表題詩
朝
ポンとボタンに触れる
「午前六時です」と電波時計 目が覚める
いやまだ眠りの続きかもしれない
いきなり「命なりけり」と言葉があらわれる
英文学者の名だ 彼の随筆の表題だ 六十年前のだ
いや 西行法師だ 旅だ 小夜の中山をめぐり
つづいて「花のもとにて」が夢のあとを追っている
「午前七時です」あたりはもう明るい
身をおこし深呼吸する おおわたしは生きている
生かされている 不思議な感覚だ「沈黙」である
沈黙は海であり ことばの海でもある
記憶の森から歌がおくられてくる 「海潮音」だ
英国詩人ブラウニングのピッパの歌〈春のあした〉だ
「神 そらにしろしめす すべて世はこともなし」
「朝は七時」
わたしはなにをする
クロノスとカイロスが微笑んでいる
今日のプロジェは
2017.5