
2025-03-27
イヤミスとは?映画化作品や人気作家など、おすすめ小説とランキングを紹介!
イヤミスとは、読後にイヤな気持ちになるミステリーのことです。その独特な魅力がクセになると話題になっています。本記事ではイヤミスの特徴や心理的な魅力を解説し、映画化・ドラマ化された名作や、最新のおすすめ小説をランキング形式で紹介します。どんでん返しのあるストーリーや、人間心理をえぐる展開が好きな方は必見です!
- イヤミスとは? 心をざわつかせる物語の魅力
- なぜイヤミスにハマるのか?理由を心理的視点で解説
- 映像でも楽しめる!おすすめのイヤミス作品一覧
- 最新おすすめイヤミス小説ランキング【2025年版】
- 【シチュエーション別】イヤミスおすすめ作品
- 【初心者必見!】イヤミスの読み方&おすすめ本
- まとめ
イヤミスとは? 心をざわつかせる物語の魅力
イヤミスの定義と特徴
イヤミスとは「読後にイヤな気持ちになるミステリー」のことで、読者の心をざわつかせる作品を指します。
一般的なミステリーと大きく異なる点は、謎解きだけでなく、人間心理を深くえぐるような描写や後味の悪さを強調していること。どんでん返しの巧妙さや登場人物のリアルな心理描写が特徴で、読み終えた瞬間にゾッとする読後感を残すのがイヤミスならではの魅力といえるでしょう。
普通のミステリーは事件解決後にある程度の爽快感が得られることが多いですが、イヤミスは「何とも言えない重苦しさ」や「不快感」を味わう点が、大きな違いです。
イヤミスが流行した背景
イヤミスが爆発的に注目されるようになったきっかけの一つは、湊かなえさんのデビュー以降に登場した作品群。
たとえば『告白』のヒットにより、「展開に救いがないけれど、妙に読ませる」タイプの小説がメディアやSNSで話題となりました。
さらに、映像化された作品が次々と登場したことも、ブームを加速させた要因。映画やドラマの影響で作品を知る人が増え、SNSで感想が拡散されることで「イヤミス」というジャンル名そのものの認知度が高まっていきました。
【2008年】
湊かなえの『告白』が出版され話題に
【2010年代】
映像化作品が増え、SNSを通じて「後味の悪さ」が注目を集める
【現在】
読後の衝撃を楽しむ読者層が拡大し、数多くの作家がイヤミスジャンルで活躍中
イヤミスの代表的な作家
イヤミス作品を語る上で欠かせない、代表的な作家たち。前述した湊かなえさんをはじめ、「イヤミスといえばこの人」と名が挙がる作家が存在します。
ひとくちに「イヤミス」といっても、作風やテーマはさまざま。ここでは、特に有名な4名の作家をピックアップし、それぞれの代表作とともに、作風の魅力や特徴を紹介します。
湊かなえの代表作と作風
湊かなえさんは、家庭や学校など身近な舞台で、人間の心の奥底に潜む闇を丹念に描き出す作家です。読後に重苦しさを感じさせるストーリーでありながら、リアルな人物描写が魅力で、多くの読者の共感を呼んでいます。日常的な会話やモノローグを巧みに織り交ぜた語り口は、リアリティがありながらも常にゾクゾクする展開を見せるのが特徴です。
おすすめ作品:『Nのために』(双葉社)
タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件を軸に、登場人物たちの証言や回想が交錯しながら徐々に真相が解き明かされる、著者渾身の連作長編です。イヤミス的な後味の悪さを感じさせつつも、物語の根底にあるテーマは「愛」。ドラマ化もされているため、気になった方はぜひ原作をチェックしてみてください。
真梨幸子の作品の特徴
真梨幸子さんは、緻密に配置された登場人物と巧妙な心理描写で読者を巧みに翻弄する作風が魅力です。女性の嫉妬や人間関係のドロドロとした部分をリアルに描き、伏線を張りめくらせた先の衝撃的な結末が特徴的。複雑に絡み合う人間関係や予想できない展開を描く手腕は、イヤミスの旗手として高く評価されています。
おすすめ作品:『殺人鬼フジコの衝動』(徳間書店)
湊かなえさんと並ぶ、イヤミスの旗手として注目されるきっかけともなった作品。発行部数50万部を超えるベストセラーです。2013年、2015年には舞台化されており、ラスト一行が読者の心をえぐる衝撃作。謎解きが好きで、イヤミスの真髄を味わいたい方には、特におすすめです。
沼田まほかるの心理描写
沼田まほかるさんは、人間の暗い欲望や心の奥底に潜む孤独感を生々しく描写するのが得意な作家です。登場人物のどこか歪んだ心理を描写する手法が秀逸で、読み手の心を激しく揺さぶります。恋愛要素とサスペンス要素を融合させ、ハッピーエンドを期待させない独特の世界観を作り上げる作家でもあります。
おすすめ作品:『彼女がその名を知らない鳥たち』(幻冬舎)
映画化もされた代表作で、決して魅力的とは言えない登場人物たちが織りなす、息苦しくもページをめくる手が止まらなくなる物語です。最後には鮮やかなどんでん返しが用意されており、読後のインパクトは絶大。一筋縄ではいかない小説を読みたい方には、ぜひ手にとってほしい1冊です。
貫井徳郎のイヤミス的な作風
貫井徳郎さんの作品の魅力は、社会問題を鋭く描き出す重厚なストーリー展開にあります。人間の弱さや社会の闇を容赦なく抉り出し、ミステリーとしての構成も緻密。読後には考えさせられる余韻が残る作品が多く、痛烈な社会批判を根底に据えた作風も大きな特徴といえるでしょう。
なぜイヤミスにハマるのか?理由を心理的視点で解説
読後に「嫌な気持ち」になるはずのイヤミス。しかし、不快感を覚えるにもかかわらず、多くの読者を惹きつけ、次々とヒット作が生まれ、映像化も相次いでいます
なぜ、人はあえて心をざわつかせる物語に魅了されるのか?その理由を、心理的側面から紐解いていきます。理解すれば、あなたもきっとイヤミスの“クセになる魅力”に気付くはずです。
映像でも楽しめる!おすすめのイヤミス作品一覧
イヤミス作品は、これまでに数多く映像化されてきました。映像ならではの演出や、俳優の演技によって、原作とはまた違った魅力を楽しめるのが特徴です。さらに、映像化に際してストーリーや設定が一部変更されることも多く、原作ファンにとっては「どう描かれるのか?」という楽しみもあります
ここでは、「映画化された作品」と「ドラマ化された作品」に分けておすすめの作品を紹介。原作との違いにも触れているので、気になる作品はぜひチェックしてみてください。
映画化されたイヤミス作品
まずは、映画でも楽しめるイヤミス作品を紹介。原作を読んでから映像で楽しむ、あるいは映画から入って原作を堪能するなど、さまざまな楽しみ方ができるのもイヤミスの魅力です。
『告白』の秀逸なストーリー
湊かなえ / 双葉社
湊かなえさんのデビュー作であり、イヤミスの代表作として挙げられる1冊。2008年度「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」で第4位を獲得し、2009年には本屋大賞を受賞しています。
ストーリーは中学生による教師の娘の殺害事件をめぐり、一人ひとりの独白で進んでいく構成。秀逸なストーリーテリングと、読後の「救いのなさ」が強烈なインパクトを残します。
恋愛×ミステリー。『ユリゴコロ』の特徴
沼田まほかる / 双葉社
販売部数累計25万部を突破し、2012年には大藪春彦賞を受賞、本屋大賞にもノミネートされ、「このミステリーがすごい!」国内部門では第5位にランクインした作品です
衝撃的な恋愛要素とミステリー要素が絡み合い、ページをめくる手が止まらなくなる展開が魅力。愛と狂気が混在する物語で、読者を強烈な世界に引き込んでくれます。
『少女』に描かれる、繊細さと強い闇
湊かなえ / 双葉社
高校2年の少女たちのひと夏を描いた長編ミステリーで、イヤミスとしての要素がふんだんに盛り込まれています。
思春期ならではの繊細な心理がテーマになっていますが、きらめきとは裏腹に強い闇を抱えた物語。美しくもあり、同時に共感しづらい主人公たちの思考が読み手に強い印象を与える作品です。
こんな人におすすめ
・ 救いのない物語を読みたい方
こんな人におすすめ
・ 普段は恋愛小説も好んで読む方
こんな人におすすめ
ドラマ化されたイヤミス作品
イヤミス作品にはドラマ化されたものも多数。原作とは設定が少し変わっていることもあるため、見比べる楽しさがあります。ここではそんな、ドラマ化された作品おすすめ作品を3つ紹介します。
『リバース』のストーリー
湊かなえ / 講談社
2015年に発売された、湊かなえさんの著書が原作。大学時代のゼミ仲間との旅行で起こった不審死が、10年後に思わぬ形で再び注目され、過去の秘密が次第に明らかになるストーリーとなっています。原作と異なり、ドラマ版では一部の登場人物の背景や設定が変更されており、原作との違いを探しながら楽しむのもおすすめ。映像化によってキャラクター同士の関係性が一層鮮明になり、サスペンス要素が強調されています。
ドラマ『贖罪』の原作との比較
湊かなえ / 双葉社
こちらも、湊かなえさんの著書が原作。少女時代に起こった未解決の殺人事件を軸に、大人になった登場人物たちの運命がオムニバス形式で描かれています。ドラマ版では、登場人物の背景が視覚的に表現されることで、原作と異なるアプローチで心理描写が際立っているのが特徴。読了後に感じる「もやもや」や「救いのなさ」が、ドラマでもしっかり味わえる作品です。
読むほどに息苦しくなる…。芸術と狂気が織りなす物語
1位:人間標本 / 湊かなえ(KADOKAWA)
美しさと恐怖が奇妙に溶け合う連続殺人事件。才能を持つ少年たちが「芸術のため」という名目で惨殺され、遺体は蝶のように“標本”として飾られます。読み進めるほどに息苦しさが増す独特の世界観と、湊かなえさんならではの緻密な心理描写が強烈な後味を残します。ページを閉じたあとも、狂気に満ちた物語が脳裏にこびりつき、逃れられない余韻を残すかもしれません。
こんな人におすすめ
・人間の深層心理を徹底的に覗きたい方
・サイコサスペンス系のイヤミスが好きな方
南国リゾートで繰り広げられる絶望のイヤミス
2位:殺める女神の島 / 秋吉理香子(KADOKAWA)
南国の楽園のような華やかなリゾートで開催されるコンテスト。しかし、その舞台裏には嫉妬や裏切りがうごめき、ついには殺人事件へと発展していくーー。秋吉理香子さん独特の緻密な人物描写が、登場人物たちの隠された欲望を鋭くえぐるのが魅力。リゾート地の開放感と血生臭い恐怖が奇妙に混ざり合い、ラストには思わず息を呑むでしょう。
こんな人におすすめ
・恋愛リアリティーショーのドロドロ感が好きな方
・華やかな場所に潜む闇を楽しみたい方
日常が崩れる瞬間を描く、真梨幸子のイヤミス代表作
3位:極限団地 / 真梨 幸子(新潮社)
“イヤミスの女王”と称される真梨幸子さんが今回の舞台に選んだのは、どこにでもあるような古びた団地。しかし、その平凡な空間で次々と暴かれる不倫、失踪、過去の秘密が、やがて惨劇へとつながっていくーー。古く狭い空間に漂う閉塞感がリアルな恐怖となって読者を追い詰めていく…。気づけば、団地というありふれた場所が“地獄”にしか見えなくなるかもしれません。
こんな人におすすめ
・日常のすぐ隣で起こる狂気や恐怖にゾクッとしたい方
・重苦しくも先が気になるイヤミスを探している方
ホラーの恐怖とイヤミスの後味が融合した新感覚ミステリー
4位:血腐れ / 矢樹 純(新潮社)
背筋が凍るホラー表現と、読後に強烈な不快感を残すイヤミスのエッセンスを融合させた1冊。人間関係のドロドロや過去の怨念が徐々に姿を現し、“血の腐るような”不穏さが物語全体を支配していく。矢樹 純さんの筆致はどこまでも生々しく、読めば読むほどに逃げ場のない泥沼へと引きずり込まれる感覚を味わえるでしょう。ラストには、ぞっとするような真実が待ち受けているかも?
こんな人におすすめ
・ホラーの怖さもイヤミスのドロドロ感も両方楽しみたい方
・読後に重くのしかかる余韻を求める方
湊かなえが挑む“介護ミステリー”のイヤミス新境地
5位:C線上のアリア / 湊かなえ(朝日新聞出版)
介護の現場で募るストレスや、小さな違和感が積み重なり、やがて狂気へと変わる――。湊かなえさんが新たに切り開いた“介護ミステリー”は、身近だからこそ突き刺さるリアルさが最大の特徴。家族や夫婦の関係が少しずつ歪んでいく描写に、読み進めるうちに、読者も逃げ場のない不安に包まれていく。そしてラストでは伏線が回収され、思わず絶句する衝撃の結末が待っています。
こんな人におすすめ
・湊かなえ作品のファン、あるいは家族の暗部を描くイヤミスに興味がある方
短時間で味わう“最高にイヤな”読後感
6位:3分で不穏! ゾクッとするイヤミスの物語 / 『このミステリーがすごい!』編集部(宝島社)
宝島社のショートショートシリーズが贈る、濃厚なイヤミスアンソロジー。数ページという短い物語の中に、救いのない結末や愛憎劇のドロドロがぎゅっと凝縮されています。サクッと読めるのに、心をざわつかせる威力は絶大!通勤時間や休憩中など、ちょっとした合間を“不穏な読後感”で満たしたい方にはぴったりです。
こんな人におすすめ
・スキマ時間で効率よくゾクッとしたい方、複数のイヤミス短編を一気に味わいたい方
【シチュエーション別】イヤミスおすすめ作品
イヤミスの魅力は作品ごとに異なるもの。読後の暗い余韻がクセになる人もいれば、驚きの結末に振り回されるのが好きな人もいるでしょう。ここでは、「読後にゾクッとする系」と「どんでん返し重視系」、2つのスタイルに分けてご紹介します。気分や好みに合わせて、ぜひあなたにピッタリのイヤミスを見つけてみてください。
「読後にゾクッとするイヤミス」で忘れられない読書体験
思わずため息が出るほどの後味や、胸にずしりと残る暗さを味わいたい方に。結末の救いのなさや登場人物たちの深い闇が、読後も頭から離れない作品です。
汚れた手をそこで拭かない / 芦沢央(文藝春秋)
日常に潜むほんのささいな秘密が、ある瞬間を境に一気に崩壊へとつながっていく……そんな恐怖を描いた短編集です。緻密なストーリー展開と、さらりとした描写が相まって、読後の不穏さを際立たせます。最初は「これが事件にどう関わるのだろう?」と思っていた何気ない伏線が、いつの間にか背筋を凍らせる要因へと変わっていく。
こんな人におすすめ
日常の違和感をじわじわ味わいたい方/淡々とした筆致の中に潜む恐怖が好きな方
望郷 / 湊かなえ(文藝春秋)
湊かなえさんの短編集で、2016年に特別ドラマ化もされた話題作。瀬戸内海に浮かぶ島を舞台に、閉鎖的な人間関係や、それぞれの登場人物が抱える過去を描いた物語が収録されています。「希望」という言葉とは裏腹に、読後に訪れるのは、息苦しい重圧感と、どうにもならないやるせなさ。「あの時こうしていれば…」という後悔が心にしみつき、逃れられない余韻を残します。
こんな人におすすめ
救いのない物語が好きな方/地方や島に根付く閉鎖感をしっかり味わいたい方
この闇と光 改版 / 服部まゆみ(KADOKAWA)
幻想的な世界観の奥底に潜む歪んだ真実を、美しくも妖艶な筆致で描き出した作品。物語が進むにつれ、まるで現実が反転していくかのような錯覚に陥り、読者の視界が揺らぐような感覚を味わえるでしょう。
次々と繰り出される謎解きに引き込まれながら、最後には「こんなことが起こり得るのか?」という衝撃に見舞われる、耽美な美しさとミステリー要素が絶妙に絡み合った1冊です。
こんな人におすすめ
幻想文学が好きな方/どこか美しさの中に狂気が滲む物語を求める方
「どんでん返し系イヤミス」で刺激的な読書体験を
予測不能な展開や、騙される快感を存分に味わいたい方におすすめ。最後の最後まで息が抜けない、“超展開”の連続を楽しみましょう。
許されようとは思いません / 芦沢央(新潮社)
人間の心に潜む闇を巧みにすくい上げ、ミステリーへと昇華させた5編が詰まった短編集です。2019年本屋大賞ノミネート作『火のないところに煙は』の著者が放つ、さらなる飛躍作です。どの作品にも「まさか…」が仕掛けが張り巡らされ、読者の予想や常識を粉々に打ち砕くようなどんでん返しが待ちうけます。読後には思わず脱力してしまうかもしれません。
こんな人におすすめ
・話題作を追いかけたい方
・短編集でテンポよく衝撃を味わいたい方
連続殺人鬼カエル男 / 中山七里(宝島社)
心神喪失者の責任能力を扱う“刑法39条”をテーマに据えた社会派ミステリー。残酷な描写や血生臭いシーンも多く、サスペンスとしての迫力が抜群。息をのむ展開が次々に襲いかかり、読者は容赦なく翻弄されます。「一筋縄ではいかない事件」と「何度も覆される真実」。その刺激がクセになるはずです。
こんな人におすすめ
・社会問題を絡めた作品が好きな方
・ある程度グロテスクな描写にも耐性がある方
鬼畜の家 / 深木 章子(講談社)
一見、ごく普通の一家。しかし、その家では「不可解な不審死」が起こり、やがて背後に潜む異常な真実が浮き彫りになります。
「実際にありそうで怖い」と思えるほどの生々しいリアリティが本作の特徴で、読後は言いようのない恐怖と嫌悪感に包まれるでしょう。読めば読むほど心が重くなる、それがこの作品の魅力でもあります。
こんな人におすすめ
・とことん不快な気持ちを味わいたい方
・家族の裏側を覗き見る物語に興味がある方
【初心者必見!】イヤミスの読み方&おすすめ本
「イヤミスは気になるけど、暗そうでちょっと敷居が高い…」と感じている方もいるかもしれません。そんな方に向けて、比較的読みやすい作品と、イヤミスを無理なく楽しむためのコツをご紹介します。
代償 / 伊岡瞬(KADOKAWA)
リーガル×ミステリーと心理戦が融合したスリリングな作品。法廷劇の要素も盛り込まれており、巧妙に仕組まれた策略が次々に明かされていく過程に、読者は翻弄されること間違いなし。難解なトリックよりも心理戦が中心なので、ミステリー初心者でもスッと物語に入り込めます。
こんな人におすすめ
・王道ミステリーの面白さを手軽に体感したい方
・社会派や法廷ドラマ風味の作品が好きな方
ボトルネック / 米澤穂信(新潮社)
主人公が迷い込んだのは、自分が生まれなかった世界。そこでは、本来なら亡くなっているはずの少女が生きており、家族や友人の様子も全く違っていた。この世界での違和感を抱きながらも、主人公は次第に、自分がこの世界にいないことが、周囲にとってどのような意味を持っていたのかを突きつけられる。若さゆえの残酷さや、自己と他者の存在意義が交錯する展開は切なくも痛々しい。重めのテーマながらも、描写はわかりやすく、物語自体のテンポも良いため、イヤミス初心者には読みやすい1冊です。
こんな人におすすめ
・青春小説の雰囲気を好む方
・軽いファンタジー要素にも抵抗がない方
みんな蛍を殺したかった / 木爾チレン(二見書房)
女子高生同士の愛憎を生々しく描き、若さゆえの不安定さや危うさがほとばしる作品です。女子高生たちの裏表の激しい感情は読み応えがありながら、文章自体はシンプルなのが魅力。イヤミスが初めての人でもさらっと読み進められますが、読後には思春期の闇がじわりと心に残るかもしれません。
こんな人におすすめ
・学生の方や、青春群像劇を好む方
・女性同士の人間関係に興味がある方
江戸川乱歩傑作選 / 江戸川乱歩(新潮社)
乱歩作品は、人間の深層心理や狂気を描き、イヤミスやサイコスリラーの先駆けともいえる存在。発表当時は衝撃的だった異常心理、猟奇的殺人などの描写が現代にも色褪せず、強いインパクトを与えます。文豪ならではの優れた文体と独特の怪奇趣味は、今読んでも十分に刺激的。ちょっとレトロな雰囲気を楽しみたい方におすすめです。
こんな人におすすめ
・文豪好きの方
・クラシックな怪奇ミステリーを味わいたい方
イヤミス短篇集 / 真梨 幸子(講談社)
真梨幸子さんによる短編集で、6つの作品がコンパクトにまとまっています。どの物語も後味の悪さや嫌な部分をしっかり押さえているので、「イヤミスってどんなもの?」を手軽に体感する入門編として最適。短編なので、途中で挫折しにくいのもメリットです。
こんな人におすすめ
・まずは短編で気軽に試したい方
・真梨幸子さんの作風をチェックしてみたい方
あなたの涙は蜜の味 / 辻村深月 他(PHP研究所)
辻村深月、宇佐美まこと、篠田節子、王谷晶、降田天、乃南アサ、宮部みゆき…豪華女性作家陣が集結したイヤミスアンソロジーです。それぞれ異なる作風のイヤミスを一度に味わえるため、「自分がどんなタイプのイヤミスを好むのか」探るのにもピッタリ。少しずつ読み進めるうちに、思いも寄らない作家との出会いがあるかもしれません。
こんな人におすすめ
・いろんな作家を一気に読み比べしたい方
・女性作家ならではの人間模様を味わいたい方
まとめ
イヤミスは、読後にイヤな気持ちになりながらも、なぜか読み進めずにはいられない不思議な魅力を持ったジャンル。どんでん返しや巧みな心理描写を通じて、人間の闇や社会の歪みを深く考えさせられます。SNSや映像化の影響で話題になり、現在も数多くの新作が誕生しているのも、人気の証拠と言えるでしょう。
読後に強いストレスを感じる一方で、カタルシスを得られるのがイヤミスの醍醐味。初心者の方はまず比較的読みやすい作品から試してみて、慣れてきたら本格的に救いのない物語へと進んでみると、より深くイヤミスの世界を堪能できるはずです。
ご紹介した作品は、丸善ジュンク堂書店ネットストア でも取り扱い中。気になる作品があれば、チェックしてみてくださいね。