円楽三代、令和の最新章がはじまる!
“武骨”な五代目を師匠にし、“知的”な兄弟子の六代目のセンスを引き継いだ“大らか”な七代目円楽の新たなる噺家人生が幕を開けた。
前座、二ツ目時代から、素直な人柄で落語界の重鎮から可愛がられ、圓楽、談志、志ん朝、柳朝の四天王、八代目文楽、柳家小さん等の“昭和の名人”の直弟子から、噺の遺伝子をたっぷりと学んだ三遊亭王楽が、七代目三遊亭円楽を襲名するまでの歩みをたっぷりと綴ります。
【あらすじ】
著者は、小学生の頃に『笑点』のテーマソングで級友から笑われて、校長先生も朝礼で、「父親が大喜利で座布団が没収された」とネタにされた。テレビに出ている噺家の父が大嫌いだった人気落語家・三遊亭好楽の倅は、クラスメートからの電話に出た母親が、「好楽です」と応対すると、「ウチは、中華料理屋なんだ」とウソをつく。そんな少年が映画好きの大学生に成長したときに落語に出会い、「こんなに素晴らしい芸能がこの世にあるんだ」と感銘をうけ、父親の師匠である五代目三遊亭圓楽に入門し、王楽の高座名をいただく。
入門直後から、師匠・五代目圓楽から大ネタばかりを教えられ、春風亭小朝に可愛がられ、流派を問わず稽古をお願いする姿勢は、やがて東京、上方の垣根を超えて全国の落語家から愛される若手真打に成長する。六代目円楽が生前に言い残した「七代目円楽は王楽に」という言葉がキッカケで、七代目円楽襲名が決定した。
本書は、父親が高名な落語家(三遊亭好楽)で、父親の師匠(五代目三遊亭圓楽)に入門し、実の親子なのに兄弟弟子という不思議な関係の著者が、その溢れる落語愛と、二世落語家の立場に甘えず精進したことから、七代目円楽襲名の花を咲かせることになった経緯を綴った半生記で、先代、先々代の円楽という噺家の存在が、三世代に亘って世間に愛され記憶される理由を、著者の体験を通じて綴られている。