
2025-06-26
書店員が厳選!おすすめエッセイ本30選|笑って泣ける名作をジャンル別に紹介
- 書店員が厳選|笑えて泣けるおすすめエッセイ本30選【ジャンル別】
- 初心者にもおすすめ!エッセイ本の選び方と楽しみ方ガイド
- まとめ|気になる1冊からはじめよう、エッセイのある暮らし
日常の気づきや感情を綴った「エッセイ」は、読む人の心にそっと寄り添う魅力的なジャンル。この記事では、書店員が本当におすすめしたいエッセイ本を厳選して30冊ご紹介!ジャンル別に笑える本・感動系・旅エッセイ・人気のコミックエッセイまで網羅し、初めての方にも選びやすいように、選び方のコツも解説します。
書店員が厳選|笑えて泣けるおすすめエッセイ本30選【ジャンル別】
エッセイとは、日常の気づきや出来事、心の動きを綴った「読者に寄り添う文章」です。難しい知識は必要なく、ふとした時に手に取って気軽に読めるのが魅力です。クスッと笑えるもの、じんわり考えさせられるもの、旅気分を味わえるものなど、そのジャンルは実にさまざま。これこそがエッセイの醍醐味と言えるでしょう。
本記事では、書店員の目線から「読んでよかった」と心から思えるエッセイ本を30冊厳選。読む前に知っておきたい「選び方のコツ」も併せてご紹介します。
① 読んで笑える!共感たっぷりのユーモア系エッセイ・コミックエッセイ
気軽に笑えて、どこか心に残る――そんなユーモア系のエッセイは、読み始めたら止まらない魅力があります。
お笑い芸人の視点から日常を切り取ったもの、都会での奮闘記、身近な体験を鋭い観察眼で描いたもの、そして旅や家族とのエピソードを笑いに変えた作品まで、多彩なテイストの“笑えるエッセイ”をセレクト!
思わず吹き出したり、しんみりとした共感に浸ったりと、読む人それぞれの心に寄り添う、珠玉の5冊をご紹介します。
タイトル | 著者名 | 出版社 |
|---|---|---|
加納愛子 | 筑摩書房 | |
小原晩 | 実業之日本社 | |
品田遊 | 朝日新聞出版 | |
朝井リョウ | 文藝春秋 | |
椹野道流 | 小学館 |
イルカも泳ぐわい。/加納愛子(筑摩書房)
お笑いコンビ「Aマッソ」の加納愛子が、自身の観察眼とユーモアを武器に綴ったエッセイ集。タイトルは、深夜に見た映像から拾い上げたささいな一言から取っているそう。日常の中に潜む何気ない瞬間や違和感を鋭く捉え、軽やかな言葉で笑いに変えていく彼女の観察眼に驚かされます。
書店員おすすめポイント
加納さんらしいセリフ回しの妙と、視点のユニークさが光る1冊。まるで頭の中を覗いているかのような親密さがありながら、絶妙に距離感のある文章がクセになります。お笑い好きはもちろん、文章表現に興味のある人にも楽しめる内容です。
こんな人におすすめ
・疲れているときにサクッと読めるものが欲しい人
・お笑い好きな人
ここで唐揚げ弁当を食べないでください/小原晩(実業之日本社)
上京した著者が、東京での戸惑いと発見をコミカルに綴ったエッセイ集。自費出版から商業化された背景も注目されました。
田舎育ちの青年が、都会のスピードや習慣に翻弄されながらも、少しずつ馴染んでいく様子が、笑いと切なさを交えて描かれます。
書店員おすすめポイント
「どうしてこんなに何もかも上手くいかないのか」と感じる瞬間に読みたくなる1冊。ゆるやかな文体なのに、ふいに核心を突く言葉にドキッとさせられます。地方出身で上京した人には、思わず「あるある…!」と笑ってしまうエピソードの連続です。
こんな人におすすめ
・シュールな笑いを求めている人
・都会生活に戸惑いを感じたことのある人
納税、のち、ヘラクレスメス のべつ考える日々/品田遊(朝日新聞出版)
WEBメディア「オモコロ」で活躍し、“ダ・ヴィンチ・恐山”名義でも知られるライター・品田遊さんによる、濃密なエッセイ集。2000日以上書き続けた日記の中から、えりすぐりのエピソードを収録。納税から昆虫観察、食べ物の記憶、内省から唐突な妄想まで、何げない日常のあらゆる瞬間に思考のスイッチを入れ、オチのある文章で読み手を引き込みます。
書店員おすすめポイント
「何も起きていないのに、なんでこんなに面白いんだろう?」そんな一冊です。ときどき「これ、声出して笑っていいのかな…」と戸惑うような、変化球のユーモアが満載です。共感を求めず、“見つめること”の面白さにハッとさせられます。
こんな人におすすめ
・インドア派な人
・日常系のユーモアが好き
風と共にゆとりぬ/朝井リョウ(文藝春秋)
『風と共に去りぬ』をもじった挑発的なタイトルからして、ただのエッセイではない!「ゆとり世代」を自認する直木賞作家の朝井リョウが、自身の体験をベースに描いた爆笑&共感エッセイ集です。レンタル彼氏への「本気のダメ出し」や、披露宴での余興の裏話など、ありふれた日常が彼のセンスでまさかの展開に。自虐と鋭さが絶妙に絡み合い、笑いながらも「わかる…」と心が動きます。
書店員おすすめポイント
ここまで文章だけで笑わせてくる作家は貴重。明るく軽妙な文体の裏側に、現代人ならではの葛藤や迷いが見え隠れしていて、つい感情移入してしまいます。朝井作品が初めての方にもおすすめの1冊です。
こんな人におすすめ
・笑える文章が読みたいときに
・気負わず、1話ずつ気軽に読み進めたい人
祖母姫、ロンドンへ行く!/椹野道流(小学館)
「お姫様のような旅行がしたい」という80歳超えの祖母の願いを叶えるため、家族はロンドンへ!、五つ星ホテルにアフタヌーンティー、大英博物館にオリエント急行…。祖母の夢をかなえるために奮闘する家族の姿が、温かさと笑いに満ちた筆致で描かれる。読んでいるだけで優雅な旅行気分にひたれる1冊。
書店員おすすめポイント
これは、ただの旅行記ではありません。老いゆく人の夢を叶えること、文化に憧れる気持ち、家族の連携の尊さーーそれらが、ユーモアを通して静かに心に沁みてきます。上質であたたかい“エッセイの贈り物”を求める大人の読者にもおすすめです。
こんな人におすすめ
・家族との時間を大切にしたいと思っている人
・ヨーロッパ、特にイギリスの文化に興味のある人
父の恋人、母の喉仏/堀香織(光文社)
離婚、ホステス業、再婚と別離、孤独死――波乱に満ちた両親の人生を、娘である著者が笑いと涙でつづった、心揺さぶるエッセイ。母は歌舞伎町で働きながら著者を育て、父は再婚と離婚を繰り返し、晩年は一人きり。そんな二人の人生の終わりに立ち会いながら、著者は「家族とは何か」「人を愛するとはどういうことか」という問いに向き合っていく。笑って泣いて、読み手の心にそっと寄り添う家族の物語です。
書店員おすすめポイント
タイトルにドキッとしますが、読み進めると温かくて切ない物語。笑って泣けて、気づけば自分の家族のことを思い出しているはず。堀香織さんのまっすぐな言葉が、読者の心の奥に届きます。
こんな人におすすめ
・家族との関係に悩みがある人
・親の老い・死と向き合う機会があった人
「自分の木」の下で/大江健三郎(朝日新聞社)
ノーベル文学賞作家・大江健三郎氏が若い読者に向けて語りかける17のエッセイ。古典文学、戦争、家族、障がいを持つ息子との日々を通して、“人が人生をどう生きるか”を見つめ直す。大江の「自分の木」という比喩は、自らの思想の根源と、次世代への希望を象徴する。優しくも芯のある言葉で人生を語る1冊です。
書店員おすすめポイント
難しそうなテーマも、大江さんの静かで柔らかな語り口が導いてくれるので読みやすいです。読んだあと、心に一本の木が植えられたような余韻が残ります。人生の指針を見失ったときに読み返したい本です。
こんな人におすすめ
・人生を新しく捉え直したい人
・優しく、力強く励まされる文章を読みたい人
・小説家の子供に向けた文章を読みたい方
一年前の猫/近藤聡乃(ナナロク社)
ニューヨークで暮らす漫画家・近藤聡乃が、家族や愛猫との日々を描いたイラスト付きエッセイ。アサリを探して街をさまよう日常から、静かに過ぎていく季節の変化まで、何気ない生活の瞬間を丁寧にすくい取っている。優しく繊細な語り口とイラストが心をほっと和ませる、愛おしい日々の記録。
書店員おすすめポイント
遠く離れた街での暮らしが、こんなにも身近に感じられるのは著者のすぐれた感性のなせる業。猫のイラストと共に読み進めるうちに、時間がゆっくり流れるような感覚に。静けさの中にある豊かさを味わいたい方に。
こんな人におすすめ
・海外生活に憧れのある人
・紙の質感や造本にこだわりのある読書家
くもをさがす/西加奈子(河出書房新社)
作家・西加奈子ががんと診断され、治療・回復に向き合った日々を綴るエッセイ。病と向き合う戸惑いや葛藤だけでなく、生活の中にあるささやかな喜び、文学や音楽から得た支えを、軽やかで誠実な筆致で描く。傷つきながらも前に進もうとする人へ、そっと寄り添うような1冊。
書店員おすすめポイント
重いテーマながら、西さんらしい明るさとユーモアが感じられる文章に救われます。辛さや弱さを隠さずに表現することの強さが心に残ります。読後は、静かな励ましをもらったような気持ちになります。
こんな人におすすめ
・家族や友人を支えたい人
・西加奈子さんの飾らない語り口が好きな人
読んでばっか/江國香織(筑摩書房)
ジャンルを問わずさまざまな本と向き合いながら綴られる、江國香織の読書エッセイ。文学、詩、絵本、ミステリー…多彩な読書体験を通して描かれるのは、本そのものだけでなく、「読むこと」と共にある人生です。著者ならではの繊細な感性で掬い取った1冊。本好きの心に静かに響きます。
書店員おすすめポイント
本を読むことが好きな人にはたまらない1冊です。「読むこと」と「生きること」が自然に重なっていくような、滋味深くて洗練された文章が魅力。読むたびに手元に置いておきたくなる、大切な読書の共になります。
こんな人におすすめ
・読みたい本を探しているときに
・江國香織さんの洗練された文章の世界に浸りたい人
古くてあたらしい仕事/島田潤一郎(新潮社)
「本で誰かの力になりたい」という思いから出版社を立ち上げた著者が、自身の半生や出版への情熱を綴ったエッセイ集。失敗と試行錯誤の中でも、人との出会いや言葉の力を信じて進んできた姿は、静かでありながら心を打つ強さを持っています。仕事や人生に迷いがあるとき、背中をそっと押してくれるような本。
書店員おすすめポイント
大きな成功ではなく、“誠実に生きること”を肯定してくれる1冊。静かな文章のなかに、確かな思いと優しさが詰まっています。派手ではないけれど、じんわりと心に残る本です。
こんな人におすすめ
・今の仕事に迷いがある人
・誠実で優しい話を読みたい人
③ 旅・食・日常文化を味わうエッセイ|暮らしの豊かさに出会える本
旅や食をきっかけに、見知らぬ文化や人と出会い、自分自身の感性を問い直す――そんな“知的で豊かな時間”をくれるのが、旅・食・日常文化をテーマにしたエッセイです。
異国で暮らす女性たちの姿を追い、スーパーの食品売り場から人生の美学を見つけ出す。
地域・時代・思想を超えて「暮らすこと」や「味わうこと」をじっくりと見つめ直す視点が詰まった、読み応えのある6冊を紹介します。
タイトル | 著者名 | 出版社 |
|---|---|---|
金井真紀 | 晶文社 | |
くどうれいん | オレンジページ | |
伊丹十三 | 新潮社 | |
山川方夫 | 筑摩書房 | |
平野紗季子 | 新潮社 |
テヘランのすてきな女/金井真紀(晶文社)
文筆家・金井真紀がイランの首都テヘランを訪れ、主婦、看護師、弁護士など多様な職業の女性たちにインタビューを行ったエッセイ集。イスラム教国家であるイランに生きる女性たちの日常や葛藤を、著者自身の体験や感想を交えながら描きます。公衆浴場、美容院、女子相撲部など、男子禁制の場所にも潜入し、彼女たちの生の声を丁寧に記録しています。
書店員おすすめポイント
イランという国の女性たちのリアルな声が詰まった1冊。彼女たちの日常や思いが、著者の柔らかな筆致で描かれており、遠い国の出来事が身近に感じられます。ジェンダーや文化に興味がある方におすすめです。
こんな人におすすめ
・海外情勢に関心がある人
・ジェンダー問題に関心がある人
湯気を食べる/くどうれいん(オレンジページ)
歌人・エッセイストのくどうれいんによる、食事にまつわるエッセイ集。「今食べたいものを今食べる」ことを大切にし、自炊を人生に納得するための調律と捉えている。旬の食材を楽しむ姿からは、日々の食事の豊かさが伝わってくる。スーパーの食品売り場がこんなにも楽しい場所だったと気づかされる1冊。
書店員おすすめポイント
日常の食事がこんなにも愛おしく感じられるとは。くどうさんの視点で描かれる食の風景は、読む者の心を温かく満たしてくれます。料理が好きな方はもちろん、日々の暮らしを大切にしたい方におすすめです。
こんな人におすすめ
・料理が好き
・くどうれいんさんの短歌が好きな人
ヨーロッパ退屈日記/伊丹十三(新潮社)
映画監督・伊丹十三氏が1960年代にヨーロッパを旅した際の体験を綴ったエッセイ集。文化の違いに戸惑い、笑い、考える様子が独特なユーモアと観察眼で描かれている。当時のヨーロッパ文化を知る記録としても秀逸な1冊。
書店員おすすめポイント
伊丹十三の鋭い観察力とユーモアが光るエッセイ。旅先での出来事を通して、自身の視点や価値観を見つめ直すきっかけになります。旅好きや文化に興味がある方におすすめです。
こんな人におすすめ
・旅好き
・古くて洗練されたスタイルが好きな人
目的をもたない意志/山川方夫(筑摩書房)
文芸評論から東京論、恋愛論、映画にまつわるエッセイなど、多岐にわたる領域を静謐な文体で語るエッセイ集。著者の妻であり「芸術新潮」の編集長であった山川みどりによる回顧的なエッセイも含む貴重な1冊。
書店員おすすめポイント
山川方夫の深い洞察と静かな情熱が感じられるエッセイ集。文学や映画、人間について考えることが好きな方にとって、心に響く内容となっています。じっくりと読み進めたい1冊です。
こんな人におすすめ
・文学や人間、映画など根本的なことを考えたい人
・大江健三郎、若尾文子、日劇などにビビッとくる人
ショートケーキは背中から/平野紗季子(新潮社)
フードエッセイストの平野紗季子が綴る食事にまつわるエッセイ集。「世界を理解したい。そのための手段が、食べものだった」と語る著者が、実家すぎる店からいつかは訪れたい名店まで、人より貪欲に食べ、言葉を探し続けた20年の記録。食を通して世界を見つめ直す1冊。
書店員おすすめポイント
平野さんの食への情熱と探究心が詰まったエッセイ。読むことで、自分の食体験や味覚の記憶が呼び起こされ、食べることの楽しさを再発見できます。外食やお店巡りが好きな方におすすめです。
こんな人におすすめ
・外食やお店巡りが好きな人
・エッセイ×文学×グルメの掛け合わせが好きな人
④ 絵と言葉でじんわり伝わる|人気のエッセイ漫画・コミック特集
イラストと文章が響き合い、日常の中にある気持ちや記憶をやさしくすくい上げる…それがエッセイ漫画の魅力。
近年は、配達先での出会い、老犬との時間、食卓の記憶、職場のリアルなど、多様なテーマが描かれ、読者の心にじんわりと届く作品が増えています。
“共感できる”だけでなく、“誰かの視点を借りて、自分の感情に触れる”。そんな時間をくれる1冊に出会いたい方におすすめのラインナップです。
タイトル | 著者名 | 出版社 |
|---|---|---|
INA | リイド社 | |
つづ井 | 文藝春秋 | |
井田千秋 | 文藝春秋 | |
益田ミリ | ミシマ社 | |
こいしゆうか | 新潮社 |
牛乳配達DIARY/INA(リイド社)
平成30年、愛知県で26歳の牛乳配達員として働いていた作者が、自身の体験をもとに描いたエッセイ漫画。配達先での何気ない会話や出来事、失敗や喜びなど、日々の業務中に起こるさまざまなエピソードを、ユーモアと温かみのある筆致で綴っています。
書店員おすすめポイント
配達中の何気ない出来事が、作者のユーモアと観察眼によって魅力的に描かれています。日常の中にある小さなドラマや感動を再発見させてくれる1冊です。
こんな人におすすめ
・ちょっと人生に疲れてしまった人に
・穏やかに過ごしたい人に
老犬とつづ井/つづ井(文藝春秋)
著者が10代の頃から共に過ごしてきた大型犬・Aとの最後の日々を描いたコミックエッセイ。愛犬の余命を知った著者が、都会の仕事を辞めて実家に戻り、介護生活を始める様子が綴られています。
書店員おすすめポイント
愛犬との深い絆と、最期の時間を共に過ごす覚悟が、温かく描かれています。ペットとの別れを経験した方や、これから迎える方にも心に響く内容です。
こんな人におすすめ
・犬好き
・泣ける話が読みたい時に
ごはんが楽しみ/井田千秋(文藝春秋)
日常の食事や食器、雑貨など、食にまつわる楽しみを描いたエッセイ漫画。ツナチェダーチーズや苺大福トーストなど、さまざまな料理が登場し、読むほどに食事が楽しみになる内容です。
書店員おすすめポイント
食べることの喜びや、食卓を彩る小物への愛情が伝わってきます。日常の中での小さな幸せを感じたい方におすすめです。
こんな人におすすめ
・食べるのが好きな方
・食器や雑貨集めが好きな方
今日の人生/益田ミリ(ミシマ社)
日常の些細な出来事や感情を、2コマから8ページの漫画で綴ったエッセイ集。むなしさや喜び、年齢を感じる瞬間など、さまざまな「今日」の積み重ねが描かれています。
書店員おすすめポイント
日常のなかにある見過ごしがちな瞬間を、やさしくすくい上げた1冊。忙しい毎日の中で、自分の時間を大切にしたい方にぴったりの1冊です。
こんな人におすすめ
・自分らしい生き方を模索している人
・日常の中で癒やしを求めている人
くらべて、けみして 校閲部の九重さん/こいしゆうか(新潮社)
出版社の校閲部を舞台に、校閲者たちの仕事や日常を描いたエッセイ漫画。言葉や表現にこだわるプロフェッショナルたちの姿が描かれています。
書店員おすすめポイント
普段はあまり知られることのない校閲の世界を、ユーモアを交えて紹介しています。言葉に興味がある方や、裏方の仕事にスポットを当てた作品が好きな方におすすめです。
こんな人におすすめ
・お仕事エッセイが好きな人
・知らない世界に興味のある人
⑤ さくらももこのエッセイ名作まとめ|何度でも読み返したい珠玉の作品
エッセイというジャンルの魅力を語るうえで欠かせない存在、さくらももこさん。
「ちびまる子ちゃん」の作者としても知られる彼女の言葉は、くすっと笑わせてくれる軽やかさと、日常を見つめる静かなまなざしを併せ持ち、読む人の心にそっと寄り添ってくれます。学生時代のエピソード、旅のハプニング、家族との日々…。どの作品にも「ももこさんらしさ」がにじみ出ています。
懐かしさに触れたい人も、初めて読む人も。きっと、日常を少し違って見せてくれる1冊と出会えるはずです。
タイトル | 著者名 | 出版社 |
|---|---|---|
さくらももこ | 集英社 | |
さくらももこ | 集英社 | |
さくらももこ | 集英社 | |
さくらももこ | 集英社 |
もものかんづめ/さくらももこ(集英社)
著者のエッセイデビュー作であり、爆笑エッセイの金字塔とも称される1冊。学生時代のエピソードや家族との日常、奇想天外な出来事がユーモアたっぷりに綴られています。「驚異の水虫撃退作戦」や「たった2ヵ月のOL生活」など、日常の些細な出来事を面白おかしく描いており、読者を笑いの渦に巻き込みます。
書店員おすすめポイント
何度読んでも笑ってしまう、珠玉の一冊。さくらももこさんの語り口は軽妙で、どんな話題も笑いに変えてしまうセンスが抜群です。読むだけで、気分がふっと明るくなるはず。
こんな人におすすめ
・昭和レトロな雰囲気を味わいたい方
・日常にユーモアが欲しい方
ももこの世界あっちこっちめぐり/さくらももこ(集英社)
1996年5月から約半年間、雑誌『non-no』の企画で世界各地を旅したさくらももこさんの旅行記。スペイン、バリ島、アメリカ、フランスなどを訪れ、各地でのハプニングや出会いをユーモアたっぷりに描いています。夫が腹痛に悩まされたスペイン旅行や、バリ島でのナンパエピソードなど、笑いと驚きが満載の旅エッセイです。
書店員おすすめポイント
彼女の視点で描かれる海外旅行記は、読んでいるだけで一緒に旅をしているような気分になります。彼女のユーモアが旅先でも炸裂しており、笑いが止まりません。
こんな人におすすめ
・旅好きな方
・気軽に楽しめるエッセイを探している方
ももこのまんねん日記/さくらももこ(集英社)
2008年から2011年までの日常を綴った絵日記。息子とのゲームや事務所スタッフとのカラオケ、二日酔いなど、平凡ながらもユーモア溢れる日々が描かれています。特別な出来事はなくても、日常の中にある小さな幸せを見つける彼女の視点が光る1冊です。
書店員おすすめポイント
さくらももこの日常を垣間見ることができる、温かみのある絵日記です。彼女のユーモアと前向きな姿勢に、元気をもらえます。
こんな人におすすめ
・何気ない日常を大切にしたい方
・気軽に読めるエッセイを探している方
のほほん絵日記/さくらももこ(集英社)
見開きページの片側にイラスト、もう片側に手書き文字の日記が載った絵日記。家族やペットとの日常、ちょっとした出来事がユーモアたっぷりに描かれています。犬の世話をする父ヒロシが犬に全くなつかれないエピソードなど、思わずクスッと笑ってしまう内容が盛りだくさんです。
書店員おすすめポイント
イラストと手書き文字が温かみを感じさせる絵日記。さくらももこさんのユーモアが随所に光り、読むたびに癒されます。
こんな人におすすめ
・のほほんとした絵に癒されたい方
・サクッと読めるエッセイを探している方
⑥ 書店員の“推し”エッセイ本|プロの本好きがこっそり教える名作たち
書店員だからこそ知っている「実はこれ、すごくおすすめなんです!」という1冊。売れ筋とはまた違う視点から、ぜひ読んでいただきたい“推しエッセイ”をご紹介します。
新刊や文庫化されたばかりの話題作も含めて、他ではなかなか見かけないラインナップにご注目ください。
タイトル | 著者名 | 出版社 |
|---|---|---|
山下清 | 筑摩書房 | |
マンスーン | 素粒社 | |
平民金子 | 朝日新聞出版 | |
上坂あゆ美・ひらりさ | 中央公論新社 | |
三田三郎 | 堀之内出版 |
日本ぶらりぶらり/山下清(筑摩書房)
「裸の大将」として知られる放浪の画家・山下清が、戦後の日本各地を旅しながら綴ったエッセイ集。坊主頭に半ズボン、リュックを背負い、九州、山陰、東北などをぶらりぶらりと巡る珍道中が描かれています。彼の素直な眼差しで捉えた風景や人々との出会いが、素朴な文章で綴られており、読む者の心を和ませます。
書店員おすすめポイント
山下清の純粋で飾らない言葉が心に響きます。彼の旅の記録は、日常に疲れた心を癒してくれる1冊です。
こんな人におすすめ
・読書に苦手意識がある方
・堅苦しくない読み物を求めている時に
無職、川、ブックオフ/マンスーン(素粒社)
WEBメディア『オモコロ』の人気ライター・ディレクターである著者が、30歳まで無職だった頃の体験を綴った初のエッセイ集。怠惰で愉快で切実な、無職の頃とその前後の日々が描かれています。「今日も何も生み出していない。それがとても心地よくもあり。とても気持ちが悪い」といった心情がリアルに表現されています。
書店員おすすめポイント
無職という立場から見た日常の風景や心情が、ユーモアと鋭い感性で描かれています。読後には、何気ない日々の大切さを再認識させられます。
こんな人におすすめ
・ずっしりとした読み応えのある本を求めている方
・実験的な文章が好きな方
幸あれ、知らんけど/平民金子(朝日新聞出版)
神戸の街で40歳から子育てを始めた著者が、平凡だけどかけがえのない日常を綴ったエッセイ集。集団登校を見守り、50歳を前にラーメン漬け生活を捨て肉体改造に励むなど、日常の中での小さな出来事が描かれています。朝日新聞の人気連載を書籍化した1冊です。
書店員おすすめポイント
力の抜けた優しさが心地よく、読んでいてほっとするエッセイです。子育てや日常生活に共感できる内容が満載です。
こんな人におすすめ
・子育て経験のある方
・社会や日常を斜めから見たい方
友達じゃないかもしれない/上坂あゆ美・ひらりさ(中央公論新社)
歌人・上坂あゆ美と文筆家・ひらりさが交わす往復書簡。ジェンダー、家族、仕事、美醜――生きるなかで感じる違和感や痛みを、率直に、時にぶつかり合いながら言葉にしていく。「わかり合えなさ」さえも肯定するそのやりとりは、読む人に問いと希望をもたらします。
書店員おすすめポイント
二人の率直なやり取りが心に刺さります。人間関係や社会に対する違和感を抱える方にとって、共感できる内容が詰まっています。
こんな人におすすめ
・人間関係や仕事、人生に悩みがある方
・社会に違和感を感じたことのある方
よいこのための二日酔い入門/三田三郎(堀之内出版)
酒を飲み、短歌を吐き出す歌人による初のエッセイ集。「人間は酔うと本性が出る」という話は果たして本当か?など、飲酒にまつわる短編を多数収録。アルコールとユーモア、そしてポエジーであなたの世界を揺さぶる1冊です。
書店員おすすめポイント
お酒にまつわるエピソードがユーモアたっぷりに描かれています。短歌とエッセイの融合が新鮮で、酒好きにはたまらない内容です。
こんな人におすすめ
・お酒が好きな方
・短歌が好きな方
初心者にもおすすめ!エッセイ本の選び方と楽しみ方ガイド
「どのエッセイから読めばいいかわからない…」 そんな方に向けて、初めての一冊を選ぶときに意識したい、3つのポイントをご紹介します。
■ テーマで選ぶ
子育て・食・旅・人生・仕事など、気になるジャンルから選ぶのが失敗しにくいコツ。
「共感したい」「知りたい」と思えるテーマがあると、ぐっと入りやすくなります。
■ 文体で選ぶ
会話のような口語調や、やわらかく自然な語り口の作品は、読みやすく初心者にもおすすめ。
逆に、硬めの文章や抽象的な内容は、慣れてから手に取ると◎。
■ ボリュームで選ぶ
短編のエッセイ集や1話完結型のコミックエッセイは、スキマ時間にも読みやすく、途中で中断してもOK。忙しい日常の中でも楽しめます。
エッセイは、読むうちに少しずつ著者の人柄や視点に触れていく、不思議な魅力をもったジャンルです。
また、前提知識がほとんど必要なく、読み始めのハードルが低いのも嬉しいポイント。
まずは「面白そう!」と感じた1冊を選んで、気軽にエッセイの世界を旅してみてください。
まとめ|気になる1冊からはじめよう、エッセイのある暮らし
エッセイは、読むたびに「この気持ち、わかる!」と心の奥をそっとなでるような優しさがあります。今回ご紹介したエッセイは、どれも書店員が心からおすすめする珠玉の30冊。 まずは気になるジャンルや著者の本を1冊選んでみることから、エッセイの楽しさは始まります。ぜひ、丸善ジュンク堂書店の店頭やネットストアで実際に手に取り、自分だけのお気に入りの1冊を見つけてください。