影はすべての人間にあり、時に大きく、時に小さく濃淡の度合を変化させながら付き従ってくる。それは「もう一人の私」とも言うべき意識下の自分だと見ることができる。影である無意識は、しばしば意識を裏切る。自我の意図する方向とは逆に作用し、自我との厳しい対決を迫ってくる。心の影の自覚は、自分自身にとってのみならず、人間関係においてもきわめて重要である。刺激に満ちた万人必携の名著!
[本書の内容]
学術文庫版への序
第一章 影
一 影のイメージ
二 ユングの「影」概念
三 影の種々相
第二章 影の病い
一 二重身
二 二重人格
三 夢の中の二重
第三章 影の世界
一 暗黒
二 不可視の影
三 地下の世界
第四章 影の逆説
一 道化
二 トリックスター
三 ストレンジャー
第五章 影との対決
一 自我と影
二 影との対話
三 影と創造性
あとがき
解説(遠藤周作)