
2025-03-21
本屋大賞とは?2025年ノミネート作品と歴代受賞作のおすすめポイントを一挙紹介!
本屋大賞は、全国の書店員が「最も売りたい本」を選ぶ文学賞です。2025年のノミネート作品が発表され、話題作が勢ぞろい。今年はどんな作品が書店員の心をつかんだのか?この記事では、本屋大賞の仕組みや選考の流れとともに、最新のノミネート作品や歴代の受賞作の魅力、おすすめポイントを一挙に紹介します。
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受賞作品一覧
受賞年 | 作品名 | 作者 |
---|---|---|
2024年 | 宮島未奈 | |
2023年 | 凪良ゆう | |
2022年 | 逢坂冬馬 | |
2021年 | 町田そのこ | |
2020年 | 凪良ゆう | |
2019年 | 瀬尾まいこ | |
2018年 | 辻村深月 | |
2017年 | 恩田陸 | |
2016年 | 宮下奈都 | |
2015年 | 上橋菜穂子 | |
2014年 | 和田竜 | |
2013年 | 百田尚樹 | |
2012年 | 三浦しをん | |
2011年 | 東川篤哉 | |
2010年 | 冲方丁 | |
2009年 | 湊かなえ | |
2008年 | 伊坂幸太郎 | |
2007年 | 佐藤多佳子 | |
2006年 | リリー・フランキー | |
2005年 | 恩田陸 | |
2004年 | 小川洋子 |
2015年:鹿の王 / 上橋菜穂子
謎の病が蔓延する世界で、生き残った男と少女が運命に立ち向かう壮大なファンタジー。医学やウイルスをテーマにしつつ、アクション要素もあり、骨太な物語が展開します。
2022年にアニメ映画化。作者の上橋菜穂子は『精霊の守り人』シリーズで知られる、日本ファンタジー界の第一人者。医療の知識が盛り込まれたリアルな設定と、登場人物の熱い信念が心を震わせます。壮大な世界観に没入したい人におすすめです。
2014年:村上海賊の娘 / 和田竜
戦国時代、瀬戸内海を支配した村上水軍の娘・景が、海賊としての誇りをかけて戦う歴史エンターテインメント。波乱万丈な展開とダイナミックな戦闘シーンが魅力です。
第35回吉川英治文学新人賞を受賞し、歴史小説ながら読みやすい語り口で人気に。和田竜は『のぼうの城』『忍びの国』も映画化されたヒットメーカー。戦国時代の豪快な物語を楽しみたい人にぴったりです。
2013年:海賊とよばれた男 / 百田尚樹
戦後の日本で、ゼロから石油会社を築き上げた男の生涯を描く歴史経済小説。出光興産の創業者をモデルに、日本の復興を支えた実話に基づく壮大な物語です。
作者の百田尚樹は、2013年に映画化され大ヒットした『永遠の0』でも知られ、本作もベストセラーとなり映画化。熱い信念を貫く主人公の生き様に胸が熱くなり、ビジネスパーソンにもおすすめの1冊です。
2012年:舟を編む / 三浦しをん
新しい国語辞典を作るために奮闘する、編集者たちの姿を描いたお仕事小説。比較的地味な題材と思いきや、言葉の魅力と人の情熱が存分に詰まった作品です。
2013年に映画化、2016年にはアニメ化も果たした本作。著者の三浦しをんは『風が強く吹いている』など映像化作品も多数。本や言葉が好きな人にはたまらない、辞書の世界がこんなに面白いとは、と驚かされる作品です。
2011年:謎解きはディナーのあとで / 東川篤哉
毒舌執事と令嬢刑事が事件を解決するユーモアミステリー。軽快な会話とテンポの良いストーリーが魅力です。ミステリー初心者でも読みやすく、笑いながら楽しめるような作風が魅力。「本格派ミステリーは難しそう…」と思っている人にぴったりです。
2010年:天地明察 / 冲方丁
SF作品『マルドゥック・スクランブル』でも有名な、冲方丁による歴史エンターテインメント。江戸時代、日本独自の暦を作ろうとした碁打ち・渋川春海の生涯が描かれた本作は、数学や天文学、囲碁といった学問が絡み合い、知的好奇心を刺激します。
歴史小説好きはもちろん、理系的な知識が好きな人にも刺さる1冊です。
2009年:告白 / 湊かなえ
ある教師の告白から始まる、衝撃的な復讐劇。読後感が悪いのに止まらない…そんな「イヤミス(嫌なミステリー)」の女王とも称される湊かなえの代表作です。
善意と悪意が交錯し、人間の本質をえぐり出すストーリー展開が圧巻。語り手が変わるごとに真相が少しずつ明らかになる構成が秀逸で、読み進めるほどに背筋が凍るような衝撃が待ち受ける…。人の心理の奥深さを描いたサスペンスが好きな人におすすめです。
2008年:ゴールデンスランバー / 伊坂幸太郎
緻密に張り巡らされた伏線と、見事な回収が魅力の伊坂幸太郎のサスペンス。 首相暗殺の濡れ衣を着せられた男が、巨大な陰謀に巻き込まれながら逃亡する物語です。スピード感とユーモアが絶妙に絡み合い、息もつかせぬ展開が続きます。
2010年に国内で映画化、2022年には韓国でリメイク。 伏線回収の妙を味わいたい人や、緊迫感のあるサスペンスを求める人にぴったりの作品です。
2007年:一瞬の風になれ / 佐藤多佳子
短距離走に青春をかける高校生たちの物語。兄の影を追いかけながら、仲間とともに成長していく主人公の姿が胸を打つ作品。
競技の臨場感が圧倒的で、走ることの楽しさや苦しさ、仲間との絆がリアルに描かれています。「スポーツ小説の金字塔」といわれる本作には、部活に励んだ経験のある人ならきっと共感できる部分があるはず。2008年にはドラマ化、漫画化、舞台化もされ、多くの読者に愛されています。
2006年:東京タワー / リリー・フランキー
笑って泣ける、母と息子の愛の物語。破天荒な父と、無償の愛で息子を支える母。俳優としても活躍する、リリー・フランキーの半自伝的小説として、大きな話題を呼んだ作品です。
飾り気のない文章なのに、読むほどに心を揺さぶられる。何気ない日常の一コマに宿る愛情の深さが、じんわりと沁みる、2007年に映画化・ドラマ化され、多くの人が涙した名作。 母の偉大さや家族のあたたかさを改めて感じる物語。
2005年:夜のピクニック / 恩田陸
高校最後のイベント「歩行祭」を舞台に、友情、恋、秘密、さまざまな思いが交錯する青春小説。
ただ歩くだけなのに、心が揺れる。淡々とした時間のなかで、言葉にできなかった感情が少しずつ形になっていく――。「特別なことは何もないのに、読み終わると忘れられない」そんな不思議な魅力を持つ作風で、 高校時代のかけがえのない時間を思い出したくなる1冊です。
2004年:博士の愛した数式 / 小川洋子
記憶が80分しかもたない数学者と、彼を支える家政婦とその息子による、数学と愛の物語。
登場する公式や数字にはそれぞれ物語があり、読んでいるうちに「数学ってこんなにロマンチックだったのか」と感じられるでしょう。2006年には映画化され、文学と数学の融合が新たな読者を生みました。 優しく、切なく、それでいて温かい、心に残る作品です。
翻訳小説部門と発掘部門
本屋大賞には、国内小説がメインの「本賞」だけでなく、海外作品を対象とした「翻訳小説部門」、過去に埋もれてしまった名作を再び世に送り出す「発掘部門」があります。どちらも「もっと多くの人に読んでほしい!」という書店員の熱い思いから生まれた賞です。
翻訳小説部門では、世界中の名作が日本語で楽しめるように。発掘部門では、一度は絶版になったり、当時は話題にならなかった良書が再び注目されるきっかけに。ここでは、それぞれの特徴や役割、これまでに受賞した作品を紹介していきます。
翻訳小説部門の特徴や選考基準
「海外の名作を、日本語でどれだけ魅力的に届けられるか?」これが、翻訳小説部門で重視されるポイントです。
日本の書店には、世界中の翻訳小説が並んでいますが、そのすべてが日本の読者にとって読みやすいとは限りません。原作の持つ魅力がしっかりと伝わるか、翻訳がスムーズで読者に響くか。このような視点から書店員が厳選し、受賞作を選びます。
「海外文学ってなんだか難しそう…」と思う人でも、この賞を受賞した作品ならスムーズに、面白く読めるでしょう。
受賞作品一覧と傾向
過去に本屋大賞翻訳小説部門を受賞した作品は、どれも海外文学の魅力を存分に楽しめるものばかり。文学作品だけでなく、ミステリーやヒューマンドラマ、心温まるストーリーまで、幅広いジャンルが選ばれています。
年度 | 受賞作品 | 著者 | 翻訳者 | 出版社 |
---|---|---|---|---|
2024年 | ファン・ボルム | 牧野美加 | 集英社 | |
2023年 | クリス・ウィタカー | 鈴木恵 | 早川書房 | |
2022年 | ソン・ウォンピョン | 矢島暁子 | 祥伝社 | |
2021年 | ディーリア・オーエンズ | 友廣純 | 早川書房 | |
2020年 | ソン・ウォンピョン | 矢島暁子 | 祥伝社 | |
2019年 | アンソニー・ホロヴィッツ | 山田蘭 | 東京創元社 | |
2018年 | ステファニー・ガーバー | 西本 かおる | キノブックス | |
2017年 | トーン・テレヘン | 長山さき | 新潮社 | |
2016年 | ガブリエル・ゼヴィン | 小尾芙佐 | 早川書房 | |
2015年 | ピエール・ルメートル | 橘明美 | 文藝春秋 | |
2014年 | ローラン・ビネ | 高橋啓 | 東京創元社 | |
2013年 | テア・オブレヒト | 藤井光 | 新潮社 | |
2012年 | フェルディナント・フォン・シーラッハ | 酒寄進一 | 東京創元社 |
翻訳小説部門の受賞作からおすすめ作品をピックアップ!
本屋大賞翻訳小説部門の中でも、特におすすめの3作品をピックアップ。
そのあらすじと魅力を紹介します。
「友達が欲しい、でも怖い」――ハリネズミの願い(2017年受賞作)
孤独で臆病なハリネズミは、周囲のどうぶつたちと仲良くなりたくて招待状を書きますが、投函する勇気が持てません。
人付き合いが苦手だけれど、誰かとつながりたい――。そんな気持ちを抱える、現代を生きる大人にも響く、優しくて心温まる物語です。
こんな人におすすめ
・人付き合いが苦手だけれど、大切な友達がいる・欲しい人に
・ちょっとした贈り物や、プレゼントにもぴったり
感情がわからない僕と、感情があふれる君――アーモンド(2019年受賞作)
「アーモンド」とは、脳の扁桃体のこと。
感情を司るこの部分が小さく生まれたユンジェは、喜怒哀楽をほとんど感じることができません。そんな彼が、暴力的で問題ばかり起こすが感情豊かな少年ゴニと出会い、少しずつ変わっていきます。
韓国文学が初めての人でも読みやすく、個性の違いを受け入れることの大切さに気づかされる作品。 生きづらさを抱えている人の心に、そっと寄り添う1冊です。
こんな人におすすめ
・韓国文学を初めて読む人
・「自分は他の人と違う」と悩んでいる人
湿地に生きる少女は、なぜ犯人にされたのか?――ザリガニの鳴くところ(2021年受賞作)
「なぜ、人々は孤独な少女を犯人だと決めつけたのか?」
1960年代のノースカロライナ州の湿地帯に一人で暮らすカイア。彼女は「湿地の少女」と呼ばれ、町の人々から距離を置かれていました。そんなある日、村の青年の遺体が発見され、カイアに疑いの目が向けられます。
ミステリー要素がありながら、自然の美しさや生き物の描写が繊細で、詩のような文章も魅力。 読み終わった後、カイアの生き方が心に深く刻まれる作品です。
こんな人におすすめ
・自然の風景や生き物の生態が好きな人
・翻訳ミステリーに苦手意識がある人
発掘部門とはなんなのか?
本屋大賞の発掘部門は、「知られざる名作をもっと多くの人に届けたい」という思いから生まれました。
書店員が日頃から「これはもっと読まれるべきだ!」と思う本を推薦し、一人1冊ずつエントリー。
対象となるのは、その年の2年以上前に刊行された作品です。
さらに、その中から特に「これは!」と共感を集めた1冊を実行委員会が選出し、「超発掘本!」として発表。
発売当時にあまり話題にならなかった作品や、一度絶版になったものの再評価されるべき名著が、ここから次々と発掘されています。
これまでの受賞作からおすすめ作品をピックアップ
発掘部門の中でも、特に書店員が強く推す「超発掘本!」を紹介します。
「言葉の力に心を奪われる」―― 八本脚の蝶(2016年の「超発掘本!」)
若くして自らこの世を去った女性編集者が遺した、わずか2年間の日記。
彼女の感性、知識の豊かさ、文章力は、今もなお「伝説」として語り継がれています。
日常の記録でありながら、詩のように美しく、時に鋭く人間の本質を突く言葉が並ぶ。「なぜ人は言葉を綴るのか?」を考えさせられる、唯一無二の1冊です。
こんな人におすすめ
・読書が好きで、文章そのものの美しさを楽しみたい人
・言葉や表現に敏感で、深く考えさせられる作品を求めている人
「人間の本質に迫る衝撃作」――破船(2022年の「超発掘本!」)
極貧の漁村に伝わる恐ろしい風習。その真実とは?
閉ざされた村で、生き延びるために行われてきた儀式。そこに生まれた者は、この儀式にただ耐え、受け入れるしかないのです。
ノンフィクションさながらのリアルな描写で、極限状態の人々を描いた1冊。
読むほどに「もし自分がこの村で生まれていたら…?」と考えずにはいられません。
こんな人におすすめ
・ノンフィクションが好きだけど、小説も読みたい人
・民俗学や、過酷な環境での生き様に興味がある人
「1000年前の和製シンデレラ」―― おちくぼ姫(2023年の「超発掘本!」)
平安時代の古典『落窪物語』を、田辺聖子が美しくアレンジ!1000年前に生まれた、日本のシンデレラストーリーがモデルです。
姫でありながら、継母に召使い同然に扱われるおちくぼ姫。しかし、彼女の味方となるのは、知恵と行動力を持つ女房たち。愛と策略を駆使して姫を救い出す、爽快なラブ・ロマンスが展開されます。
古典ながらストーリー展開が明快で読みやすく、平安時代の宮廷ドラマのような面白さが詰まっています。
こんな人におすすめ
・古典文学に興味があるけれど、難しい文章は苦手な人
・平安時代の物語や歴史ドラマが好きな人
書店でのフェア開催情報
毎年、本屋大賞のノミネート作や受賞作が発表される時期には、全国の書店で特設フェアが開催。丸善ジュンク堂書店でも関連イベントが行われ、ノミネート作や過去の受賞作が並ぶフェアが予定されています。
【 #本屋大賞2025 🎉】
— ジュンク堂書店池袋本店 文芸文庫担当 (@junkuike_bunbun) February 4, 2025
昨日発表された 2025年本屋大賞ノミネート作品 の数々が、新しい帯付きでどどんと入荷してまいりました❣🌟
2024年度の本屋大賞作品である、成瀬先輩の圧がすごいですが・・・どの作品も素晴らしいものばかりです💐
発表は4/9です📚️
ぜひ書店員と共に予想してお待ち下さい✨️ pic.twitter.com/ykMRX6UzPl
店頭POPやブックカバーなどの特典がつくこともあるので、気になる方は書店にも足を運んでみてはいかがでしょうか?
まとめ:読者の楽しみ方と本屋大賞の魅力
本屋大賞は、「売れる本」ではなく、書店員が「本当に読んでほしい本」を選ぶ賞。受賞作はもちろん、ノミネート作品も含め、多くの注目が集まります。
最新の話題作を楽しみたい人も、過去の名作を掘り下げたい人も、本屋大賞の受賞作から次の1冊を選んでみてはいかがでしょうか?
ご紹介した作品は、丸善ジュンク堂書店ネットストア でも取り扱っているので、チェックしてみてくださいね。