表現テーマ別 にほんご作文の方法（改訂版）

■ 外国語として日本語を学ぶ中級学習者向けに，書き言葉としての日本語の文章の書き方を効率よく学べるようにと編集した定評ある作文教科書．
■ 表現意図を軸に，文章機能の観点から全16課構成．
■ 日常生活にすぐに役立つコミュニカティヴな内容．
■ 多様な練習問題を解きながら，実際の文章として不自然でない形式やスタイルを全体的まとまりとして学んでもらうことが本書の目的です．
■ 写真・イラスト多数．
■ 巻末に各課の語彙リスト（英訳付）．
■ 付録：初診者カード，履歴書など，さまざまな書類見本．
■ 改訂に際し(2002年10月)，統計資料などを一新しました．

【著者「はしがき」より】本書は、中級に進んだ日本語学習者が、書き言葉としての日本語の文章の書き方を効率よく学べるようにと編集したものである。本書を用いて作文の練習をする際には、まず、話し言葉と書き言葉とのスタイルの違いについて注意してほしいと思う。本書では、会話的表現と混同しやすい「です・ます」体の表記は、手紙文を除いて、練習から意図的に排除してある。練習に使用する目的で会話文を載せてはあるが、それらも書き言葉との違いを示すためのものと考えていただきたい。各課は、書き手の表現意図を軸に、文章機能の観点から構成されており、その点を意識して練習していただきたいと思う。また、本書のねらいは、実際の文章として不自然でない形式やスタイルを全体的まとまりとして学んでもらうことにあるので、文章の表現意図を明確にするためにも、内容はコミュニカティブなものを心がけたつもりである。したがって、文法、語彙に関しては、必要に応じて時には難易にこだわらず提出されている。こうした事情から、特に非漢字圏の学習者に配慮して、巻末には各課ごとの語彙リスト（英訳つき）を付してある。しかし、各課で取り上げられている表現の使い方や文法的規則については、指導する側が必要に応じて説明を行う必要があるであろう。
作文の学習は、いくつかの理由から、学習する者にとっても指導する者にとっても、多くの努力を伴うものであり、決して短時日のうちにマスターできるものではない。けれども、作文の表現技術を効率よく身につければ、書き手の表現意図に従ってかなりの程度に自由に書き表せるようになることを、われわれは経験的に確認してきている。また、作文力の向上が言葉の総合的な能力を高次の段階へと飛躍させることも、疑えない事実であろう。そういう意味では、言葉の学習の上で、作文指導はもっと積極的に行われていいと思われる。なお、今回の改訂に際し、古くなった資料などを新しいものに改めた。本書が日本語を学ぶ多くの学習者に役立てられることを願う。