本書は数学者ラマヌジャンの業績から想起された一連の評論である。著者のハーディは自身も解析的数論の大家であり、ラマヌジャンを見出し、また彼との共同研究を通じて他の誰よりもラマヌジャンをよく知っていると自他ともに認める第一人者である。ラマヌジャンは近代ヨーロッパの数学に関して正統的な教育を受けたことはなく、貧しく孤立したヒンドゥー教徒がその頭脳をもってヨーロッパの知恵の集積に立ち向かうという、あり得ないような不利を負いながらも、驚くほど多くの美しい恒等式を発見した。ラマヌジャンは当初、証明という概念を持ち合わせなかったが、ほとんど神秘的なまでに数の特異性を思い起こすことができ、すべての正の整数は彼の個人的な友人であるとも評された。その仕事の多くが結果的には以前から知られていたことだったというのは避けられなかったが、むしろそれは彼の想像力と洞察力の証拠として今もなお我々を感動させるだろう。