
2025-09-01
「丸善」を創った男
早矢仕有的資料展
~福澤諭吉とともに日本の近代化に尽くした医師~
江戸末期、一人の医師が福澤諭吉との出会いによりその人生を大きく変容させました。医師でありながら実業家として「丸善」を創業したほか、貿易、教育、保険、商取引など様々な日本の近代化の礎を築いた挑戦者でした。世にはあまり知られていない功労者・早矢仕有的(はやし・ゆうてき)の軌跡を辿ります。
会期・会場
〈会期〉
2026年1月2日(金)~1月13日(火)
9:00~21:00
※1月2日(金)は19:00閉場、1月13日(火)は15:00閉場
入場無料
〈会場〉
丸善・丸の内本店4階ギャラリー
東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ内
TEL:03-5288-8881
https://honto.jp/store/detail_1572000_14HB310.html
主な出品
『丸屋商社之記』(日本初の会社設立趣意書・明治6年復刻版)
商社組織を株主「元金社中」と社員「働社中」に分けた点が、株式会社組織の初めとして評価が高い。誰が起草したかは、「福澤説」、「有的説」、「有的が起草し福澤添削説」等と乱立しており確定していない。

『帳合之法(ちょうあいのほう)』
福澤諭吉は1873年、ブライアント、ストラットン共著の商業簿記の教科書(Embracing single and double entry. New York,1871)の翻訳本として『帳合之法』出版。本書は日本初の簿記学(西洋式複式簿記)のテキストで、これを用いた「新しい記帳法」の有料講習会が、同年7月に丸屋商社の店内で開かれた。

『改正増補和英英和語林集成 第三版』
1887年に丸善が出版した英語で書かれた日本語辞典。初版、第二版は上海の出版社によって印刷されたが、第二版を倍増させたこの第三版から丸善が出版した。編著者のヘボンは医師で、有的もヘボンの治療を手伝ったこともあるという。ヘボンは第三版の版権を丸善に譲渡し、出版に至った。当時の丸善は丸家銀行の破綻による再建中であったが版権買取に踏み切り、ヒット商品に繋げた。

「九鬼隆義宛書簡」<慶應義塾図書館所蔵>
明治3年5月、福澤は腸チフスに掛かり重体となる。福澤は九鬼宛の書簡で「醫師はアメリカ人セメンズ英人ウエルス両人を頼み、治療法頗る新奇、日本の醫師伊東玄伯、石井謙道、島村鼎甫、隅川宗悦此外に横濱の友醫早矢仕有的専ら苦心いたし呉先づ日本では最上の治療」と書いている。

講演会
講演会はいずれも事前予約制です。参加を希望される方は、丸善 丸の内本店4階ギャラリー受付またはお電話(TEL:03-5288-8881(代))にてお申し込みください。
講演①早矢仕有的と福澤諭吉の間
日時:1月10日(土)16時~(60分<予定>)
登壇者:都倉武之先生(慶應義塾福澤研究センター教授)
内容:福澤との邂逅によって有的の人生が劇的に変化したのは間違いないが、その生涯は未解明な部分が多い。福澤研究の立場から、二人の複雑な関係を考察します。

講演②:本屋、立ち読み、丸善の二階 ―江戸から明治へー
日時:1月11日(日)14時~(60分<予定>)
登壇者:小林昌樹先生(近代出版研究所 所長・慶應義塾大学講師)
内容:江戸時代から明治・大正期へ至る書店の歴史・読者の歴史とそれに伴う「立ち読み」の歴史を紐解きながら、近代日本の書物文化のひとつの拠点であった「丸善」の成り立ち・エピソードについてお話しします。

講演③:〔自由対談〕早矢仕有的と同時代あるいは同郷の創業企業家との接点や共通点を探る
日時:1月12日(月・祝)14時~(60分<予定>)
登壇者:佐々木聡先生(明治大学専任教授)×原田幸四郎(元丸善株式会社)
内容:幕末・維新期に幅広い産業に及ぶ今日の長寿大企業の礎を築いた企業家の多くは、早矢仕有的と同じ天保年間の生まれです。また早矢仕の郷里の美濃出身で、長寿企業を創った企業家も多くいます。そうした企業家と早矢仕との関わりや共通項を探ります。

ギャラリートーク
ギャラリートークは事前予約制です。参加を希望される方は、丸善 丸の内本店4階ギャラリー受付またはお電話(TEL:03-5288-8881(代))にてお申し込みください。
日時:
①1月3日(土)14時~(30分<予定>)
②1月9日(金)18時~(30分<予定>)
ガイド:原田幸四郎(元丸善株式会社)
内容:会場内を回遊しながら展示品を解説いたします。
〔主催〕 株式会社丸善ジュンク堂書店、丸善雄松堂株式会社、丸善出版株式会社
〔協力〕 慶應義塾、岐阜県山県市