人々の心をとらえた「絵」と「ことば」
娯楽や信仰の対象として人々に親しまれた「民衆画」。そこには、しばしば「ことば」が添えられ、絵を説明し、ときに絵と共鳴し合うことで、その趣意を民衆の心に、より深く刻んだ。――『源氏物語』起筆の地とされる石山寺の土産の刷り物、中国の親孝行を説く書籍や年画に描かれた「二十四孝図」、近代欧州に広がっていた「呼び売り」の風習など、時代や場所を超えて、その奥深さを紹介する。
目次:
まえがき/原聖
第1章 石山寺「源氏の間」の紫式部霊宝図と詞書の表象
――「紫式部影」と「紫式部所持源氏物語書写硯」/久野俊彦
第2章 初山団扇絵を描いた日本画家 唄野蛾生
――群馬県館林市富士原町の富士嶽神社における初山参りを中心に/鈴木英恵
第3章 民衆絵巻の図像・詞書・画中詞と絵解き
――「矢田地蔵縁起絵」「矢田地蔵毎月日記絵」を中心に/渡浩一
第4章 年画「二十四孝図」の詞書の源を考える/三山陵
第5章 ベトナム(越南)中部南端―チャムの厄除け降霊儀礼の舞台幕「パニン布絵」について/新江利彦
第6章 ド・ロ版画におけるキリシタン用語/郭南燕
第7章 西欧諸国における民衆画と語り、唄/原聖
あとがき/原聖