歌合は和歌行事として平安時代の貴族社会で始まり、遊戯的要素が強かったものが様式の変化に伴い、次第に文芸性が高まっていった。新たな展開を見せたのは『古今和歌集』の成立後ほどない村上朝期(946〜967年)。この勅撰和歌集の残像のなか、歌合の表現は醸成されていった。これらの発展には何が寄与したのか。女集団たる後宮と、男集団たる内裏・臣下の歌合の様相にこそ鍵がある。村上朝前後で和歌表現はどのように展開していくのか。それぞれの歌合の性質に寄り添い、歌合史の視点から文学的な躍動の始まりを村上朝期に見出す新たな表現論。