コロンブスはアメリカ大陸がアジアだと死ぬまで信じていた。その陸地の性質をめぐり,一六世紀に出版されたアメリゴ=ヴェスプッチの『新世界』と『四度の航海』が一石を投じる。彼にちなんで新大陸をアメリカと命名した者まで現れた。しかしアメリゴの死後,発見者の名誉をコロンブスから奪おうとしたと非難される。一八世紀に彼の私的な書簡が発見されると,先の二著がアメリゴの作なのか論争が起こった。誰が何の目的で『新世界』を書いたのか。そもそもアメリゴは本当に航海したのか。本書は謎に満ちたアメリゴの実像に迫るものである。