体も使うが頭も使う!
「文学」「国語」に特化したアクティブラーニングの方法を伝える書。
本書は、単に体や手を動かして表面的に何か活動をするというものではなく、①課題の設定、②情報の収集、③整理・分析・考察、④口頭発表・文章化という、研究するときにおこなう基本的なプロセスを取り入れ、各授業のテーマに関連する最新の研究状況も反映させ創り上げた教材を用いて活動する、探究型の授業を紹介します。
授業に参加した一人ひとりが対象にしっかり向き合い、考察の方法を学び、深く読む楽しさを味わうことをめざす授業です。
本書には8つの「授業」を収録。ワークシートもあり、すぐに探究型授業ができるよう作りました。高等学校の「探究型学習」でイメージされている過程をも取り込んでいます。本書からは、有用性がないとも言われる文学、ことに常に必要性を問われている古典の学びが、現代の創造的活動にもつながり、諸問題考察の糸口にもなることが実感できると思います。
目にとまった授業、授業の一部、あるいはコラム、Q&Aの一つでも、楽しんで読んでいただけたり、授業の一部に取り入れたりしていただければ幸いです。
執筆は、吉野朋美(中央大学)・兼岡理恵(千葉大学)・小林ふみ子(法政大学)・佐藤至子(東京大学)・中嶋真也(学習院大学)・中野貴文(学習院大学)・平野多恵(成蹊大学)。
【古典は嫌い、難しい、役に立たない―高校や大学の授業の現場からよく聞こえてくるこんな声をそのままにして、教養として学びなさいとか、受験に必要な科目だから学んで当然、というスタンスでこのまま古典を教え続けても意味はないでしょう。古典は読めればおもしろいですし、今を生き抜く知恵やヒントがあちこちにあります。長年にわたり培われてきた日本文化の持つ発想法を古典から学ぶことで、日常普遍的に社会が抱えている問題を相対化する視座が得られ、ブレークスルーにつながることもあるでしょう。古典を学んでよかった、おもしろかった、役立った、という声が聞こえるよう、これからもメンバー一同、教材研究や授業のよりよい方法を模索し、努力を重ねていきたいと思います。】「あとがき」より