韓国のコンテンツ発展の大きな転換点となったのは、1997年の通貨危機とIMF救済である。
この危機を受けて就任した金大中大統領は、文化産業を21世紀の基幹産業と位置付け、
知識情報社会への移行とIT産業の育成を推進した。
この時期、韓国ドラマは従来の華やかなトレンディドラマから、家族愛や絆を描くIMF型ドラマへと変化した。
これが後の「韓国ドラマらしさ」を形成する要因となった。
同時に、海外展開も本格化し、中国やベトナム、台湾などアジア市場で高い文化的近接性を活かして人気を獲得していった。
韓国のコンテンツ産業は、IMF危機を契機に大きな構造改革を迫られた。
制作会社は権利ビジネスの重要性に目覚め、IPの確保や海外展開に注力するようになった。
特に『冬のソナタ』を手掛けたPANエンターテインメントは、海外権利の保有にこだわり、大きな収益を上げることに成功した。
近年では、Netflixなどのグローバルプラットフォームの台頭により、制作会社の立場が強化されている。
従来の放送局主導の制作から、制作会社が企画・開発から権利管理まで一貫して手掛ける「スタジオシステム」への移行が進んでいる。
また、若手クリエイターの育成や共同執筆システムの導入など、新たな試みも活発化している。
韓国コンテンツの成功は単なる「国策」によるものではなく、IMF危機という苦境から生まれた構造改革と、
それを支えた人材育成の成果といえるのだ。