天動説から地動説への宇宙像の転換,
それはヨーロッパ人が信奉してきた世界を,
大きく揺るがすものであった。
アリストテレスの天動説は,聖書釈義と結びつき教会によって支持されたが,天体観測に基づき疑義が呈されるようになる。教会は地動説学者の書を禁書とし宗教裁判を行うが,実は徹底的に排斥したわけではなかった。むしろ神学において自然は『聖書』と同じく,神の啓示を記した書物とみなす伝統が存在しており,自然学的研究を行う聖職者も存在したのである──。
本図録では,古代・中世の宇宙像,天動説から地動説への転換,世界図の誕生,また身体という小宇宙をめぐって,キリスト教世界においてどのように探究が行われてきたのか,「アトラス(地図,星図,解剖図を含む図版集)」を紹介し歴史を展観する。
【2024年度西南学院大学博物館特別展オールカラー図録】