"導波光学"は、光ファイバのような光導波路や、各種の光回路素子の設計原理の基礎となる重要な技術である。これらは必ずしも光通信の要素技術だけにとどまらない。光導波路や光波回路は、光を空中のような自由空間ではなく、光ファイバのような導波構造に閉じ込めて光を意のままに操れるようにするのが最大の特徴で、広い意味での光学系の応用である。したがって、このような特徴を生かせる分野に応用可能であり、たとえば、光ファイバセンサなどの光計測、各種タイプ半導体レーザの基本構造、ファイバ形光デバイス、光通信とは直接結びつかない光波回路や光システムなどに使われている。光の閉じ込め現象を体系的に扱い、各種光回路素子や光システムの設計に生かすことが、"導波光学"の目的である。"導波光学"の類書は技術者・専門家向けにまとめてあり、本書のような学部(上級)・大学院生などにも理解しやすいテキスト・入門書がまだない状況である。光学応用の電気電子産業においても、光工学出身がすくないこともあり、こういった分野の技術者にも十分に独習可能である。