傷つきから立ち直る力を資質・獲得という観点から整理。尺度を作成してレジリエンス要因には個人差があることを明らかにし、資質的要因の少ない人が後天的にレジリエンスを高めるための臨床的サポートのあり方を模索する。二次元レジリエンス尺度を用いた研究のレビューを増補。
【第1章 レジリエンスという「心の強さ」より】
もう一つの「心の強さ」が,傷ついても回復する力,すなわちレジリエンスである。この「心の強さ」は,一つ目の強さのように「弱さ」と同じ軸の対極にあるものではない。なぜなら,ストレスに対して傷ついたり,落ち込んでしまう「弱さ」を持っていても,その後立ち直り,前に進んでいける人がいるからである。傷ついても,そこから立ち上がることのできる力がレジリエンスであり,それは「傷つかない」力とは少し異なる。つまり,このレジリエンスは,たとえ「弱さ」を持っていても,同時に持つことができる強さであると捉えられる。