ファム・スアン・アンの物語を通してベトナム戦争――小さな一民族が世界最大の帝国に勝利した戦争――について理解することができる。本書は、ベトナム戦争がどのような戦争であったのかを知るうえで貴重な情報源である。
「スリルいっぱいのスパイ本」ではなく、氏の人となりを扱った本です。アン氏は聡明で、国を愛し、ユーモアにあふれ、大変なヒューマニストでした。アン氏が仇敵と見なされていた人々の命を救ったことは少なくありません。南部出身者であるアン氏は、その生涯を通じて家族や友人に囲まれ、高度な思考と理性、そして風刺の精神を保ち続けました。氏はフランス、アメリカ、そしてベトナムという、三つの文化の結晶でした。
ベトナムの英雄ファム・スアン・アン(Phạm xuân Ẩn)を日本の読者に紹介できることを大変嬉しく思います。私は日本を訪れたことはありませんが、日本人はヒューマニズムに基づいた高邁な文化を志向する人々だと聞いています。ですから私は日本の読者の皆さんが、ベトナム人の読者と同じようにアン氏を愛してくれるに違いないと確信しています。その理由はアン氏が、20世紀の生んだ最大の諜報員のうちの一人であるからではありません――活動の範囲が広ければ広いほど、社会の上層に及べば及ぶほど、露見する危険が高いというのは諜報の常ですが、アン氏は戦争終結まで、アメリカ人が呼ぶところの「パーフェクト・スパイ」であり続けた諜報員でした。またその理由は、アン氏が外国の侵略という憂き目にあった国土を解放するため、敵の手のうちで苦難に満ちた闘争を行った人物だからでもありません。アン氏の人生は、最高に柔和で、いちばん勇敢で、人類への愛にあふれていました。このアン氏の物語を通じて、読者の皆さんは、ベトナム戦争――小さな一民族が世界最大の帝国に勝利した戦争として人類の関心を集めた戦争――についてより理解することができるでしょう。 (著者 「日本の読者へ」より抜粋)
アン氏は諜報員であり、戦略家でもあった。アン氏はアメリカ人との間には奥深いネットワークを構築しており、情勢についての卓越した分析が可能だった。彼らは最後まで氏を捕まえられなかった。氏はパーフェクト・スパイだった。」
ジャン・クロード・ポモンティ