『第十一号監房の暴動』『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』『殺し屋ネルソン』『白い肌の異常な夜』『ダーティハリー』『突破口!』……40年にわたりハリウッドでアクション映画、犯罪映画を撮り続けた職人監督のキャリアと主題を詳細に辿る、モノグラフの名手による書き下ろし長篇評論!
【詳細なフィルモグラフィー付】
誰もがドン・シーゲルを知っている。シーゲルは、一九四〇年代半ばに長編映画の監督となり、八〇年代初頭に至るまでのおよそ四十年間、アクション映画、犯罪映画を撮り続けた商業映画作家である。(…)シーゲルはスタジオ・システムの崩壊によっても、自身のスタイルを大きく変化させることはなかった。(…)類型を反復することで達成できた過激さ。それは映画という表現媒体の根幹にまで達している。まず何より本書は、シーゲルが作り続けた活劇の特徴、主題の絡み合いを腑分けして叙述し、彼の作品がその類型性ゆえに達成しえたものを見定め、彼を一人の映画作家として遇することを目的とする。(「まえがき」より)