• 発売日:2020/03/26
  • 出版社:森山書店
  • ISBN:9784839421809

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国際的会計基準論 ドイツのIFRS対応

国際的会計基準論 ドイツのIFRS対応

通常価格 3,300 円(税込)
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商品説明
 ドイツはIASB(国際会計基準審議会)が開発するIFRS(国際財務報告基準)を無条件に導入しているのではなく、英語版のIFRSをEU法の一部としての「国際的会計基準」(ドイツ語版)に置き換えて適用可能にしている点を見逃してはならない。ドイツは"IFRSと等価でかつ効率的な代替モデル”の創造に向けて、HGB(商法典)会計のアップデートを目指しているのであり、その際に「国際的会計基準」「資本市場指向」「規制緩和」概念が、IFRSとの一定の距離感、すなわち"適度な接近”を支えるキーワードになっている。
 つまり、IFRSの受容か拒否か、強制適用化任意適用化、あるいは連結か個別かといった単純な二元論を超えて、IFRSに向けたより戦略的なアプローチを見出すことができる。その意味で、近年のドイツの制度改革のあり方は、IFRS対応に伴う我が国の制度設計の場面で大きな示唆を与えるものと考える。
目次
第1章 ドイツにおけるIFRSへの適度な接近
  はじめに
  1 「国際的会計基準」概念の構築
    (1) 「国際的会計基準」概念の形成
    (2) EU法の一部としての「国際的会計基準」
  2 「資本市場指向」概念の構築
    (1) IAS適用命令に基づく「資本市場指向」概念
    (2) ドイツにおける「資本市場指向」概念の形成
  3 「規制緩和」概念の構築
    (1) 「規制緩和」概念の形成
    (2) 新会計指令へのドイツの対応
  4 ドイツにおける国際的会計基準の適用状況
    (1) 任意適用の実態
    (2) 強制適用の実態
  おわりに
第2章 IFRS対応に向けたEUの会計戦略
   ―エンドースメント・メカニズムの形成―
  はじめに
  1 「指令」による域内の会計調和化
  2 EUの公的文書にみるIFRSへの接近
    (1) 「会計領域の調和化:国際的調和化に向けた新戦略」
    (2) 「金融サービス:行動大綱の策定」
    (3) 「金融市場大綱の転換:行動計画」
  3 エンドースメント・メカニズムの形成
    (1) 「EUの会計戦略:将来の進路」
    (2) IAS適用命令
  おわりに
第3章 EUにおける国際的会計基準適用の法的根拠
  はじめに
  1 EUにおける国際的会計基準の形成
    (1) 国際的会計基準の概念とエンドースメントの構想
    (2) エンドースメントの法的根拠
    (3) コミトロジー手続きの適用
  2 エンドースメントの関与機関と手続きの強化
    (1) エンドースメントの関与機関
    (2) SARGの創設
    (3) コミトロジー決定の修正
    (4) EU議会および理事会の監視機能の強化
    (5) エンドースメントの強化に関するドイツ連邦議会の要請
    (6) エンドースメントの強化に関するEU議会の要請
  おわりに
第4章 国際的会計基準の法的側面をめぐるドイツの議論
  はじめに
  1 国際的会計基準の法的側面
    (1) IFRSの解釈に対する裁判所の権限
    (2) IAS適用命令に基づく解釈
    (3) シェーンの所説の要点
  2 国際的会計基準の解釈の特殊性
    (1) 国際的会計基準の解釈の特殊性
    (2) 国際的会計基準の法解釈
    (3) 新解釈機関としての連邦金融監督庁(BaFin)
    (4) キュティング/ランカーの所説の要点
  おわりに
第5章 「資本市場指向」概念に基づくEUのIFRS対応
  はじめに
  1 "4区分のマトリックス”に基づくIFRS対応
  2 EUにおける「資本市場指向」概念の形成
  3 エンドースメントの強化に関する改革
    (1) エンドースメントのメカニズム
    (2) エンドースメントの新たな改革案
  4 EUの新たな指令と中小企業版IFRS
    (1) EUの新会計指令の要点
    (2) 中小企業版IFRSへの対応
  おわりに
第6章 「資本市場指向」概念に基づくドイツのIFRS対応
  はじめに
  1 ドイツにおける「資本市場指向」概念の形成
  2 2000年の改正による新第292a条
  3 EUのIAS適用命令へのドイツの対応
  4 BilReGによる国際的会計基準の適用条項
  5 BilMoGによる「資本市場指向」概念の成文化
  6 「資本市場指向」概念に基づく会計エンフォースメント
  おわりに
第7章 ドイツにおける会計法現代化法の特徴
   ―規制緩和の第一段階―
  はじめに
  1 会計法現代化法(BilMoG)以前の規制緩和措置
    (1) 2000年の制度改革
    (2) 2004年の制度改革
  2 BilMoGによる規制緩和措置
    (1) BilMoG制定の背景
    (2) 規制緩和に対するEUの要請
    (3) BilMoGによる規制緩和措置
  おわりに
第8章 ドイツにおける非資本市場指向の会計制度改革
   ―規制緩和の第二および第三段階―
  はじめに
  1 最小規模資本会社会計法修正法(MicroBilG)の特徴
    (1) MicroBilG制定の背景
    (2) MicroBilGによる重要な改正点
    (3) 軽減措置の利用条件と適用時期
  2 EUにおける新会計指令の制定
    (1) 規制緩和の推進
    (2) 計算規定に関する改正
    (3) 中小企業版IFRSの非採用
  3 会計指令転換法(BilRUG)の特徴
    (1) 規模基準値の引き上げ
    (2) 附属説明書レベルの改正
    (3) 計算規定面での修正
  おわりに
第9章 ドイツにおける公正価値会計への対応
   ―金融商品会計にみるIFRSへの適度な接近―
  はじめに
  1 EUの公正価値指令への対応
  2 BilMoGによる公正価値会計への対応
    (1) (売買目的)金融商品に対する評価規定
    (2) 「付すべき時価」概念の役割
    (3) 公正価値会計批判への立法対応
  3 公正価値会計にかかわるドイツ特有の概念
  おわりに
第10章 ドイツにおける非財務報告への対応
   ―CSR指令転換法の特徴―
  はじめに
  1 EUのCSR指令の要点
  2 ドイツのCSR指令転換法の特徴
    (1) 対象企業
    (2) 報告形態
    (3) 具体的な報告内容
    (4) 拠るべき指針
    (5) 非財務情報の監査
  3 非財務報告をめぐる不確定法概念
  おわりに
第11章 欧州裁判所の判例が支えるドイツの会計思考
   ―GIMLE判決の検討を中心に―
  はじめに
  1 ドイツの係争を扱った3つの判例
    (1) Tomberger判決
    (2) DE+ES判決
    (3) BIAO判決
  2 GIMLE判決の内容
    (1) 係争の概要
    (2) 判決の要点
  3 ドイツからみたGIMLE判決の意味
  おわりに
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索引
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