本書は「乱心」という視角を新たに導入し、刃傷事件の処理法を分析した。具体的に、江戸時代前期に起きた盛岡藩と加賀藩の喧嘩・刃傷事件の諸事例を題材に、それらの事件がいかなる方法によって処置・処理されたか、そして、処罰の対象者および処罰の中身がいかなるものであったかを解明することを目的とした。実際に分析したのは、1644年から1764年までという、江戸時代前期における盛岡藩と加賀藩の計99の事例である。
それらの事例分析を通じ、江戸時代前期における盛岡藩と加賀藩の法運用と慣習の特徴をいくつか提示すると同時に、個別の事例から見えてくる、喧嘩口論事件の処理法の実態の解明に近づくことを目指す。