• 発売日:2025/12/23
  • 出版社:岩波書店
  • ISBN:9784004320920

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自治体は何のためにあるのか

自治体は何のためにあるのか

通常価格 1,034 円(税込)
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商品説明
地方自治の空洞化が加速している。「地方創生」の名のもとに、「稼ぐ」ための地域活性化を煽られ、コンサル会社による行政の“分捕り”や、国からの新たな統制が広がっている。人口の縮減、デジタル化の進展など、社会が大きく転換するいま、自治体の存在意義を根本から考える。市民が自治体を使いこなすために。
目次
 はじめに――《自治体の発見》 から五〇年
  身近で遠い自治体
  「タダの人」としての市民
  「抑圧の移譲」と「奉仕の献上」
  自治=地方的小宇宙?
  本書で明らかにしたいこと

第1章 「稼ぐ」地方創生の末路
 1 喰われる自治体?
  穏やかで小さな町を揺るがす事件
  「超絶いいマネーロンダリング」
  救急車リース事業のあらまし
  「ちょっとずつ侵食する」
  「行政機能を分捕る」
 2 国派遣の「専門家」が受託業者に
  スーパー防災都市創造プロジェクト
  「稼げるまちづくりプロジェクト」
  総務省派遣のコンサルとして
  国はアドバイザー派遣が大好き
 3 「官民共創」の推移と結末
  国に向けては三つの顔をもつ「計画」
  「官民共創」プロポーザルの怪
  包括連携協定の締結
  「事業を事実上中止」
  市民と議会による究明
 4 放置された職員処分
  公益通報者への処分
  処分撤回の審査請求
  「メールは削除した」の矛盾
  福島県人事委員会の責任
 5 「地域活性化」から疑う
  「稼ぐ地域をつくる」?
  自治体に「稼ぐ」責務はあるか
  地域経済における自治体の役割
  「信頼を付与する役割」

第2章 分権改革からコロナ禍まで
 1 二〇〇〇年分権改革
  「地域や暮らしが変わる」
  分権改革の「混声合唱」
 2 分権改革のその後
  三位一体の改革
  平成の大合併
  東日本大震災と原発事故
  生活再建過程における自治体の疲弊
  「心の除染」に二億円
 3 「地方創生」政策のはじまり
  地方を「創生」する?
  官界の思惑との溝
  「プレミア付商品券」「半額旅行券」
  「中央」に回収される地方創生
 4 「地方創生」政策の転変
  付け替えられる看板
  忖度を迫られる自治体
  市民から不可視の政策選択
 5 コロナ禍の「地方創生」
  惨事便乗型「地方創生」?
  「上から」計画
  「いっときのスローガン」

第3章 崩壊するベースキャンプ――二〇二四年自治法改正
 1 国による自治体への「計画統制」
  国法で策定要請される自治体計画
  分権改革後に急増
  計画策定自体が目的化
  政策執行責任の転嫁
 2 二〇二四年自治法改正
  分権改革からの「ポイントの切替え」
  自治法改正の三つの柱
 3 全体の「最適化」?
  チグハグなデジタル化
  「最適化」が意味すること
  「標準化」がコスト増を招く?
  標準化は「お願い」体質化に?
 4 「補充的」指示権の創設
  国会すらハブられる
  「想定外」という不作為
  判断するのは「各大臣」
  保有すること自体が目的か
  「補充的」指示権を擁護する意見
 5 指定地域共同活動団体制度の創設
  地域活動を統治機構に組み込む?
  自治法に残る「総力戦体制」
  市民活動を「義務」にしてはならない
  指定地域共同活動団体制度の「先進」事例
  コミュニティの定義が狭められていく
  地域社会と町内会
  条例で法律を補完する
  もう一つの「隙」
  「喰われる自治体」との親和性
  謎のアンケート
  片務的な人事交流

第4章 地域社会から自治体を考える
 1 市民活動と自治体
  アリスセンターの解散
  放っておけない人たち
  相補性と相反性
  役所と市民活動との距離感
 2 住民と「地域住民」との違い
  自立の「強要」
  義務を課される「地域住民」
  仮構としての「地域住民」
  地域と自治体との関係
 3 情報空間における「不可視の孤立」
  地域社会・地域・市町村
  情報空間は超国家(超地域)空間
  「不可視の孤立」と貧困
  身体性を根拠とする多重的市民権

第5章 ディフェンダーとしての自治体――社会分権に向けて
 1 自立できない国の行政
  日本の公務員数が少ない要因
  日本では自治体職員数が国家公務員数の一〇倍
  国による手練手管?
 2 「融合」から「分離」へ
  天川モデル
  役割分担の原則
  「融合」から「分離」に転換された事例
 3 自治体ディフェンダー論
  自治体のミッション
  混同される行政活動と経済活動
  生命を守る自治体
  「雑魚でも生きていますから」
 4 「自治・分権」のその先
  「地域や暮らしが変わる」ために
  社会分権の担い手たちへの期待
  予測と調整の技術
  自治体から国への展開
  社会分権型自治体へ
  自治体のミッションと未来への希望

 主な引用文献
 おわりに――役所の窓口から
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