傑僧袋中、奈良に来る!!袋中上人は江戸時代初頭に活躍した浄土宗の高僧です。
沖縄の「エイサー」や福島の「じゃんがら念仏踊り」の祖という伝説が生まれるほど
全国的に影響力を持ちました。そんな袋中上人、実は奈良にもゆかりのある人物だったんです。
徳川家康の異父弟、松平定勝の帰依を得て、念仏寺(奈良市漢国町)を建て活動の拠点とし、
釈迦の根本、仏法の興隆と浄土教の布教に務めました。また、京都と奈良の古寺を巡礼し、
衰退していた大寺を見て悲しんだ上人は『南北二京霊地集』に書き留めます。
その記録は後世にも多大な影響を与えることにー。
令和4年(2022)、念仏寺は開創400年の節目に当たり、
元興寺文化財研究所の若手研究者が5年前から念仏寺の調査。
その調査・研究の集大成として出版しました。
檀家の能楽師一族「金春宗家」、奈良町の絵師「竹坊」とのかかわり、
元興寺の智光曼荼羅のこと、鎮守の源九郎稲荷社への信仰、
文久の修陵と弘法山の「開化天皇陵」のこと・・・など、多くの史料をひもとき、まとめられた一冊です。
この一冊で江戸時代の歴史都市「奈良」の町の姿や浄土信仰の一端をうかがい知ることができます。