「ビオン全集」全16巻の第7巻目の翻訳。軍事独裁政権下のブラジルで行われた、ビオンによる質疑応答を含めた逐語的な講義録。まず、ビオンが挑発的と取られるような話題を提供し、聴衆より提起された質問に答える形式で講義は進む。かき立てられる疑念や衝撃、そして沈黙・躊躇・不安、その後に訪れる驚きと生産的な思考作用が、その場にいる聴衆同様に味わえる。汚職と経済的混乱のさなかにある地で、ビオンは異なる言語を持つ聴衆に何を意図して語ったのか、そして聴衆の無意識的な動機にどう対応したのかを、臨場感とともに収めた貴重な書。
原書名:The Complete Works of W. R. BION vol.Ⅶ Brazilian Lectures 1973/1974