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読んでください。心が救われ、きっと前に進めます
栗山店長コメント
栗山店長コメント
「大峯千日回峰行」を達成された塩沼亮潤大阿闍梨のお話をどうしてもお聞きしたく、思い続けていたところ、数年前、それがやっと実現しました。
「大峯千日回峰行」は、毎日約48キロの山道を16時間かけて歩き、年間120数日を目途に、9年がかりでそれを1000日行う修験道の荒行です。
世界で最も厳しい修行の一つと言われ、その達成者には「大阿闍梨(だいあじゃり)」の称号が与えられます。
念願かなって大阿闍梨にお会いした瞬間、その優しい抱擁力に包まれる感覚、圧倒的な空気感に100%心を開き、反省の心と感謝で涙が溢れ出る、本当の優しさとはこういうもので、ここまで自分を追い込まなければ得られないものなのかと、強く感じました。
住田祐さんの歴史小説『白鷺立つ』は、「大峯千日回峰行」に並ぶ、もう一つの千日回峰行『北嶺千日回峰行』に挑んだ二人の僧侶が主人公です。
持照(じしょう)と戒閻(かいえん)、師弟関係にありながら激しく憎しみ合う二人の心は、はたしてどこで結びつくのか。
タイトルにある「白鷺」とは、白い装束で千日回峰行に挑む者の姿が、山中を白鷺が飛んでいるように見えることに由来します。
あゝ、誰の心の中にも必ずある善と悪。
読んでください。心が救われ、きっと前に進めます。

どれだけ時代が進化しようとも、肝要なのはやはり「人と人」
栗山店長コメント
「権力」と聞くと、少し心がざわつきます。
しかし、権力=決定権を持たなければ、大きな事を起こすのは難しい、というのは紛れもない現実です。
人を活かすためには、自分のことよりもまずは人のことを考えて、というのは大前提ですが、それが「多くの人のために」となると、より良き方向へ導くためには、やはり権力が必要になってくるのです。
本書は、今日、世界で最も影響力のある経営思想家の一人とされる著者が、理想論だけでは生き抜くことの困難な実社会において、人の上に立ち、成功している者が密かに実践する「権力の法則」を7つの項目にまとめたものです。
良書と出会うと、たいてい「なるほど、なるほど」となりますが、この本を読んでいるときは「いやー、本当にそうか?」、そんな言葉が何度となく浮かびました。一つひとつ筆者に問いかけ、会話している感覚だったのです。
これも読書の一つの形、これが大切なのだと納得しました。
どれだけ時代が進化しようとも、肝要なのはやはり「人と人」。
この難しい時代だからこそ、最も大切なそのテーマをしっかりと考えなければいけないと思うのです。
自分を活かすためにも!

足りないものを補いながら頑張り続ける心こそ、最も美しく愛するものである
栗山店長コメント
栗山店長コメント
2004年、第1回本屋大賞を受賞した、言わずと知れた名作です。
何度も繰り返し読んでいますが、最初に読み終えたとき、身体全体が、まだ何物にも影響を受けていない「はじめ」に戻ったかのように浄化された感覚になったことを、今でもはっきりと覚えています。
また、野球人である私は、素数や友愛数、完全数など、数字の不思議に魅せられながら、野球にもこんな見方があるのかと、それまで味わったことのない感動を覚えたのも、新鮮な体験でした。
監督時代、どんなに頑張っても野球の神様に認めてもらえず、「お前に勝ちは与えない」と言われているのではないかと感じたことが何度もありましたが、この作品に描かれている数字の不思議もまた、神様の差配なのではないかと感じる部分もありました。
一つの事柄であっても、それを受け取る人それぞれ、様々な形のメッセージとなって伝わるのだと思います。
“生涯で最も速い球を投げていた江夏だ。縦縞のユニフォームの肩越しに背番号が見える。完全数、28。”
自分以外の正の約数の和が、自分自身に等しいのが完全数。
1+2+4+7+14=28
博士にとって完全数は、一点の曇りもない「美」、そのもの。
しかし、その完全な美よりも、足りないものを補いながら頑張り続ける心こそ、最も美しく愛するものである、そう博士は教えてくれています。

栗山英樹氏と有志による
北海道栗山町の手作り天然芝球場
栗の樹ファーム
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。
栗山英樹書店について
北海道日本ハムファイターズ、野球日本代表「侍ジャパン」を監督として率いた栗山英樹さん。この連載では毎回、その真摯で“実践的”な人生論に根差した書籍たちをご紹介いただきます。
2025-11-05
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。

前半 / ジュンク堂書店現役書店員 大賞受賞
後半 / 犬怪寅日子さんインタビュー


