• 発売日:2023/02/15
  • 出版社:オシリス
  • ISBN:9784905254126

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春は曙

春は曙

通常価格 5,280 円(税込)
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商品説明
本書収録の写真は、1989年に撮影された写真家・楢橋朝子の最初期の作品群である。撮影から34年を経て刊行することとなった本書のために、楢橋は当時展示で発表したイメージだけでなく、未発表も含めてこの年の写真をあらためて見返し、79点を選んだ。写真集を編むことは、写真家としての自らの出発点を再訪する作業だったのかもしれない。熊本、博多、那覇、石垣島、竹富島、三宅島、御蔵島、横浜、横須賀、東京、湯沢、八戸、三沢、竜飛や十三湖や小泊など津軽のあちこち……撮影地は南へ、北へ、島々へと広がっている。
大学卒業後の1980年代半ば、楢橋は森山大道のワークショップ「フォトセッション」に参加。それは独学で写真に挑んだ楢橋の研鑽の場だった。深瀬昌久と初めて会ったのも、深瀬がフォトセッションのゲスト講師としてやってきたときのことだった。北新宿の当時の小さなアパートは、暗室作業の場所でもあった。気の赴くままに国内の旅を重ねながら写真を撮り、東京に戻ってはプリントを焼き、撮影もし、そして展示の準備をした。濃密な1989年この年の楢橋は、8回の旅をし、6回の個展を開き、4回のグループ展に参加している。写真集を作ることへの関心は乏しく、ともかくも撮り、展覧会で次々と新作を見せていった。こうしたなかで楢橋は、1989年4月に「春は曙」と題した初個展を開催。本書の書名は、このタイトルからとられている。収録のエッセイで楢橋は、写真が日々を突き動かしていた当時の気持ちをこう語る。
「……どこへ行くかも何を撮るかもつよく決めていたことはひとつとしてなく、流れや勢いや絡みや逃げなどが針を動かしていたような気がする。どこでもよかったしなんでもよかったのだと思う。写真は手段ではなく、目的だった。」
その後90年代に入ると、モノクロの《NU-E》シリーズを発表、97年には初の写真集となる『NU-E』を刊行。2000年代以降は、カラーの《フニクリフニクラ》、さらには、不定形の水の姿を前景としながら対岸の都市や山々が蜃気楼のように浮かび上がる《half awake half asleep in the water》等へと制作を進めていく。独自の視点で捉えられた水辺の光景は、国際的にも楢橋の代表作として広く知られることになるが、90年代までのモノクロ作品との繋がりを欠いた印象を持たれていることも確かだ。けれども、『春は曙』は現在に至る楢橋のすべての作品のエッセンスを内包している。とりわけ水辺のカラー作品のもつ、どこか不安定で不確かな、地名性を欠きながらも踏み入った土地の空気を吸い上げていくような感覚、暴力性と繊細さ併せもった感性のいずれをも、1989年の作品は既に宿しているように見える。
1989年、昭和は終わり平成となった。天安門事件、ベルリンの壁の崩壊をはじめ、歴史や経済、社会の仕組みが世界のあちこちで揺れ動き、地球規模の気候変動が意識され始めた年でもあった。淡々と、けれども何かに抗いながら作家活動を続けてきた写真家の、最初の歩行を私たちはここに共有する。
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