はじめに――《自治体の発見》 から五〇年
身近で遠い自治体
「タダの人」としての市民
「抑圧の移譲」と「奉仕の献上」
自治=地方的小宇宙?
本書で明らかにしたいこと
第1章 「稼ぐ」地方創生の末路
1 喰われる自治体?
穏やかで小さな町を揺るがす事件
「超絶いいマネーロンダリング」
救急車リース事業のあらまし
「ちょっとずつ侵食する」
「行政機能を分捕る」
2 国派遣の「専門家」が受託業者に
スーパー防災都市創造プロジェクト
「稼げるまちづくりプロジェクト」
総務省派遣のコンサルとして
国はアドバイザー派遣が大好き
3 「官民共創」の推移と結末
国に向けては三つの顔をもつ「計画」
「官民共創」プロポーザルの怪
包括連携協定の締結
「事業を事実上中止」
市民と議会による究明
4 放置された職員処分
公益通報者への処分
処分撤回の審査請求
「メールは削除した」の矛盾
福島県人事委員会の責任
5 「地域活性化」から疑う
「稼ぐ地域をつくる」?
自治体に「稼ぐ」責務はあるか
地域経済における自治体の役割
「信頼を付与する役割」
第2章 分権改革からコロナ禍まで
1 二〇〇〇年分権改革
「地域や暮らしが変わる」
分権改革の「混声合唱」
2 分権改革のその後
三位一体の改革
平成の大合併
東日本大震災と原発事故
生活再建過程における自治体の疲弊
「心の除染」に二億円
3 「地方創生」政策のはじまり
地方を「創生」する?
官界の思惑との溝
「プレミア付商品券」「半額旅行券」
「中央」に回収される地方創生
4 「地方創生」政策の転変
付け替えられる看板
忖度を迫られる自治体
市民から不可視の政策選択
5 コロナ禍の「地方創生」
惨事便乗型「地方創生」?
「上から」計画
「いっときのスローガン」
第3章 崩壊するベースキャンプ――二〇二四年自治法改正
1 国による自治体への「計画統制」
国法で策定要請される自治体計画
分権改革後に急増
計画策定自体が目的化
政策執行責任の転嫁
2 二〇二四年自治法改正
分権改革からの「ポイントの切替え」
自治法改正の三つの柱
3 全体の「最適化」?
チグハグなデジタル化
「最適化」が意味すること
「標準化」がコスト増を招く?
標準化は「お願い」体質化に?
4 「補充的」指示権の創設
国会すらハブられる
「想定外」という不作為
判断するのは「各大臣」
保有すること自体が目的か
「補充的」指示権を擁護する意見
5 指定地域共同活動団体制度の創設
地域活動を統治機構に組み込む?
自治法に残る「総力戦体制」
市民活動を「義務」にしてはならない
指定地域共同活動団体制度の「先進」事例
コミュニティの定義が狭められていく
地域社会と町内会
条例で法律を補完する
もう一つの「隙」
「喰われる自治体」との親和性
謎のアンケート
片務的な人事交流
第4章 地域社会から自治体を考える
1 市民活動と自治体
アリスセンターの解散
放っておけない人たち
相補性と相反性
役所と市民活動との距離感
2 住民と「地域住民」との違い
自立の「強要」
義務を課される「地域住民」
仮構としての「地域住民」
地域と自治体との関係
3 情報空間における「不可視の孤立」
地域社会・地域・市町村
情報空間は超国家(超地域)空間
「不可視の孤立」と貧困
身体性を根拠とする多重的市民権
第5章 ディフェンダーとしての自治体――社会分権に向けて
1 自立できない国の行政
日本の公務員数が少ない要因
日本では自治体職員数が国家公務員数の一〇倍
国による手練手管?
2 「融合」から「分離」へ
天川モデル
役割分担の原則
「融合」から「分離」に転換された事例
3 自治体ディフェンダー論
自治体のミッション
混同される行政活動と経済活動
生命を守る自治体
「雑魚でも生きていますから」
4 「自治・分権」のその先
「地域や暮らしが変わる」ために
社会分権の担い手たちへの期待
予測と調整の技術
自治体から国への展開
社会分権型自治体へ
自治体のミッションと未来への希望
主な引用文献
おわりに――役所の窓口から