• 発売日:2024/03/15
  • 出版社:学文社
  • ISBN:9784762033148

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ジンメルにおける社会生成の理論

ジンメルにおける社会生成の理論

通常価格 4,400 円(税込)
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商品説明
19世紀後半から20世紀初期のドイツにあって、
哲学および社会学上のさまざまな業績を残したゲオルク・ジンメル(Georg Simmel)。
彼の業績や先行研究にも触れたうえで、
そのジンメルの社会学を、社会学の基礎理論として再検討・再評価する。

ジンメルの社会学、とりわけ形式社会学について、独自の検討をおこない、
その社会理論としての再評価をめぐる議論の進展に寄与する。

〈ジンメルの形式社会学は、人びとの相互作用から出発して、超個人的な存在としての
「社会」の存立機制を解明する、という理路を内包するものである。
その根底には、彼の生の哲学における「生の主観/客観への二元的分離」と、
その帰結としての諸個人の疎外という問題意識があった〉。

本書では、第1に、ジンメル形式社会学の記述の中から
超個人的な存在としての「社会」の生成に関わる論点を抽出する作業と、
第2に、そうして抽出された論点がジンメルの社会哲学的な問題意識と
いかに関連するかについて検討する作業をおこなう。

今日における、社会理論および社会分析のどのような文脈に、いかに位置づけられるのか。
得られた成果に基づき、現在の社会情況も交えて考察する。
「個人と社会の葛藤」の問題に取り組む、ジンメルの社会学をより理解するための1冊。
目次
 序 章 本書の趣旨
  1 ジンメル社会学に対する捉え方
  2 本書の主題
   (1)相互作用から「個人と社会の葛藤」へ
   (2)社会の〈内部かつ外部〉の視点
   (3)本書のアプローチ
  3 本書の概要

第Ⅰ部 ジンメルと社会学
 第1章 ジンメルの生涯と業績
  1 ジンメルの生涯
  2 ジンメルの時代
  3 ジンメルの学問
   (1)ジンメルの業績
   (2)ジンメルの全体像―先行研究から―
   (3)哲学と社会学
  小  括

 第2章 ジンメル研究の動向
  1 初期の研究
  2 ジンメル・ルネサンス
  3 日本での受容
   (1)初期の受容
   (2)戦後の復活
  小  括

 第3章 ジンメル社会学の基本的視角
  1 相互作用と生成
  2 抽象とアナロジー
   (1)「社会化の形式」の抽象
   (2)アナロジカルな手法
  3 対立物の融合
  小  括

第Ⅱ部 二元論と両義性
 第4章 「女性」と二元論の統一
  1 ジンメルの男女論
  2 ジェンダー論としての限界
  3 ジンメル男女論の読み換え
   (1)二元論の2つの統一
   (2)2つの統一の統一
  小  括

 第5章 「よそ者」と第三者の視座
  1 社会のアプリオリとよそ者
  2 「排除された者」としてのよそ者・貧者
   (1)よそ者の社会学的意義
   (2)貧  者
   (3)社会化の形式としての「排除」
  3 内部と外部の二重性
   (1)「排除」と三者関係
   (2)社会の「内部」と「外部」
  小  括

 第6章 支配と多数決における個人と社会
  1 「一人支配」からの出発
   (1)「排除」と〈外在性〉
   (2)「敵」あるいは「よそ者」としての支配者
   (3)支配者の〈外在性〉と従属者の〈余剰性〉
  2 多数決の社会学的意義
   (1)「社会構成の本質」と票決の意味
   (2)多数決以前としての満場一致
   (3)多数決
  3 支配における個人と社会
   (1)3形式の検討
   (2)「多数決」から「客観的な力への従属」へ
  小  括

第Ⅲ部 相互作用から〈個人と社会〉へ
 第7章 相互作用と「個人/社会」二元論
  1 探究の方向―「抽象次元の相違」から「発生論的考察」へ―
   (1)形式社会学と一般社会学
   (2)多数決論における「新しい転換」
  2 「超個人的な統一体」の発生
   (1)三者関係論からの知見
   (2)社会圏の拡大と機関の形成
   (3)社会の内部と外部
  3 「相互作用」から「個人/社会」へ
  小  括

 第8章 ジンメル社会学の「根本問題」と「超個人的な統一体」
  1 個人と社会の葛藤
   (1)2つの個人主義
   (2)分業と「社会と個人の葛藤」
  2 生の超越と超個人的な統一体
   (1)形式社会学における個人
   (2)生の自己疎外と理念への転換
   (3)文化の悲劇
  3 生の自己疎外と社会
   (1)生から相互作用へ
   (2)生の哲学と形式社会学における「転換」
  小  括

 終 章 本書の成果とその展望―「物象化論」としてのジンメル社会学―
  1 本書の成果
  2 ジンメルの「物象化論」
   (1)物象化論への接近
   (2)物象化論としての『貨幣の哲学』
  3 「物象化」と「疎外」
   (1)疎外論から物象化論へ
   (2)問題としての「疎外」
   (3)物象化のポジティブな側面
  4 「個人と社会」の現在
   (1)作田啓一の個人主義論
   (2)現代社会の考察に向けて

 付論1 三者関係論から差別の社会学へ
  1 「三者関係としての差別」論
  2 集団における被差別者の位置づけ
  3 マジョリティの普遍化
  小  括

 付論2  近接性と距離―バウマン道徳論におけるジンメルの援用をめぐって―
  1 バウマンの道徳論
   (1)ポストモダンと道徳の再個人化
   (2)近接性と距離
  2 ジンメルの諸論点
   (1)二者関係と三者関係
   (2)他者の認識
   (3)よそ者と貨幣
  3 バウマンにおけるジンメルの影
   (1)二人の道徳パーティ(moral party of two)
   (2)第三者の出現
  4 考  察
   (1)二者関係/三者関係
   (2)バウマン道徳論への批判と期待

 あとがき
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