京都学派の思想家たちの思索において、「ジェンダー」の問題はあまり重要視されていない。西田幾多郎、田辺元、西谷啓治の著作には、「女性」や「女性的なるもの」の姿はほとんど現れず、一方で、彼らの私生活における女性との関わり方は、倫理的に問題があった場合も見受けられた。
そのため、京都学派の思想をジェンダーの観点から批判的に評価する必要があり、これは京都学派の思想から家父長制的な男性中心的な側面と、逆に、それらをを批判する新しい視点を提供しうる側面を区別することを意味する。本書では「方法としてのジェンダー」を提唱し、京都学派の概念的限界を批判的に分析しつつ、その思想の解放的可能性を明らかにすることを目指す論考集。
装画 まつしたゆうり