
所属店舗の思い出
——当時を振り返って
ジュンク堂書店
三宮店
下郡 直子
(在籍期間:1989~1995年)
印象に残っている思い出
当時は地下1階ワンフロアで現在よりぐっとコンパクトな店舗でした。エスカレーターを下りてすぐの中央レジは混むうえにお問い合わせも多く、あまりお待たせしないようにご案内するには学ぶのみ。ベストセラーは30分ごとに山盛りにし、光GENJIや宮沢りえ『Santa Fe』の爆発的な売れ行きはまさに戦いでした。宝塚トップスターのサイン会をきっかけに宝塚観劇に行ってみて、なんと幸せな経験ができたのかと改めて実感しました。
書店員になって一番良かったと思う事
阪神淡路大震災で神戸が壊れ、ライフラインが途切れて生活も大変な時に、本なんて食べられないのに、ジュンク堂書店を待っていてくださったお客様。いまもずっと気持ちの根っこにあります。
ジュンク堂書店
サンパル店
神山 千尋
(在籍期間:1988~1998年)

印象に残っている思い出
入社当時はワンフロアの専門書店で毎日のように通ってくださるお客様は論説委員や医師、大学教授など専門家ばかり。ひよっこの私は専門的な問い合わせに右往左往。たくさん叱られ、たくさん鍛えられました。
馴染みのお客様が逝去され息子さんから「父は最後まで取置の本の事を気にしていた。あなたには世話になったと。父の依頼してた本は供養に買うね」とお電話が。売り場で涙を流したのは後にも先にもその時かぎり。あの頃を象徴する思い出です。
書店員になって一番良かったと思う事
乗り鉄・撮り鉄という言葉があるならば、例えば自分は「売り鉄」だと思ってました。これは!と仕入れた本を、どう?と目に留まるように工夫して並べたら、お客様が買って くださった。その瞬間に私の本屋としての醍醐味がありました。
ジュンク堂書店
京都店
福嶋 聡
(在籍期間:1988~1997年)
印象に残っている思い出
遷都1200年の1994年に、京都の他の書店の人たちと『ブックリスト京都』という本をつくったこと。
鶴見俊輔さん、木村敏さん、鷲田清一さんら、著名な著者がお客さんで来られていたこと。
著書を2点上梓させてもらい、出版・書店業界の数多くの人と交流できたこと。
今井書店主催「大山緑陰シンポジウム」に二度参加したこと。
書店員として、できたらいいな と思う事
・京都店時代から提案し続け、歯牙にもかけられませんでしたが、全スタッフが、就業中に一日一時間本を読む時間を与えられること。
・著者を含めた社内外、更には業界内外の人たちが、店内で多くの本に囲まれながら、出版や書店について夜更けから朝まで議論する「朝まで生本屋!」。田原総一朗役をしたい(笑)
ジュンク堂書店
千日前店
鍋島 千輝
(在籍期間:2010~2016年)
印象に残っている思い出
お笑いやアイドルの聖地に囲まれた立地だったからか、毎日が舞台上のような本屋でした。ここではお話できないような思い出ばかりです。
新人時代の私は、なんでこれ売ってないねん!というお客様からの愛あるツッコミに大いに鍛えられました。
千日前店出身の従業員が、しぶとく各地に残って今も本屋を続けているのは、すべてあの土地、あのお客様方のお陰だと思います。
書店員になって一番良かったと思う事
私は本屋になりたかったので、本屋になれたことがなにより一番良かったことです。
一読者の時代には、私しか読んでいないのではないか?というある意味大変失礼な思い込みをしている愛読書が沢山ありましたが、書店員としてそれらを仕入れ、棚に並べ、お客様が手に取ってくださるのを見る。その喜びは他では得られないものでした。本屋になれて良かったです。
ジュンク堂書店
池袋本店
(旧池袋店)
藤本 芳幸
(在籍期間:1997年~)
印象に残っている思い出
2011年の東日本大震災の際、売場の整理を済ませ、翌日の午後から店を開けました。すると開店直後から多くのお客様がご来店。書籍をお買い求めになる姿を見ることができたとき、改めて書籍の強さを感じました。
書店員として、できたらいいな と思う事
移動書店や小規模出張販売などを活用して、現在約3割存在する、書店が1軒もない自治体を無くす。
ジュンク堂書店
仙台本店
八木 卓雄
(在籍期間:1998~2006年)
印象に残っている思い出
東北地方のギャルの聖地だったファッションビルに入居しており、奇抜なヤマンバメイクの若者がたくさん(さすがにジュンク堂書店の店内にはあまり見かけませんでしたが)。加えて近くには仙台朝市という市場があり、雑多で活気のある立地でした。
また、オープン当時の仙台には大型書店はまだ少なく、大型書店の黎明期でした。他書店との交流も盛んで、書店員同士の宴の規模がどんどん大きくなっていったのは楽しかったです。
書店員になって一番良かったと思う事
数多くの方にご来店いただくなかで、お客さま、スタッフ含めて世の中には本当に色んな人がいて様々な考え方があるんだな、ということを体感できました。また、本というメッセージ性の強い商品を扱うには書店員がニュートラルであることはとても大事で、そのバランス感覚の難しさと重要さを知ることができたのも良かったと思います。
ジュンク堂書店
大阪本店
堀内 理
(在籍期間:2003~2006年)
印象に残っている思い出
開店4年後、入社した頃は業界の売上・新刊点数もピークを過ぎていたが、まだ高い水準にあった。ビジネスパーソンの多い店舗のためか、担当の社会科学書では先輩正社員が3人いた。今は大型の書店でもジャンルに正社員が一人いれば御の字のところ、隔世の感がある。入社当時、学ぶことは限りなくあるのだからと、一ヶ月まるまる開店から閉店までずっと働くということがあった。良い思い出だが、隔世の感がある。
書店員として、できたらいいな と思う事
・国に、本を読む日を制定していただいて、その日は国民皆ができる限りスマホは出さずに本を携帯して過ごすようにしたい。
・古本として売りたくないお客様のために、読まなくなった本を店舗で回収して、本屋のない地域や図書館へ送ったり、被災地域に送るなど再利用できるサービスをしたい。
・読書会を開きたい。読書会に参加するのは怖いけれど一度みてみようかと思うような人が参加できる、ゆるくて優しい読書会。
ジュンク堂書店
広島駅前店
三浦 明子
(在籍期間:1999~2025年)
印象に残っている思い出
音楽ホールのように高い天井、壁面いっぱいに広がる棚、そこに並ぶ本と紙の匂い。あの時の光景を今でも鮮明に覚えています。オープン直後には館が停電し、レジに並ぶお客様にひたすらお詫びしながら、電卓を叩いて会計したことは、いい思い出です。
2009年にカープの本拠地がマツダスタジアムへ移転したことでシーズン中はユニフォームを着たカープファンの方で店内が彩られ、広島色の強い地元の書店として位置づいたように思います。
書店員になって一番良かったと思う事
『店の中からどんなに叫んでも外側にいる人たちには届かない、それなら外に出て書店の魅力を発信していけばいい』
そういう思いでラジオや新聞で本を紹介したり、コラムを書いたりしてきました。今は、YouTubeの担当を務めています。
自分の発した言葉が、普段本を読まない方や書店に足を運んだことがないような方にとって、本と出会うきっかけの一つになったとしたら、それは書店員としても本読みとしても最高に幸せなことです。
本の良さを伝えるだけでなく、『書店』という場所、そしてリアル書店の強みである『書店員』という存在を、これからも世に広めていきたいです。
ジュンク堂書店
福岡店
川島 秀元
(在籍期間:2001~2010年)
印象に残っている思い出
文芸書の選書担当者として初めて大型店の棚作りを一から行った思い出深い店舗でした。自分で棚割りを考え、それに合わせて書籍を発注し、棚を作っていくことは、書店員として至福の時間でした。
また福岡は地元の出版社も多く、書店同士も仲の良い土地柄で、ブックオカの立ち上げに参画できたこともいい思い出です。
書店員になって一番良かったと思う事
書店員というよりは、この会社に入ってということになりますが、北は仙台から南は那覇まで、様々な土地に行き、それぞれの場所でいまでも続く人間関係を作れたことです。
さらには、長年文芸書担当をしていた者の役得な部分があるかもしれませんが、福岡では東山彰良さんや、仙台では伊坂幸太郎さんなど、作家と知り合いになれたことも嬉しかったです。
ジュンク堂書店
名古屋店
大竹 康和
(在籍期間:2006~2015年)
印象に残っている思い出
名古屋初出店のジュンク堂書店で、300坪の限られた空間に専門書を並べるため、通常より一段高い棚に本をぎっしり詰めた店舗です。いまでも訪れるたびにその棚の高さに圧倒されます。路面店ならではの道案内や気軽なお買い物で、多くのお客様がご利用いただけるお店です。
書店員として、できたらいいな と思う事
猫好きとしては、猫駅長ならぬ猫店長がいる書店があっても面白いと思っています。
ジュンク堂書店
新宿店
中村 洋司
(在籍期間:2007~2010年)
印象に残っている思い出
ジュンク堂書店に入社して、関西、福岡を経て新宿店に転勤になりました。西武新宿線で通勤していたので、毎日「歌舞伎町一番街」の看板の前を歩いていました。たくさんの人が行き来する街・新宿の書店で働いたことは本当に良い経験でした。
書店員になって一番良かったと思う事
サイン会やトークイベントなどを通して、リアルで著者の先生方にお会いできたり、お話を聞けたことは貴重な体験でした。「文は人なり」と言われますが、実感する機会が多かったと思います。
ジュンク堂書店
那覇店
森本 浩平
(在籍期間:2009~2013年、2016~2025年)
印象に残っている思い出
開業前から「これまで沖縄にはなかった大型書店ができる」と大きな話題となり、開店当日は1万人以上の来店客で溢れました。1階レジには長蛇の列で、その列は2階フロアの中央まで伸びるほどの事態に。急きょホームセンターへ、簡易レジを購入しに走りました。
また、店舗スタッフには沖縄ならではの苗字がずらり。比嘉が4人、金城が3人も。さらに知念、新垣、具志堅と名を連ね、「ここは沖縄なんだな」と改めて実感しました。
書店員になって一番良かったと思う事
沖縄を拠点に、イベントやブックフェアを通して、さまざまな業種の人や著者、有名人とつながってきました。人と人の出会いから新しい企画が生まれ、沖縄ではこれまでに約2000のイベントを開催。イベントだけでなく、本をきっかけにしたいろいろな仕事にもつながっています。本にはどんなジャンルもあって、可能性は本当に無限大。出会いもアイデアも、どんどん広がっていきます。