュンク堂書店スタッフが選ぶ未来の古典

◇hontoポイント10倍キャンペーンも開催
9月1日~10月9日の期間、「未来の古典 丸善ジュンク堂書店スタッフおすすめ〈現代〉の名著フェア」対象書籍のhontoポイントが10倍になります(※シリーズもののポイント10倍対象は、1巻のみとなります)。お会計の際にhontoカードまたは「honto with」アプリカードをレジにてご提示下さい。
>> キャンペーンの詳細はこちら

◇「未来の古典 丸善ジュンク堂書店スタッフおすすめ〈現代〉の名著フェア」のリスト
印刷可能なPDF版(A3サイズ)はこちらからご覧いただけます。

『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』 苅谷 剛彦(講談社)
物事を考える時に、常識にとらわれた単眼思考に陥らずに、多面的に考えろとは良く言われますが、じゃあどうやって考えるの?という問いにわかりやすく答えてくれて、勉強や仕事に行き詰った時に何度も読み返す事が出来る良書。
(丸善 お茶の水店 / 店長 / Y.Y)

『大人のための社会科 未来を語るために』 井手 英策 他(有斐閣)
感染症の流行や、自然災害、戦争など、問題が山積している社会ですが、このような時代に必要なのが、社会科学の研究成果だと思います。本書を通じ、学べるのは問題の答えではなく、問題に向き合う際の考え方です。本書が、社会をより良くしたいと願う人々にとっての古典となっていくと思います。
(MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店 / 人文担当 / Y.K)

『磁力と重力の発見 1 古代・中世』 山本 義隆(みすず書房)
千年余りに及ぶこの知的好奇心の航海は、どんなサスペンス小説よりスリリングで、どんな冒険小説よりも探究心に満ち、どんな歴史小説よりもロマンに溢れ、どんなミステリよりも爽快で、どんなSF小説よりも気宇壮大な、奇跡の物語である。
百年どころか千年の風雪に耐えうるのではないかとさえ思われる名著である。
(ジュンク堂書店 鹿児島店 / 実用書担当 / U.T)

『中動態の世界 意志と責任の考古学 』 國分 功一郎(医学書院)
物事は能動ー受動の二項対立で成り立つ訳ではない。間に挟まる中動態でしか説明ができない言葉と、それに伴って広がる思考の世界がある。中動態の世界を知るだけでも自分自身の問題に向き合った時、導き出せる答えが変わってくるかもしれない。幾つになっても知る事を忘れないようにしたい、と思った大事な本です。
(ジュンク堂書店 三宮店 / 文庫担当 / D.K)

『ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力』 帚木 蓬生(朝日新聞出版)
答えの出ない問題に対して、われわれはどう向き合うべきか。SNSなどで簡単に自分の意見を発信できる今、われわれは結論を急ぎ、生半可な知識や意味づけで物事を決めつけてはいないだろうか?答えが出ないことに耐える力=「ネガティブ・ケイパビリティ」は複雑化するこれからの時代にこそ最も必要になってゆくだろう。
(丸善 ラゾーナ川崎店 / 実用・地図担当 / E.W)

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤 亜紗(光文社)
見えると見えないという分断ではなく、お互いの世界はどう見えているのかということを知ることでお互いの溝を少しでも埋めようとする名著。
見るとは目だけに与えられた特権的な能力ではないということに読後、天地がひっくり返る思いをしたのを記憶しています。
今もこれからもずっとこの世界にいてほしい名著。
(ジュンク堂書店 近鉄あべのハルカス店 / 文芸担当 / 岬太郎)

『シュレディンガーの哲学する猫』 竹内 薫(中央公論新社)
1人と猫1匹の日常に、著者の選んだ哲学者たちの思想を織り交ぜた、小説仕立ての哲学本です。
哲学者たちの思想を簡略化し、日常生活を舞台にしており、各章の問題提起が身近なものから取り上げられているので想像しやすい。
哲学の世界に引きずり込む力がある作品なのでぜひ哲学本に触れてこなかった人に読んでほしい。
(戸田書店 藤枝東店 / レジ担当 / 知の求道者)

『パンと野いちご 戦火のセルビア、食物の記憶』 山崎 佳代子(勁草書房)
現代の戦時下で、難民となった人々は、誰と何を食べて命を繋いでいたのか。詩人で翻訳家である著者がセルビアで聞き取った、友人たちの溢れ出す思いや、家族の記録。心配、恐怖、愛、秘密。明日をも知れぬ戦況の中で、地域の伝統食や僅かな食材を活かしたレシピも添えられている。
(丸善 博多店 / 文芸担当 / K.T)

『久保田万太郎俳句集』 恩田 侑布子 編(岩波書店)
浅草の生家は没落し、住家は三度焼失。妻子と愛人に先立たれても、業を抱え「出たらめ地獄」を生き抜いた作家、久保田万太郎。「この戀よおもひきるべきさくらんぼ」「時雨傘さしかけられしだけの縁」俳句は余技と断じながらも、その恋句の数々は四十過ぎてから艶やかな凄みを増す。表紙は鏡花の装丁でお馴染みの小村雪岱。
(MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店 / 店長 / 鷹)

『橋のない川 改版 1』 住井 すゑ(新潮社)
被差別部落の問題を取り上げた小説。差別にもがき苦しみながら、それでもたくましく生きていく登場人物の姿が、巧みな文章によって描かれている。歴史上(過去)のお話ではなく、現在・未来に通じる差別問題として考える手がかりとなる。
(丸善 丸の内本店 / PC書担当 / T.O)

『現代思想入門』 千葉 雅也(講談社)
あまたある入門書の中で最もよくできた入門書としてすでに風格すらあるが、現時点で既に古さを感じる「現代思想」のかつての輝かしさを今後50年100年にわたって伝える続けることができるのであればこの本に因るところが大きいであろう。
生きるための胆力を鍛えるためにも手元において何度となく読み返してほしい本。
(ジュンク堂書店 池袋本店 / 副店長 / S.M)

『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』 大木 毅(岩波書店)
1941年6月、ドイツ軍がバルバロッサ作戦を発動しソビエト連邦へ侵攻を開始する。この戦争は終結までに民間人含めて3000万~4000万という戦死者を生み、人類史上最悪の戦禍となった。独裁者の暴走が生み出す事象は、現在のロシアによるウクライナ侵攻を容易に想起させる。本書は後世へ遺すべき1冊と言える。
(ジュンク堂書店 池袋本店 / 文庫担当 / I.H)

『香水 ある人殺しの物語』 P.ジュースキント(文藝春秋)
特別な嗅覚能力をもって生まれた主人公。成功の先にあったのは。人間の限りなき欲望の恐ろしさを大河ドラマのように扱った作品。喜劇と悲劇は裏表だと感じる傑作。読み終わりは思わず自分の匂いを嗅いでしまいます。
(ジュンク堂書店 三宮店 / 文芸担当 / S.H)

『慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件』 木村 盛武(文藝春秋)
1915年12月、北海道三毛別の開拓地で起こった史上最悪のヒグマの食害事件。元林野庁職員の著者による、生存者からの貴重な証言を元に構成された執念の記録。野生動物と人間の関係はどう有るべきか考えさせられるし、これを読んでから動物園でヒグマを見ると恐ろしさが増す。
(ジュンク堂書店 三宮店 / 文庫・新書担当 / S.A)

『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』 L.ベルリン(講談社)
むきだしの彼女の声に触れてほしい。自身の人生に根ざした小説は、ダイレクトに電流が走るような衝撃の一文と、さらっと過ぎさるような一文に壮絶な背景、喪失の痛みをしのばせる。一度ふれると、どこにもない魅力にすいこまれる。何度も読み返したい特別な本。
(ジュンク堂書店 滋賀草津店 / 社会・話題書担当 / 書店員マリ)

『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原 万里(集英社)
早世されたロシア語通訳者である著者は、2冊だけ小説を残されている。この一冊はロシアを舞台にした畢生の大作であり、紛うことなき傑作である。歴史小説、サスペンス、ジュブナイル、ハードボイルド、ミステリ、それら全ての面白さがこの物語には詰まっている。知的好奇心を刺激されつつ一気読み必至の名著である。
(ジュンク堂書店 鹿児島店 / 社会担当 / H.U)

『とりつくしま』 東 直子(筑摩書房)
あの世へ逝ってしまったとき何かモノになってこの世に戻れるチャンスを与えられたなら、いったい誰に会いに、どんなモノにとりつくだろうか。
こちらからは声もかけられず、見たくないものですら見ることになるかもしれない。
それでも会いに戻ることをとめられない。
100年後の誰かは、一体どんな選択をするだろう。
(ジュンク堂書店 福岡店 / 文庫担当 / ホラーは癒し)

『数学ガール』 結城 浩(SBクリエイティブ)
数学は好きだけれど人付き合いはちょっと苦手な「僕」が、放課後の図書室で2人の少女と数学の問題に取り組む(数学)ボーイ・ミーツ・(数学)ガール。願わくば50年後、100年後の若者たちも、この本を読んで数学が好きになりますように。
(ジュンク堂書店 立川高島屋店 / 店長 / M)

『生物と無生物のあいだ』 福岡 伸一(講談社)
まず文章が美しい。ここまで読んでいてうっとりする名文を綴れる理系研究者は他にS.J.グールドくらいしか思いつかない。100年後、更に研究が進んで内容自体に古さは出てきてしまうかもしれないが、名文として読みつがれてほしい。
(ジュンク堂書店 高松店 / 店長 / T.T)

『生き物の死にざま』 稲垣 栄洋(草思社)
100年後も変わらないこと。人はいずれ死ぬということ。
でも明日死ぬかもとわかって、前向きに生きられますか?気づかないふりして、生きてますよね。
同じ地球で生きる他の死を感じることで、自分の死を見つめることができる。わからないものの輪郭をたどることで浮き彫りにできる。本書はそのきっかけをくれる名著です。
(ジュンク堂書店 鹿児島店 / 文芸担当 / 情シス)

『日本の歴史をよみなおす』 網野 善彦(筑摩書房)
水呑百姓でも金持ちがいた!?日本の歴史教科書の記述は最新の研究を受けてどんどん変わってきていますが、その先鞭をつけたのがこの本だと思っています。むかし勉強した人には目からウロコの話がいっぱいで、これから歴史を学ぶ若い人には歴史学の面白さを伝えてくれる1冊です。
(ジュンク堂書店 吉祥寺店 / 店長 / H.K)

『青きドナウの乱痴気 ウィーン1848年』 良知 力(平凡社)
舞台は1848年のウィーン革命。主役は名もなき民衆たち。抜群に面白い!こんな歴史の書き方をしてよいのか。いや、こんな歴史の書き方ができるのか。一部に熱狂的なファンを持つ社会史の隠れた傑作。
(丸善 名古屋本店 / 人文担当 / 鉄仙斎)

『片手の郵便配達人』 G.パウゼヴァング(みすず書房)
この本を読んだ時の重い衝撃をずっと覚えている。私は戦争を知らない。知らないけれど、それが如何に残酷で、けして繰り返してはならないものだと考えている。体験せずとも知ることが出来る、それこそが書籍の持つ力であり、当事者のいなくなる50年後も100年後も語り継ぐ方法のひとつだろう。
(ジュンク堂書店 三宮店 / 地図担当 / H)

『モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語』 内田 洋子(文藝春秋)
イタリアの山奥の村モンテレッジォでは、何世紀にもわたり村の人が、籠いっぱいの本を担いで国中を旅する本の行商人をしていた。そこに本と本屋の来し方と行く末、歴史と未来が垣間みえる。そしてこれからも本には私たちを照らし続ける希望があるのではないかと思わせてくれる。読み継がれるべき奇跡のお話。
(丸善 名古屋本店 / 文庫担当 / ひま(わ)り)

『告白』 町田 康(中央公論新社)
分厚く、手に取るのに躊躇するかもしれないが、一度読み始めたらページをめくる手が止まらない。果たしてまじめなことをまじめにするのはまじめなことなのか。主人公熊太郎の思弁が読み手の脳を侵食していく。実際の大量殺人事件「河内十人斬り」を題材に人間の根源を問う。
(丸善 仙台アエル店 / 雑誌担当 / S.A)

『文字渦』 円城 塔(新潮社)
文字への空想と創造と妄想が、積み上げられた作品です。自分の文字への概念が、ゲシュタルト崩壊のように、揺らいだりもします。文字を残して伝える物が、紙から電子機器に変わっていっても、こんな風に文字に思いを馳せていたい、と思って選びました。
(ジュンク堂書店 広島駅前店 / 事務担当 / F)

『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』 中村 哲(NHK出版)
自分の想いを素直にまっすぐ突き進み、どんな困難にあっても諦めない。地球上で、自然と人間は共に生きているということ、そこで自然と人、人と人の関係がどうあるべきなのかを考えさせ、教えてくれる。自分を見つめ直す時に読みたい本。
(ジュンク堂書店 松山三越店 / 社会担当 / inu)

『時刻表2万キロ』 宮脇 俊三(河出書房新社)
紀行文の最高傑作。出てくる路線の大部分が廃線になっていますが、今現在その路線があろうがなかろうが作品の面白さを1mmも減じていない。国鉄全線完乗することに、はたから見るとバカバカしいほどの情熱を抱き、非常にバカバカしい行動をする宮脇俊三を、含羞のある名文でお楽しみ下さい。
(丸善 日本橋店 / 書籍グループ長 / K.I)

『木の教え』 塩野 米松(筑摩書房)
100年後に木が残らなかったなら、この本の言葉はただの遺物です。50年100年かけて伸びる木々と共に人はどう生き、どう学び、どう伝えたか。木に携わる方々の口伝を紹介した本書を手に取る時に、自然がまだ傍にあるように、まずは知ることから始めませんか?
(ジュンク堂書店 立川高島屋店 / 文芸・文庫担当 / F)

『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』 内山 節(講談社)
かつてはキツネにだまされたという話がよく聞かれたそうですが、現代ではそんな話を耳にすることはほとんどありません。生活環境の変化によって一変してしまった日本人の精神世界がどのようなものであったのかを紐解いた、現代社会を生きる私たちにはとても興味深い一冊です。
(丸善 アスナル金山店 / 文芸・文庫・新書担当 / K.T)