丸善ジュンク堂書店は、全国の書店員が選んだ「夏の文庫50冊フェア2023」を2023年6月15日(木)~8月31日(木)の期間、全国の店舗で開催いたします。
「夏の文庫」といえば大手出版社3社による、いわゆる「夏の100冊フェア」が定番で、出版市場の中でも長く定着していますが、この3社以外の文庫レーベルの中にも傑作がたくさんあります。昨年に続き丸善ジュンク堂書店のスタッフが、それらのなかでも是非読んでもらいたい50冊を選びました。

夏の文庫50冊2023フェア◇hontoポイント10倍ャンペーンも開催
6月15日~8月31日の期間、「丸善ジュンク堂書店スタッフが選ぶ夏の文庫50冊フェア2023」対象書籍のhontoポイントが10倍になります(※シリーズもののポイント10倍対象は、1巻のみとなります)。お会計の際にhontoカードまたは「honto with」アプリカードをレジにてご提示下さい。
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◇丸善ジュンク堂書店スタッフが選ぶ「夏の文庫50冊フェア2023」 のリスト
※印刷可能なPDF版(A3サイズ)はこちらからご覧いただけます。

『アルジャーノンに花束を 新版』 D.キイス(早川書房)
10代でこの本に出会えた人は幸福だと思う。20代であろうと、30代であろうと、それ以上であろうと、この本を読んでいない人にこそ読んでほしい。そして、考えてほしい。人生において、幸福であるということは、どういうことなのだろうか、と。その答えはきっと、その後の人生を変えられると思う。(ジュンク堂書店 名古屋店 / 文庫担当 / K)

『すべてがFになる』 森 博嗣(講談社)
理系アレルギーのある文学少年少女達へ。ものの見方や思考の世界が広がるミステリです。(ジュンク堂書店 新潟店 / 店長 / 書肆本屋書店)

『カラフル』 森 絵都(文藝春秋)
「この世があまりにカラフルだから、ぼくらはいつも迷っている。どれがほんとの色だかわからなくて。」自らの人生の間違いに気づき、やり直すチャンスを手に入れた主人公。
十代のうちに、是非とも読んでおきたい1冊です。(丸善 有明ガーデン店 / 文庫担当 / しげる)

『そして誰もいなくなった』 A.クリスティー(早川書房)
ミステリーの女王アガサ・クリスティーの代表作の1つ。クリスティーの作品はどれも面白く間違いないのですが、特に『そして誰もいなくなった』はイチオシです。全く予想もつかない緊迫感ある展開や、童謡の不気味さにゾクッとします。小学校高学年の時に出会い、ミステリーの面白さを知るきっかけになった作品です。(ジュンク堂書店 三宮駅前店 / 文具担当 / S)

『水木しげるのラバウル戦記』 水木 しげる(筑摩書房)
水木しげるさんが戦争で片腕をなくされていることは有名ですが、その当時の様子まではなかなか知られておりません。このラバウルの戦場にて、水木さんはスケッチブックをお持ちでした。戦地にてスケッチをおこない、帰国後に文章をつけて発表されました。戦地の様子、現地の方を描かれたスケッチ、今ではとても貴重な資料です。戦争体験記は手に取りづらいかもしれませんが、スケッチと水木さんの文章で読み進めやすいかと思います。(ジュンク堂書店 立川髙島屋店 / 文庫担当 / Y.H.)

『新装版 夜中の薔薇』 向田 邦子(講談社)
ないものねだりだとしても高のぞみだとしても、妥協するような大人にはなりたくない10代の方々へ、特にこの本に収録されている「手袋をさがす」というエッセイをおすすめいたします。(丸善ジュンク堂書店 営業本部 / 仕入販売部 / E.H.)

『読書嫌いのための図書室案内』 青谷 真未(早川書房)
青春の甘酸っぱさと本の世界がミックスされる。人はなぜ本を読むのか、この本が物語ってくれている。読書は苦手という人にも、新しい風が吹くだろう。本好きにとっては、勇気100倍もらえる本。本は生きるための最大の武器だ。(ジュンク堂書店 滋賀草津店 / 社会・話題書担当 / MY)

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』 栗原 康(岩波書店)
好かれるための本じゃない!予定調和なんて吹き飛ばせ! 目次を読んで気が合わなさそう、と思ったら買わないでください。かっこ悪い、火の玉みたいな伊藤野枝のじんせい。もう滅茶苦茶です。でも悔しい、痛快だ!でも絶対真似してほしくない笑。自分の人生、好きにさせろ!とんでもない、野枝の生きざま。ここから何も学ぶな!だが、とにかくこの熱風を浴びよ!(丸善ジュンク堂書店 関西外商部 / へいへい)

『女が死ぬ』 松田 青子(中央公論新社)
とにかく松田青子さんを知ってほしい、なるべく早めに!という気持ちで選びました。切れ味のよい短編がつめこまれております。ほどよいフェミニズム感のこの面白さは日本の作家さんにはなかなかいらっしゃらないのでは。(ジュンク堂書店 郡山店 / 実用担当 / E)

『幸福な食卓』 瀬尾 まいこ(講談社)
父さんは今日で父さんをやめようと思う」
そんな印象的な書き出しからはじまる、切なくて優しい物語です。
家族、愛の形、失うこと、立ち上がること。
ページをめくる度に心が動きます。(ジュンク堂書店 名古屋店 / コミック担当 / Y.F.)

『はじめての短歌』 穂村 弘(河出書房新社)
「雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さず裸足で来やがって」これって怒っている?違うよね。これは感動している。(本文より)
どういうこと?と思った方も、当たり前じゃん!と思った方も、短歌向きです。直接言いにくい。でも言いたい。胸にもやもやしている気持ちを、短歌と穂村さんは受け止めます。(ジュンク堂書店 立川髙島屋店 / 文芸・文庫担当 / F)

『物語のおわり』 湊 かなえ(朝日新聞出版)
自分は何者なのか?その答えを探す途中で出会う人から手渡される、結末の書かれていない物語。そのおわりには思いがけない真実が待っています。北海道の美しい風景に思いを巡らせながら、かけがえのない自分に出会うために。(丸善 旭川店 / 文具担当 / J.T.)

『舟を編む』 三浦 しをん(光文社)
辞書をつくるってこんなにも時間がかかるなんて…。だけどなんだか楽しそう!
例えるなら学校祭の準備をずーっと何年もワイワイいいながらしている感じ。
大変だと思うけどちょっと羨ましい。そんな読後感でした。
言葉や物事を調べるために開く辞書ですが、その裏側を知るといろいろ想像してしまい、手にとる時間が増えるかもしれません。そして仲間に入りたくなるかも。(ジュンク堂書店 旭川店 / 文庫担当 / K.F.)

『長い旅の途上』 星野 道夫(文藝春秋)
語られるすべての人物、出来事が魅力的で、愛すべき存在として描かれている。彼の言葉から伝わってくるのは、その強く優しい眼差しである。願うことなら親から子へ、時代を越えて永遠に読みつがれて欲しい名著である。(ジュンク堂書店 鹿児島店 / 社会担当 / H.U.)

『国語入試問題必勝法 新装版』 清水 義範(講談社)
決してこれを参考に国語の試験を受けてはいけません。(ジュンク堂書店 三宮店 / 文庫担当 / S.A.)

『10代にしておきたい17のこと』 本田 健(大和書房)
なんとなくボンヤリ悩んでいる時、よく分からないけど不安な時相談出来る人はいますか?もし的確な答えが欲しいなあと思っているなら、この本おすすめです。
ですが、あなたがほしい答え、ではなく考え方や捉え方を教えてくれる本です。私が10代の頃に出会いたかったー!ぜひ手元に置いて20代30代になっても時々開いてもらいたいです。(丸善 松本店 / 児童書・芸術担当 / S.S.)

『窓ぎわのトットちゃん 新組版』 黒柳 徹子(講談社)
「君は、本当は、いい子なんだよ!」
黒柳さんが、親でもなく友達でもない、学校の先生からくり返し言われた言葉を読む度に、私も言われたかったなぁと思う。小学校を退学になって、興味があったらどこでも飛び出しちゃうトットちゃん。そんな子がのびのび過ごせた場所が、ここにあります。(ジュンク堂書店 立川髙島屋店 / 文芸・文庫担当 / F)

『柿の種』 寺田 寅彦(岩波書店)
戦前の物理学者である寺田寅彦は随筆の名手でもある。タイトルからはその内容が想像しづらいがこれは寺田寅彦が俳句雑誌『渋柿』に寄稿したエッセイをまとめたもの。一編が1ページぐらいですぐ読める。科学的視点で書かれたものあり、昭和初期の生活ぶりが楽しいものもあり。背伸びして読みたい一冊。(ジュンク堂書店 三宮店 / 文庫担当 / S.A.)

『島はぼくらと』 辻村 深月(講談社)
いつか生まれ育ったところを離れる人へ。離れることが出来ない人へ。親兄弟、そして友人たち、一緒にいられる時間は想像しているよりも短い。だからこそ大切にしたい一瞬がここにある。(ジュンク堂書店 三宮駅前店 / 児童書担当 / I.I.)

『チルドレン』 伊坂 幸太郎(講談社)
生きていくのは正直しんどい。でも思いがけない本との出会いは、清涼な風が心を吹き抜けるみたいだ。そしてまた明日へと向かっていける。そんな奇跡をくれる1冊。「俺たちは奇跡を起こすんだ」登場人物たちがくれる奇跡の風に心が洗われますように。(丸善 松本店 / 人文担当 / Y.I.)

『叙述トリック短編集』 似鳥 鶏(講談社)
叙述トリックとは「小説の文章そのものの書き方で読者を騙すタイプのトリック」(「読者への挑戦状」より)である。タイトルに堂々と「叙述トリック」を謳っているということは、読む側も「この文章のどこかにトリックがある」と疑いながら読むのである。ネタバレでは?もちろん大丈夫なので安心して読み進めてほしい。最後の1ページまで楽しめる!(ジュンク堂書店 三宮店 / 文庫・新書担当 / 文庫へのろく)

『ポースケ』 津村 記久子(中央公論新社)
奈良駅近くにある喫茶ハタナカ、ここに集う彼女たちの日常に起きたちいさな出来事を描いてます。ずっと病んでいて出かけられなかった主人公の女性が、思い切って大阪へ行くことになり頑張ったその帰りの近鉄。生駒山越えの空へ飛んでいくような、爽快感のあるシーンが私は大好きです。宝物のような一冊です。(丸善 お茶の水店 / 児童書担当 / 書店員エム)

『夏期限定トロピカルパフェ事件』 米澤 穂信(東京創元社)
この夏の運命を左右するのは〈小佐内スイーツセレクション・夏〉!?清く慎ましい小市民を目指す高校生の小鳩くんと小佐内さん。今回は日常の謎やミステリーに迫る夏休み!登場するスイーツはどれも美味しそう☆事件の結末は……トロピカルパフェのように甘くはない驚きと切ないラストが待っています!(丸善 名古屋本店 / 文庫担当 / ひま(わ)り)

『サラダ記念日』 俵 万智(河出書房新社)
【「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日】現代短歌でサラダ記念日を超えるものはないと思う。一番有名な三十一文字なのでは?俵万智さんの、ストレートに突き刺さる感じが心地よい。今、悩んでいる気持ちにピッタリとはまる歌もある。是非、今の時代にもおススメしたい。(戸田書店 長岡店 / 文芸・社会・人文担当 / yukie.m)

『ま・く・ら』 柳家 小三治(講談社)
落語って古くさいし難しそうだし、なんだかよくわからない……。そんな印象を吹っ飛ばす、柳家小三治師匠の「めちゃめちゃ笑える」エピソードがギュッと詰まっています。この夏、落語の世界をちょっとだけ覗いてみませんか?
師匠のお宅の駐車場に住み着いちゃった人のお話、何度読んでも笑えます。(ジュンク堂書店 立川高島屋店 / 実用・雑誌・文具担当 / 与太郎)

『さようなら、オレンジ』 岩城 けい(筑摩書房)
戦争から逃れるために、家族でいるために、生きるためにしてきた選択なのに、生きづらい環境に追い込まれてしまった時、孤独と絶望から人を救うのは「人」でした。現代社会で「逃げ道がない」と感じているならば「あなたは、違う。だから、いいんだ」という一節を届けます。(ジュンク堂書店 大泉学園店 / 実用書・地図ガイド担当 / T)

『言壺』 神林 長平(早川書房)
予測変換AI(Wordのスペルチェックの様なもの)に言語空間が支配された世界で、パラドックスを含むたった一つの文章が、ウイルスとなって現実世界を歪ませる。言葉ひとつで世界は崩壊し得る。ChatGPTが話題の今こそ必読。初出はなんと30年前!SFアレルギーにもオススメしたい、言葉愛に溢れた言葉にまつわるSF短編集。(ジュンク堂書店 新潟店 / 店長 / 書肆本屋書店)

『統合失調症がやってきた』 松本ハウス(幻冬舎)
お笑いコンビ「松本ハウス」。
ボキャブラ世代の私は、ドキドキとしながらこの本を手に取りました。
お笑い芸人として舞台で輝く反面、こんなにも苦しい日々があったとは。
それでも人生は続いていきます。
キックさんと加賀谷さんはお互いにとってとても大切な存在で、
そんな二人の生きる姿が私にはとても眩しく感じました。(ジュンク堂書店 秋田店 / 語学・芸術担当 / 38号)

『姑獲鳥の夏 文庫版』 京極 夏彦(講談社)
この世には不思議なことなど何もないのだよ-京極堂シリーズの第一弾にして日本ミステリーの傑作。20箇月も身籠ったままの妊婦の謎(憑物)を京極堂が落とす。(ジュンク堂書店 西宮店 / 学参担当 / N.Y.)

『オイディプスの刃』 赤江 瀑(河出書房新社)
刀剣と調香、匂い立つような耽美ミステリ。官能的で情緒的で、背徳的。一度嵌れば熱狂。
言葉の美しさに中てられる様で、むしろ一気読みが出来ない稀な作者。
以前発行されていた本はほぼ絶版だったが、近年復刊され始めて読める作品が少しずつ増えてきたので、赤江瀑を知らない方はぜひまずこれを。(ジュンク堂書店 新潟店 / 店長 / 書肆本屋書店)

『遠い太鼓』 村上 春樹(講談社)
コスパや結果を求めて行動することに疲れてしまったあなたへ。村上春樹さんによるヨーロッパ滞在記。3年にわたる放浪が淡々と、ときに怒りや笑いとともに。目的はあるのか。そこで何をしたいのか。その成果は?対価は?そんなことはどうだっていい。ただそこに行ってみたい。本当はそれだけで十分なはずさ!(ジュンク堂書店 秋田店 / 文芸担当 / 735号)

『発声と身体のレッスン 魅力的な「こえ」と「からだ」を作るために』 鴻上 尚史(筑摩書房)
AIが「それらしい言葉」を一瞬で、しかもとめどなく生成する時代を迎え、我々は一体「何を」語るべきだろうか? ひとつ言えるのは、「誰が」「どのように」語るかという身体性は、人の心を動かす上でこれからも変わらず重要だろうということだ。「こえ」と「からだ」でなにかを伝えたい全ての人へ。(ジュンク堂書店 立川髙島屋店 / 店長 / M)

『階段途中のビッグ・ノイズ』 越谷 オサム(幻冬舎)
「好き」だけで続けるのは難しかったり、仲間がいるからこそ起きる面倒もあったりする。それでもやっぱり頑張れるのは「好き」だから。仲間がいるから。階段の途中だろうとノイズ扱いされようと、憧れをエンジンに好きを燃料に演奏する。音楽フェスが盛り上がる夏、小説でもアツい音楽をどうぞ。(丸善ジュンク堂書店 関西外商部 / M)

『すべての、白いものたちの』 ハン・ガン(河出書房新社)
ちょっとでも触れたら崩れそうな言葉たち。永遠に近いほどの時間にも耐えうるだろう強靭な文学。読んでいる時、あまりの美しさに何度も呼吸が止まりそうになりました。(ジュンク堂書店 吉祥寺店 / 文庫・新書担当 / nn)

『自生の夢』 飛 浩隆(河出書房新社)
SFというジャンルを超えて日本の現代小説の最高峰――であるだけでなく、もはや、飛浩隆作品を抜きにして現実世界を語ることも出来ないのではないか? と、最近のニュースなど見ていると思います。(ジュンク堂書店 吉祥寺店 / 文庫・新書担当 / nn)

『アフガニスタンの診療所から』 中村 哲(筑摩書房)
「小さな我われにできることは、自ら一粒の種となって地上に落ち、時を待つことであった」
多くの人が知るアフガニスタンでの活動・行動もさることながら、中村哲医師は文章も力強く優しく、心に残ります。「世間」について触れている阿部謹也さんの解説までじっくり読んでみてください。(丸善 博多店 / 書籍担当 / T.K.)

『ひかりの魔女 1』 山本 甲士(双葉社)
85歳のおばあちゃんが家族や関係者の抱える問題を次々解決するお話。
文中の“当たり前のことを丁寧にやればそれなりの結果がもたらされる、だから大切なところで手を抜いてはならない”が刺さりまくり、読後、自分の出来る範囲で丁寧な暮らしを心がけるようになります。それと必ず立禅に挑戦したくなります!
本を読んで元気になりたい人、前向きな気持ちになりたい人にオススメです。(ジュンク堂書店 上本町店 / 文庫・新書担当 / H)

『仁義なきキリスト教史』 架神 恭介(筑摩書房)
「おやっさん、おやっさん、なんでワシを見捨てんじゃ~!」
清らかなイメージのキリスト教。
だからこそイメージが湧きにくい所だが「仁義なき世界」に例えるとストンと腑に落ちてしまう。
抱腹絶倒の内容に、ちょっと不謹慎かもしれないと思いながらもオススメします。
純粋に面白いからよんでみて!!(ジュンク堂書店 滋賀草津店 / 文具担当 / M.T.)

『神さまのビオトープ』 凪良 ゆう(講談社)
「本屋大賞」受賞作品とともに、ぜひこちらも読んでほしい!!
事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と生きることを選んだ主人公のやるせなくて、でもやさしい物語です(ジュンク堂書店 橿原店 / ご注文品担当 / Y.S.)

『官能小説用語表現辞典』 永田 守弘 編(筑摩書房)
独特の言語感覚で読者のイマジネーションをかき立てるべく、知恵と感性を磨いた作者たちの手によって生まれてきた豊かな言葉の数々には、圧倒されずにはいられない。(丸善ジュンク堂書店 関西外商部 / S.I.)

『生命式』 村田 沙耶香(河出書房新社)
葬式には故人の肉を鍋にする?
予算があるならおすすめのインテリアは人間素材?
それが多数派だというならば狂っているのは世界ではなく自分の方か。
一行一行飲み込むのに勇気がいるが、自分の気持ちをごまかさず、笑わず、雑に扱わない登場人物たちの生きざまの清々しさが癖になる短編集。(ジュンク堂書店 福岡店 / 文庫・新書担当 / Y.Y.)

『ななつのこ』 加納 朋子(東京創元社)
ふとした日常の謎を鮮やかに解き明かす連作短編集。ファンと作家の心温まる「手紙」のやりとりも今や珍しく、でもいつまでも色あせない、私にとって大切な一冊。(ジュンク堂書店 池袋本店 / 文庫・新書担当 / Y.K.)

『慟哭』 貫井 徳郎(東京創元社)
心理描写が秀逸。人の心に重くのしかかる部分があり読み終わった後に何もできなくなるような気持ちになる。途中で読むのをやめることができない著者の文章力は圧巻。没頭するような本を読みたい人におすすめ。出版されてからずいぶん経つがこの作品を読んでいないのはもったいないと思う。(ジュンク堂書店 西宮店 / 店長 / M.U.)

『銀河英雄伝説 1 黎明篇』 田中 芳樹(東京創元社)
言わずとしれた傑作スペースオペラ。腐敗した民主政治と優れた君主による君主制はどちらが良いのかという問題を正面から突きつけられる名作です。政治的な話が多いですが人間模様も面白いので波に乗れれば読みやすいです。外伝を含めて15巻あるので長く楽しめるのもおすすめポイントです。アニメ化もされており、特にOVA版(石黒監督版)は多少の改変はありますが状況を整理してあってわかりやすいのでおすすめです。(丸善 仙台アエル店 / 文庫・新書担当 / 文庫3号)

『猫を処方いたします。』 石田 祥(PHP研究所)
「猫は栄養」というCMもあるように、このお薬は心が疲れたとき、トゲトゲするとき、重く沈んだときによく効きます。ただ一部の人には副作用が出ることがあって、症状が治まってからも自らを「下僕」とよび、お薬が手放せなくなることがあります。(ジュンク堂書店 鹿児島店 / 学参・児童書担当 / M.K.)

『八日目の蝉』 角田 光代(中央公論新社)
逃げて、逃げて、逃げ続ける〈母娘〉。
ずっと一緒にいられるように。
ただ、それだけの願いも叶わないかもしれない2人。
母とは、娘とは、親とは、愛とは……
問われ考えながらも、とにかくせつない2冊です。(丸善 有明ガーデン店 / 文庫担当 / しげる)

『いとしいたべもの』 森下 典子 文・画(文藝春秋)
身近なたべものに素敵なイラストを添えて語られたエッセイ集。たべもので当時の記憶が甦り、懐かしい人と話したくなる1冊です。(ジュンク堂書店 橿原店 / 文具担当 / T.N.)

『横浜ネイバーズ』 岩井 圭也(角川春樹事務所)
横浜中華街の名店を継ぐつもりが、閉店のため当てが外れ、暇を持て余しているロンこと龍一。将来なんて決められない、夢も働く気もない。それでも頼られると断れない彼の元に持ち込まれるトラブルは現在〈いま〉を映すような事件ばかり。頼れる幼なじみ達や事件を通じて繋がる人の輪、「親仁善隣」-すべての隣人に等しく、仲良く-この言葉に自分の目指す世界が見えてくるロン。現代の若者に勇気とエールを贈ってくれる物語です。(ジュンク堂書店 旭川店 / 社会担当 / mmyk)

『自由研究には向かない殺人』 ホリー・ジャクソン(東京創元社)
自由研究に女子高校生が殺人事件を再捜査 主人公ピップが魅力的で真実を追う姿は応援せずにはいられない 夏休みに読んでほしい一冊(ジュンク堂書店 新潟店 / 文庫・新書担当 / 草餅)

『カミーノ! 女ひとりスペイン巡礼、900キロ徒歩の旅』 森 知子(幻冬舎)
カミーノ・デ・サンティアゴ、それはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩く巡礼。
900キロの道のりを歩く目的は、人それぞれであり、道中では多くの人に出会い、そして別れる。
まるで人生のようだ。
離婚がキッカケで900キロ歩いた著者の旅エッセイ。
読み終えた後、自分も900キロ歩いてみたくなる1冊だ。(ジュンク堂書店 福岡店 / 文庫担当 / S.O.)