悪徳高利貸しの父を持つシィリンは、美形だが数々の女性と浮名を流す伯爵子息・サヴェスと愛のない政略結婚をすることに。
サヴェスの家は爵位はあるが見栄っ張りな浪費一家。
持参金を全て奪われ、義両親に加え義妹からもいじめられ、ゴシップ紙によると夫はよその女に入れあげているとかで家に帰ってこない。
その上、初夜には「君と同衾するつもりはない」と冷たく告げられてしまったのだ。
味方は実家から連れてきた護衛謙侍女のリッテだけ。シィリンは悲嘆に暮れる……でもなく、ほくそ笑んだ。
――これこそ夢にまで見た理想の政略結婚、と!
ある過去の出来事への贖罪(と半分は純粋な趣味嗜好)のために、シィリンはゴシップ紙に書かれるような“悲惨な妻の生活”を送ることを望んでいたのだ。
だが、婚家の家計は予想以上に苦しく、シィリンは理想の婚家存続のために立て直しを計る。
だがそのせいでシィリンの理想の政略婚生活には誤算が生じはじめ、さらに冷酷で悪名高い旦那様なはずのサヴェスもなんだか様子が……?
人気シリーズ「拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます」の著者による、新たなすれ違いロマンス!