「いま」「ここで」、〈それでよい〉と語る勇気。近代的思考の基礎を作ったドイツ観念論の四人の代表的哲学者。彼らの思想の核心には、歴史の「これから」におのれの身一つで踏み出す勇気と決断があった。先達の思想を受け継ぎ、かつ乗り越えていくダイナミックな思想の歩みを、これまでになく平易かつ明快に解説する。
[本書の内容]
序 章 ドイツ観念論とは?
第一章 カント『純粋理性批判』の「歴史哲学」
1 孤独な〈私〉から〈われわれ〉の共同体へ
2 存在とは規則性である
3 『世界市民という視点からみた普遍史の理念』
4 カントの「関係性の哲学」とラインホルトの「基礎哲学」
第二章 フィヒテの『知識学』――フランス革命の哲学
1 自由の体系は可能か
2 人間精神の実用的歴史
第三章 シェリング――自然史と共感の哲学者
1 自然史と同種性の原理
2 自己意識の前進的歴史
3 同一哲学とヘーゲルの批判
4 ドイツ観念論以後のシェリング――「悪の形而上学」と「世界時間論」
第四章 ヘーゲル『精神現象学』――真理は「ことば」と「他者」のうちに住む
1 『精神現象学』の成立と特徴
2 感覚的確信――語られたものだけが真理である
3 主人と奴隷の弁証法――他者との共存は可能か
4 ギリシアのポリス――〈われわれ〉としての精神
5 ヘーゲルとフランス革命
6 道徳――歴史を創造する主体
7 宗教――神はみずから死にたもう
8 絶対知――「いま」「ここで」〈それでよい〉と語ること
あとがき
引用文献
参考文献
索引