日本電子デバイス産業協会(NEDIA)の戦略マップは、2015年から既に7年を経過しました。第2フェ-ズでは「未来社会」を実現する電子デバイスに着目して業界を俯瞰していく。「戦略マップ」が、世の中の変化に”きづき”、将来を見通し、成長を獲得するためのツールであることは変わらない。デジタル化の進化は電子デバイス産業の重要性を高めており、「未来社会」を実現するには、電子デバイスが巻き起こすイノベーション、市場、技術、事業の変化にいち早く“きづき”、自らを大きく変化させることが肝要になっている。
変化にきづき、対応するためには、社会の動きを俯瞰し、その動きの意味を考えることが必要である。その動きは必ずしも数値化されているものでなく、誰もが同じことを言うわけでもない。多数意見や統計データが示す変化できづくようではもう遅い。変化のサインは、同業者との会話、異業種との交流、異論、意見、異能、異才に素直に耳を傾ける姿勢からきづくことができる。
すでにCovid-19が3年目に入り、行動が緩和され、経済活動は上向いてきている。しかし、感染の再拡大や、新たな変異株の登場などのリスクは残る。また、ゼロコロナを進める中国のロックダウン政策はサプライチェーンへ波及、中国の経済成長鈍化となっている。それに加えてウクライナ問題は世界の経済を揺るがしている。ロシアに対する経済制裁とロシアによるエネルギー供給削減、小麦・トウモロコシの輸出停滞などは世界経済への影響が大きく、同時に価値観変化への影響もあり、市場の変化も大きくなる。米国と中国、欧州とロシアなど経済、技術デカップリングの可能性、拡大もリスクになる。
「戦略マップ」は、現下の厳しい状況を俯瞰しつつ、リスクを乗り越えた先の「未来社会」実現への道筋に、電子デバイス産業、デジタル技術が担う役割を整理することに挑戦している。個々の企業戦略、事業戦略に直接に提案するものではないが、中長期的なミッション、新事業研究・検討を考えるために役立つツールになる。
本書は四部で構成しており、第一部では、今起こっている大きな変化、方向性を整理、自分事とし、第二部では、未来社会を考察し、実現に必要な中核技術、基盤技術として整理する。第三部では、中核技術を技術の方向性に沿って個別技術に展開し、電子デバイス産業が担う技術に展開、戦略マップ委員の中で評価した。第四部では、日本の電子デバイス産業に関する政策と産業の競争力を分析、業界の行動、各社の挑戦として提言する。