
2025-07-17
親子で読みたい、話したい 絵本で知る「戦争と平和」
2025年は、太平洋戦争の終戦から80年目の年です。日本だけでなく、世界中が争い・暴力により傷つきました。その傷が癒えることはありません。
SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」を実現するために、我々に何ができるかを考えました。そのうちの一つとして考えたものが、「読書活動をとおして戦争の悲惨さを伝え、平和な世の中を保つ」ことです。
本記事では親子で読み、平和について考える・話すきっかけとなるような絵本を書店員が厳選しました。厳選した書店員のコメントもついておりますので、あわせて御覧ください。
丸善ジュンク堂書店・書店員が選ぶ、親子で読みたい絵本18選
5歳~
表紙に騙されるなかれ。
両開きで見せられる平和な世界に生きるボクと戦争のある世界に生きるボクとの対比がとてもわかりやすく心に入ってきます。人間に違いなんて無い・違うのは生きてきた環境だけ、というのをド直球で見せられはっとしました。
シンプルな言葉と絵だからこそ、空白部分を考えさせられる絵本です。
丸善 丸の内本店・児童書担当 E.K.
5歳~
様々な戦争文学を読んでいるけれど、いちばん強烈に心に刻まれているのが『かわいそうなぞう』だ。
人間たちの戦争の影で犠牲になる動物たちは、今でも確かに存在している。そこことを絶えず私たちに教えてくれる絵本だと思う。
丸善 丸の内本店・レジ担当 M.I.
5歳~
世界の何処かで依然として止むことなく続いている戦争。感情のないロボットのようになりたくない、僕たち・私たちは人間だ。人間に国境もない、同じ痛みを感じるんだということを受け取ってほしい。タイトルの「ひとのなみだ」のぬくもりを伝えたい。
丸善 八尾アリオ店・店長 S.O.
小学校低学年~
中学2年生の教科書に出ている向田邦子さんの作品「字のない葉書」が原作で、向田さんの妹の学童疎開を絵本にしたものです。
学童疎開をした妹は、父から「元気なときは大きな○を書くように」と言われ、タイトルのごとく「字のないはがき」を送ります。小さなお子さまでも読みやすい内容です。
ジュンク堂書店 郡山店・児童書担当 M.K.
小学校低学年~
一人になったちいちゃんの必死で生きようとする姿に胸がいっぱいになり普段の幸せが当たり前でないことに気付かされます。戦争を知らない私達世代に読みつがれていくべき絵本です。
丸善 ラゾーナ川崎店・児童書担当 H.Y
小学校低学年~
おなじそらのした つながっている、このほしのこどもたち。なぜ安心して眠ることができないのか。愛すべき家族とおいしいものを食べることができないのか。子どもたちが前を見据え、進んでいく先は・・・。作者が平和への祈りを込めた、渾身の一冊。
ジュンク堂書店 近鉄あべのハルカス店・児童書担当 I.M.
小学校低学年~
80年前にほんとうにあったこと。
この絵本を手にとり、詩を読み、ひろしまの子たちに思いをはせること。そのとき感じた気持ちを大切にしてほしいと思い選びました。
ジュンク堂書店 秋田店・児童書/芸術書/語学書担当 38号
小学校低学年~
教科書で読んだから戦争で何が起きたかは知っていると思っていた。
なのに、はじめてこの本のページを開いたとき、泣きそうになった。
戦争を生き延びた子どもたちがずっと手放さなかった記憶が、ページをめくるたびに流れこんでくる。これは戦争の追体験だ。
日本各地でそれぞれの人生をまっすぐ生きていた17人の体験談、80年の時を越えて届いたその声に耳を傾けてほしい。
丸善 多摩センター店・児童書担当 いとう
小学校低学年~
兄は、「ぼうけん」という想像で、小さな妹を怖がらせまいと、守ろうと、勇気を出させようとする。「ぼうけんか」であろうとすることは、妹を、そして兄をも救った。戦争の過酷な現実と、その中でも生き延びる術を見つけようとする子どもたちの姿に、胸を打たれます。
ジュンク堂書店上本町店・児童書担当 Y
小学校中学年~
持ち主を失った”物”たちから語られる悲痛なさがしものに心がぎゅっと締め付けられます。
広島に原爆が落とされる数秒前まで普段と変わらない日常を送っていたであろう人々の暮らしを、写真を通して見せつけられる静かな悲しみの絵本です。
丸善 丸の内本店・児童書担当 E.K.
ここにあるのは、生々しいまでの、人が生きて消えていった事実。
持ち主から否応なしに離されてしまった哀しみと戦争の理不尽さがつのる。
ジュンク堂書店 藤沢店・児童書担当 S.S.
小学校中学年~
「はずかしながら、生きながらえて帰ってまいりました」という言葉で知られる横井庄一さん。その生涯を切り絵で紹介する絵本です。
終戦を知らずグアム島に取り残されながらも、服職人として身につけた技術で生き抜いた横井さんの数奇な人生。どんなときでも創意工夫を忘れない横井さんの人となりから、平凡な人の人生を狂わせる戦争の恐ろしさだけでなく、理不尽な状況に負けなかった人間のすばらしさが伝わってきます。
丸善 名古屋本店・語学書担当 N.H.
小学校中学年~
「政府の言うことに従っていれば、きっとなんとかなる」
老夫婦はそう話しながら、ラジオから聞こえる情報に耳を傾け、手製の核シェルターに立てこもる。しかし、原子爆弾はふたりの体を着実に蝕んでいく。戦争、原子爆弾の恐ろしさを伝えるこの物語は、核戦争の脅威が存在する世界で生きる私たちにとっても他人事ではない。読みつがれるべき1冊。
ジュンク堂書店 池袋本店・雑誌担当 K.S.
小学校中学年~
見守る存在のお地蔵さんの表情をここまで変えてしまう原爆の凄まじさとおそろしさ。
過去にあった悲惨な戦争から、今もこの世界で続いている戦争の不毛さを知り、平和について考えたくなる。
ジュンク堂書店 藤沢店・児童書担当 S.S.
小学校中学年~
戦争で犠牲になるのは戦闘地へ赴く兵士だけではない。本来なら守られるべき、弱く小さな存在の命も問答無用でたくさん奪われてしまう。タイトルの“たち”と複数になっている部分に大きな喪失感と消えてしまった大切な存在への後悔を感じてほしい。
ジュンク堂書店 藤沢店・児童書担当 S.S.
小学校中学年~
初めて読んだ時の、頬を張られたような衝撃を忘れられない。
世界には、生活のために働かなければならない子どもや、戦下で苦しんでいる子どもがたくさんいる。そのことは勿論頭ではわかっていたつもりだったけれど、私たちが「平和」に生きている毎日と地続きであること、つながったこの地平の上で起こっている出来事なのだと意識できていなかったのだ。この絵本に、目の前に突きつけられるまでは。
ジュンク堂書店上本町店・児童書担当 Y
小学校高学年~
終戦の日から1週間後、日ソ停戦協定が成立する2時間前、日本海で樺太からの引揚船3隻が旧ソ連の潜水艦から攻撃され1708人が亡くなった三船殉難事件。
戦争のやるせなさ、ぶつけようのない怒りや悲しみをひっくるめ、主人公たちが地元の歴史として受け入れてゆくさまを見て頂きたいです。
ジュンク堂書店 旭川店・学参/児童書担当 N.S.
小学校高学年~
戦場を取材するジャーナリストは、なぜ自ら危険な戦地に赴くのでしょう。
その理由をとてもわかりやすい言葉で綴られています。胸が痛むほどの厳しい現実があるなか、平和な世界にするにはどうすればいいか。本書はその第一歩を教えてくれます。
ジュンク堂書店 近鉄あべのハルカス店・児童書担当 I.M.
全年齢
(こどもからおとなまで)
最初にこの絵本を読んだ時、怖いと思いました。何もわからないベイビーたちがどんどん進んでいく。戦場という危険な場所ですらどんどん進んでいく。戦場にいる兵士たちは、それをテレビで観ている人たちは、そしてこの絵本を読んでいるあなたは、何を感じるでしょうか。力強く進むベイビーたちの革命を目の当たりにしてください。
丸善 ジョイホンパーク吉岡店・児童書担当 K.S.
おわりに
”戦争””平和”をテーマに取り扱う絵本には、戦争がもたらす喪失を描いた作品が多いです。残念なことに、戦争は今も世界で起きています。書店に勤めるものとして、微力ではありますが、絵本が持つ”伝える力”をできるだけ多くの方に伝えていきたい。そしてその積み重ねが平和に寄与することを願っています。