体育学・スポーツ科学は、単なる運動の研究にとどまらず、貧困、差別、社会的排除、環境問題、SDGs、平和といった社会課題の解決に貢献することが求められています。そのため、研究者や団体は社会課題解決に向けた取り組みを始めています。日本体育学会も2021年に「日本体育・スポーツ・健康学会」へと改称し、個人の幸福と共生社会の実現を目的に掲げました。また、日本学術会議では、スポーツを通じた社会参加や公平な参画のあり方を議論し、スポーツの社会貢献の方向性を模索しています。さらに、国際的なスポーツイベントが戦争や紛争の続く世界で開催される中、スポーツの意義が改めて問われています。体育・スポーツには社会課題解決の手段としての価値があるのか、それをどう活かすべきか、逆にスポーツ自体が課題となる可能性はないのか。本特集では、これらを多角的に考察しています。