第一部 歴史──能のあゆみ
俊頼と芸能──中世芸能の源流
中世芸能の始発
唱導劇の時代
観阿弥から世阿弥へ
「花」から「風」に溶けていく──世阿弥、芸人の生涯
第二部 作品──能のこころ
能は幽玄である
【翁】 翁から能へ
【重衡】 重衡または心の修羅劇
【百万】 奈良山と奈良坂
【逢坂物狂】 逢坂物狂──苦労人の神はやさしかった
【蝉丸】 謎の姫宮〈逆髪〉
【鵺】 鵺と芸能神
【善知鳥】 周縁〈日本〉の悲劇
【西行桜】 西行桜または花鎮めの系譜
【熊野】 都市のメロドラマとしての「熊野」
【東北】 能に描かれた和泉式部
【卒都婆小町】 小町九変──「卒都婆小町」「通小町」
【菊慈童】 銘水「<外字>縣山」の秘密
【鷺】 鷺の文化史
【天鼓】 人間と星は別れて
【融】 レクイエムとしての「融」
【松風】 月夜の浜辺の幻想ロマンス
【井筒】 世阿弥と水鏡と紀貫之
【江口】 「江口」のキリについて
【布留】 剣を持つ女神
【葵上】 青または原初の波長──青女房覚書
【野宮】 プリマヴェーラのように
【道成寺】 火の女とサスペンス空間
第三部 鑑賞──能の鼓動
狂と毒と修羅の世界──〈重衡〉
式子内親王の妄想──〈定家〉
放射する「殺気」──〈明智討〉
真夏の夜の夢の劇場──〈仏原・烏頭〉
あとがき
文庫版あとがき