• 発売日:2024/11/01
  • 出版社:幸書房
  • ISBN:9784782104859

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食品・医薬分野のMALDI-TOF MS微生物検査・同定 ― その基礎と利用―

食品・医薬分野のMALDI-TOF MS微生物検査・同定 ― その基礎と利用―

通常価格 8,800 円(税込)
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商品説明
食品会社は、消費者の食の安全に関して微生物の汚染事故が起こった場合には、食中毒菌か否か、カビではカビ毒産生菌か否かを早急に判断し情報公開しなければならない。そのためには、迅速に菌種同定、並びに菌株識別を行う必要がある。しかしながら、従来の同定法、菌株識別法では、同定に数日かかり、高コストで作業者に高い専門性が必要であり、迅速に多検体の試料を菌種同定し菌叢を解析することは困難であった。そこで、迅速に微生物検査ができてランニングコストも安く、高い専門性を必要としない、MALDI-TOF MS微生物検査・同定に注目が集まっている。
本法は、MALDI-TOF MSで得られたスペクトルパターンを、データベースに格納されている菌種名既知のスペクトルデータのパターンと照合し同定を行うものである。
同定の確率と精度を上げるためには、菌種名既知のスペクトルデータ数が多いこと、さらに同一菌種の多数の菌株のスペクトルデータを取得してデータベースの充実を図ることが重要である。
このデータベースの充実を図るため、大学と食品企業を中心に13団体で MALDI-TOF MS微生物同定コンソーシアムを結成してデータベースの拡充と微生物同定についての勉強会を実施するなど精力的に活動を行っている。
2023年8月にMALDI-TOF MSの微生物同定の食品産業での最新の活用事例について紹介する第1回のシンポジウムを開催した。多くの方に参加していただき、大変盛況であり、多数の参加者から発表に関する詳細な資料提供の要望を受け、参加者の関心の高さが窺えた。
そこで、このシンポジウムの内容を中心に、食品産業以外の実際の産業界での運用事例として医薬関連企業での活用事例および本コンソーシアム活動の主要な成果についても情報提供する目的で一冊の本として纏めることとなった。本書が皆様の有害微生物についての研究、原材料、製造環境および製品の品質管理の一助となれば望外の幸せである。
(「発刊にあたって」より一部抜粋)
目次
目   次

第1 章  MALDI-TOF MS の基本原理
 ―ソフトイオン化がもたらした生化学への質量分析技術の展開―
 1.1 MALDI-TOF MS の発明,歴史的発展
 1.2 MALDI-TOF MS の基本原理
 1.3 MALDI-TOF MS の微生物同定への展開

第2 章 MALDI-TOF MS の微生物同定システムの原理
 2.1 VITEK MS シリーズ(ビオメリュー社)を例に
  はじめに
  2.1.1 試験プロセス - 前処理から測定まで -
   1) 前 処 理
   2) 測定プロセス
   3) 測定する質量範囲
  2.1.2 微生物同定のためのデータベースとアルゴリズム解析
   1) 微生物同定と数値同定
   2) VITEK MS シリーズのデータベースとアルゴリズム解析
  2.1.3 MALDI-TOF MS による微生物同定の活用・検証事例
   1) 環境モニタリング
   2) Bacillus 属菌種の識別
   3) その他の活用事例
  ま と め
 2.2 MALDI バイオタイパー(ブルカージャパン株式会社)による微生物の菌種同定
  2.2.1  MALDI-TOF MS の微生物同定システムの原理
     ―フィンガープリント法による微生物同定の新しい潮流―
   1) 微生物同定の測定原理
   2) 菌種同定における多彩な前処理技術
  2.2.2 菌種同定以外への応用技術,新たなる研究的アプローチ

第3 章 MALDI-TOF MS の微生物同定における位置づけとその妥当性
 はじめに
 3.1 自主検査等で利用される食品の微生物検査同定法の概要
 3.2 分子生物学的微生物同定法の長所と短所
 3.3 タンパク質の分析による微生物同定
 3.4 タンパク質のMALDI-TOF MS 分析による微生物同定
 3.5 細菌の菌種同定におけるリボソームタンパク質解析の妥当性
 3.6 リボソームタンパク質を指標とした菌種同定における試料調製法の影響
 3.7 MALDI-TOF MS による真菌種の同定
 最 後 に

第4 章  食品産業でのMALDI-TOF MS 微生物同定の実際
    ―迅速多検体解析がもたらした食品産業への展開―
 4.1 迅速な多検体解析技術が食品産業にもたらす具体的な利益と効率性
  4.1.1 背  景
  4.1.2 微生物同定機器としての特徴
 4.2 技術導入の際の課題,制限,およびその解決策の事例
  4.2.1 清涼飲料水製造の管理に技術導入するにあたり
  4.2.2 同定に必要な培養条件と同定結果への影響
  4.2.3 同定精度について
  4.2.4 データベースの拡充と種内バリエーション
  4.2.5 インハウスデータベースの作成と拡張
  4.2.6 データベース拡張の取り組みと事例
 4.3 食品安全検査,品質管理,製品開発での具体的なMALDI-TOF MS の使用例
 ま と め

第5 章  医薬品産業でのMALDI-TOF MS の微生物同定の実際
    ―協和キリン株式会社での活用の紹介―
 5.1 導入の経緯
 5.2 導入の検討について
 5.3 導入のバリデーション
 5.4 導入後の活用方法の紹介
 5.5 導入後のメリット
 5.6 活用する中での課題
 5.7 現在の取り組み

第6 章  クレーム食品への迅速対応
    ―直接MALDI-TOF MS 法による菌種同定の検討―
 6.1 腐敗食品からの直接MALDI-TOF MS 法による商品事故対応への迅速アプローチ
 6.2 ろ過を用いた食品残渣除去による直接MALDI-TOF MS 法の検討と
   チルド食品における有効性
  6.2.1 目  的
  6.2.2 方  法
   1) 食品中の菌数測定,食品希釈液の作製
   2) 脱脂綿および5 μm フィルターによる食品残渣の除去
   3) エタノール・ギ酸抽出
   4) MALDI-TOF MS での菌種同定
  6.2.3 結  果
   1) 前処理方法の検討
   2) チルド食品への有効性
  6.2.4 考察ならびに今後の展望
 6.3 遠心分離を用いた直接MALDI-TOF MS 法の検討
  6.3.1 目  的
  6.3.2 方  法
   1) 遠心分離による直接MALDI-TOF MS 法
   2) 菌接種食品における検証
   3) 膨張再現食品における検証
  6.3.3 結  果
   1) 菌接種食品における検証
   2) 膨張再現食品における検証
  6.3.4 考察および今後の展望
 6.4  マイクロ流路型誘電泳動分離装置とMALDI-TOF MS を組み合わせた
    迅速菌種同定法の検討
  6.4.1 目  的
  6.4.2 方  法
   1) DEP-MALDI 法
   2) スパイク試料による検証
   3) 自然汚染試料による検証
  6.4.3 結  果
   1) スパイク試料による検証結果
   2) 自然汚染試料による検証結果
  6.4.4 考察と今後の展望

第7 章  MALDI-TOF MS の微生物同定による類縁菌・菌株識別
    ―既存技術の問題克服の可能性―
 7.1 セレウス菌とその類縁菌の識別
  7.1.1 セレウス菌の分類
  7.1.2 セレウス菌の毒素
  7.1.3 市販のMALDI-TOF MS 微生物同定システムを用いたセレウス菌の識別
  7.1.4 MALDI-TOF MS バイオマーカー法を用いたセレウス菌の識別
  7.1.5 MALDI-TOF MS バイオマーカー法の支援ツール『cereco』について
   1) 『cereco』の対象となる微生物とデータの準備
   2) マススペクトルデータの品質の確認
   3) 『cereco』を使ったバイオマーカー検出と判定
 ま と め
 7.2 納豆菌および類縁菌の識別
  7.2.1 試験方法
   1) 試験菌株
   2) 培養条件
   3) 抽出方法およびMALDI-TOF MS による測定
  7.2.2 試験結果
   1) 培養性状の確認
   2) 試験菌の同定
   3) デンドログラムによる識別の検討

第8 章  MALDI-TOF MS による糸状菌同定法の標準化
    ―微生物同定の弱点克服に向けて―
 8.1 糸状菌の同定における検査法とMALDI-TOF MS の現状
 8.2 MALDI-TOF MS による糸状菌同定法と課題解決のための検討
  8.2.1 糸状菌の前処理法
   1) 液体培養法(Bruker 社推奨法)
   2) NITE 法(Aspergillus の例)
   3)コンソーシアム検討法
  8.2.2 コンソーシアム検討法によるPenicillium 属菌を用いた同定精度の検証
   1) 検討1:液体培養法(購入株)
   2) 検討2:コンソーシアム検討法(購入株)
   3) 検討3:コンソーシアム検討法(野生株)
   4) 検討4:培地の違いによるスコア値の変動
   5) 検討5:試験者の違いによる手技のばらつき
   6) 検討6:ライブラリー登録株の最適培養日数
  8.2.3 塩基配列解析法とMALDI-TOF MS 法に見る類縁菌種の同定精度
   1) P. chrysogenum clade
   2) P. commune/viridicatum/camemberti/crustosum/polonicum/cellarum,
      P. roqueforti clade
   3) P. expansum,P. digitatum,P. italicum clade
  8.2.4 検討結果のまとめ
 8.3 標準化に向けた今後の取り組みの展望

第9 章  食の安全・安心確保に向けた微生物同定用途以外の新しい試み
    ―セレウスグループの低温増殖性リスクやセレウリド産生リスクの評価―
 9.1 セレウスグループ低温増殖性リスク評価におけるアプローチ
  9.1.1 Bacillus cereus group と低温増殖性
  9.1.2 S10-GERMS 法による微生物識別法
  9.1.3 Bacillus cereus group 低温増殖性評価用バイオマーカーの探索
  9.1.4 Bacillus cereus group 低温増殖性評価用バイオマーカーの検証
 9.2 セレウリド産生リスクと低温増殖性リスクの複合的リスク評価
  9.2.1 Bacillus cereus 嘔吐型食中毒とセレウリド産生株
  9.2.2 Bacillus cereus セレウリド検出用バイオマーカー
  9.2.3 低温増殖性リスクとセレウリド産生リスクの同時評価
  9.2.4 Bacillus cereus セレウリド産生条件評価への活用
 9.3 MALDI-TOF MS データ活用による新たな微生物解析手法の展開
  9.3.1 高精度細菌識別ソフトウェアStrain Solution Ver.2
  9.3.2 統計解析ソフトウェアeMSTAT Solution
  9.3.3 MALDI-TOF MS 解析用各種ソフトウェアの活用

第10 章 MALDI-TOF MS による食品微生物同定の課題と対策
 10.1 MALDI-TOF MS による微生物同定の現状
 10.2 産官学コンソーシアムによるデータベースの拡充の重要性
 10.3 課題解決に向けてのコンソーシアム活動の現状と課題
   1) カビの固体培地からの直接同定
   2) スペクトルデータの品質確保
 10.4 高品質なスペクトル取得についての検討
   1) 分析試料調製法
   2) 高品質なスペクトル取得検討結果
 10.5 今後の課題
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