序説 「世紀末」について
「世紀末」――燗熟と変革
起源
デカダンス
進歩と衰頽の間
「世界観」としてのデカダンス
再生の論理
耽美のヴィジョン
第一章 近代日本文学と「世紀末」
1 「世紀末」の生い立ち
2 デカダンスと「近代」
3 「世紀末」の開花と自然主義の全盛
4 世紀末と渾融の美学
第二章 漱石文学における「世紀末」
1 「世紀末」と漱石
2 時代認識
3 さまざまなデカダンス
4 「世紀末」の後景
第三章 世紀末芸術と美的体験
1 留学と美的体験
2 アール・ヌーヴォーとの出会い、ジャポニズムの開眼
3 〈書物芸術〉――世紀末の装丁術
4 都市を見る目――印象主義
5 絵画的趣向――ブラングウィンの場合
第四章 ラファエル前派的想像力――ヒロインの図像学
1 絵の女
2 乱れ髪のアール・ヌーヴォー美人
3 ラファエル前派的想像力
4 もう一つの〈オフィーリア幻想〉
第五章 世紀末的感受性――水底幻想
1 世紀末の「水への想像力」
2 水の女
3 モナ・リザ――ファム・ファタールの原型
4 女性像の両極
5 エロスの領地
6 水性的魂
第六章 浪漫的魂の行方――『薤露行』から『草枕』へ
1 鏡の謎
2 「鏡」の変容
3 寓意としての「シャロットの女」
4 芸術的想像力と〈塔の神話〉
5 白鳥の行方
6 塔中の作家
第七章 絵画と想像力――『夢十夜』の場合
1 豚の絵
2 隠されたモティーフ――キルケー
3 欲望の修辞学
4 〈グロテスク〉の夢想
補論 住まいの風景――『門』における空間の象徴的描法
1 隠れ穴――住まいの原風景
2 家具の秘密
3 ランプの意味
4 メーテルランクと象徴劇
5 存在のなかの〈風の音〉
6 〈静劇〉の世界
注釈
参考文献
あとがき
岩波人文書セレクションに寄せて
人名索引