まえがき
最重要カタカナ語一一選(人物/ユダヤ・イスラエル関連用語)
序 章
用語の起源
独立運動か、植民地主義か――シオニズムの両義性
シオニズム理解における西欧中心主義
第1章 帝国への適応――国民国家以前のシオニズム
1 ヨーロッパ史とユダヤ人
シオニズムの孤高な先駆者たち
ユダヤ人口の中心としてのロシア帝国
ポーランド時代の「植民地化された植民者」
ロシア帝国下のユダヤ人
2 ロシア帝国とシオニズムの発生
一八八一年のポグロムとレオ・ピンスケル
ネーションという概念
パレスチナ入植と実践的シオニズム
アハド・ハアムと精神的シオニズム(文化的シオニズム)
ヘルツルの登場
ロシア帝国内政治での飛躍
反シオニズム
3 伝統との確執と経済問題
同胞への苛立ち――「民族詩人」ビアリク
伝統的共同体の弛緩
モシェ・レイブ・リリエンブルムと経済
ロシア・ユダヤ経済の変化
社会主義シオニズム
アロン・ダヴィド・ゴルドンと農業入植
キブツ
「労働の征服」
多数派の重視
「ユダヤ文化」を定義することへの抵抗
第2章 東と西のあいだで
1 誰が真のユダヤ人か
西欧の魔力
「ウガンダ」論争
2 東からの迷惑な同胞
ドイツのユダヤ人とシオニズム
3 オリエンタリズムの連鎖
オリエンタリズム
ユダヤ人のなかのオリエント
オリエントの分割
第3章 戦間期の遺産――「民族」の国際化とファシズム
1 第一次世界大戦・ロシア内戦とポグロム
第一次世界大戦とユダヤ人
ロシア革命後の内戦とポグロム
ポグロムの影響
2 「民族」の国際化――強制移住・住民交換・マイノリティ保護
ネーションと民主主義
「西ユーラシア東部」での強制移住の歴史
住民交換
マイノリティ保護
ホロコースト
3 ファシスト的権威主義との共鳴
シオニストのあいだのイデオロギー対立
修正主義シオニズムの源流 その1――ジャボティンスキー
修正主義シオニズムの源流 その2――青年組織ベタル
世代交代とパレスチナとの連動
第4章 イスラエル建国と植民地主義
1 祭り上げられたユダヤ人国家
改めて、独立運動か、植民地主義か
入植者植民地主義
シオニストが学んだ世界の再編
パレスチナ分割という発想
「ユダヤ人問題」を厄介払いする
アメリカの消極的支持
ソ連の豹変
フランスとチェコスロヴァキアからの支援
2 シオニズムのアラブ観
初期のパレスチナのイメージ
「アラブ人」というカテゴリ
アラブ観のバリエーションと変化
アラブ人との距離感
穏健派のアラブ観
3 エスニック・デモクラシーの遺産とエスノクラシー
潰えたソ連式の解決策
もう一つの東欧式
エスニック・デモクラシー
エスノクラシー
ソ連からの加勢と国民国家法
第5章 シオニズムのイスラエル化とホロコーストの影
1 多様性の統合と裾野の拡大
イスラエル人口の多様化
マムラフティユート(国家性)
イスラエルとディアスポラの関係
2 ホロコーストのイスラエル化
ホロコーストの記憶
アイヒマン裁判と記憶のフラッシュバック
ホロコースト教育
被害者意識ナショナリズム
ホロコーストの記憶にもかかわらず
ゆえにこそ
3 記憶の共同構築と新たな「反ユダヤ主義」定義
ホロコースト後のケア
西ドイツによる補償
ドイツの加害者意識ナショナリズム
国際社会によるケアの不在
第6章 シオニズムと宗教
1 キリスト教シオニズム
キリスト教シオニズムの起源
アメリカにおける福音派のシオニズム
2 宗教シオニズムの興隆
シオニズムとユダヤ教の関係の類型
宗教シオニズムの過激化
国家との関係
カハネ主義――宗教シオニズム過激派のもう一つの源泉
3 宗教回帰はなぜ起こったか
世代交代
ユダヤ教との分かちがたさ
ユダヤ教の特性
第7章 右派の台頭とゲーテッド・ネーション
1 右派の源流と支持層の拡大
修正主義の変遷
ネタニヤフの思考回路
欧米諸国のイスラモフォビアとの親和性
右派支持への人口変化
2 内外の「対テロ」戦争
テロ激化と壁の建設
「対テロ」戦争
イスラエルのゲーテッド・コミュニティ
3 壁で遮断された想像力
分離壁の長期的影響
ゲーテッド・ネーション
一〇・七
むすび――ケアの不在の帰結
シオニズムと女性
関係性としてのケア
社会問題という視座
国際社会の問題として考える
あとがき
参考文献
図版出典一覧