現在日本には、5771 館の博物館、2800 館余の公立文化ホールがある。その役割としては、市民に文化芸術観賞の機会を提供したり創造的活動の支援をしたりといった直接的なことに加え、地域社会に貢献し広くステークホルダーに支持されていくための空間(社会との関係性)創出も求められている。
文化事業や文化施設の公共性の一つは、地域の人々がその活動に関わり、それをきっかけに人々が交流し地域的なまとまりができ、地域のアイデンティティの確立につながることだと著者はいう。さらに、訪れる広域の人々も巻き込んだ文化圏がつくられていくことで、経済社会活動の循環もできていく。上から与えられた芸術の鑑賞の場にとどまることなく、自分たちの公共空間となり得るために、「公共性」の概念からその役割を検証し直すことは、地域活性化への示唆にもつながる。「文化の力」が人々の自律的な力を引き起こし、開かれた公共性を実現する時、地域に変化がもたらされるのである。
本書では、文化活動 ・ 事業と文化施設について「公共性」の概念からその役割を検証すると共に、住民自ら地域の文化資源を再発見し活性化に取り組む様々な事例を通じて、文化が地域の課題解決にどのような役割を果たせるのか、理論的・実証的に検討する。
地方自治体の政策関係者はもちろん、文化産業に関わる方々には、具体的事例も豊富で文化施設活用・地域活性化への示唆に富む。