特集 Sjögren症候群の最近の知見
(馬場 直子 編集委員)
本号では久しぶりにSjögren症候群について特集を組んだ.Sjögren症候群といえば,涙と唾液が出にくくなる膠原病で,抗SS-A抗体が陽性になる疾患として知られているが,近年Sjögren症候群をめぐってさまざまな新知見が得られており,病態の捉え方,検査法やその解釈,治療法もずいぶん変わってきているため,ここでアップデートしてみたい.
まず「Topics」では,Sjögren症候群は環状紅斑のような特異疹のみならず,薬疹や蕁麻疹,接触皮膚炎など非特異的な症状が同一患者に複数現れたり,舌症状,口腔粘膜疹や腫瘍を呈する場合もあり,これらの症状から皮膚科医が本症を疑って精査すべきであること.また,特異疹として知られている環状紅斑は,その病態にI型インターフェロンやIL-17が関与している可能性も示唆されているなど,病態についての最近の考え方を紹介していただいた.
「展望」では,抗SS-A抗体をめぐって,近年抗SS-A/Ro抗体が認識する抗Ro52抗体と抗Ro60抗体に分けて臨床的特徴の解析が行われており,そこからわかってきた新知見や,抗SS-A/Ro抗体はSjögren症候群以外のさまざまな膠原病でも陽性となり,特異的な症状の発症や重症化のマーカーになる可能性が報告されていることなど,興味深い知見を解説していただいた.
「総説 1」では,本症の診断と治療の進歩について紹介いただいた.とくに早期診断,治療によって重要な臓器障害を未然に防ぐために皮膚症状は診断と病勢判断のツールとなること,そして対症療法が主体であった治療に関して生物学的製剤の臨床治験が進行中であることなどにも触れていただいた.
また「総説 2」の病理関連では唾液腺や涙腺への単核細胞浸潤に基づいた分類法とgradeの判定について,新知見としては皮膚病変では小型血管炎が認められ唾液腺とは異なる免役応答が働いている可能性についても述べられている.
ここでは紹介しきれなかったが,各地のアドバイザーの先生方のご協力もあり,さまざまな興味深い臨床報告例も集まった.じっくりと読んでいただければ症例ごとに新たな発見があるのではないかと期待している.