はじめに
I 現代日本人の無常感
1 「はかない」気分
2 「はか‐ない」とは
3 「はかなさ(儚さ)」としての無常感
4 「はかなさ」の向こう側
II「夢の外へ」
1 「浅き夢みじ」──「いろは歌」の決意
2 地獄・極楽とは何か──『往生要集』のしかけ
3 「どうせ」の論理──『古今和歌集』の眼差し
4 死に急ぎの思想──『一言芳談』のラディカリズム
5 「いかでかはこの世のことを思ひすつべき」──和泉式部のためらい
6 「閑居の気味」の位置──『方丈記』の自省のあり方
7 「ゆくへも知らぬわが思ひかな」──西行のふたつの「夢」
III 「夢の内へ」
1 「妄執」のゆくえ──謡曲の鎮魂
2 「一期は夢よ ただ狂へ」──『閑吟集』の狂と情
3 「忍恋」と「無二無三」──『葉隠』のエロティシズム
4 「色に焦がれて死なうなら」──近松の「心中」論
IV 「夢と現のあわいへ」
1 「ありがたき不思議」──『徒然草』の存在理解
2 「夢と現のあわい」の美意識・倫理──「幽玄」「やさし」
3 「俗の外に道なし」──伊藤仁斎の日常への目覚め
V ふたたび、現代日本の無常感
1 「人間の安心」論──近代日本の「無」の思想
芥子粒ほどの存在──志賀直哉
2 「夢よりも深い覚醒」──見田宗介の「鮮烈ないとおしさへの感覚」
3 「花びらは散る 花は散らない」──「色即是空、空即是色」の論理
4 「はかなさ」の感受性の現代的意味──ゆたかな有限性へ
おわりに
解説 西岡文彦
引用文献・参考文献