今日、生命倫理や医の倫理、環境倫理や技術倫理など、すべての分野で倫理が問い直されている。エコエティカとは、これら一切を含む「人類の生息圏の規模で考える倫理」のことで、高度技術社会の中で人間の生き方を考え直そうとする新しい哲学である。人間のエコロジカルな変化に対応する徳目とは何か。よく生きるとはどういうことか。今こそエコエティカの確立が急務であると説く、注目の書き下ろし。
[本書の内容]
はしがき
第一章 エコエティカとは何か――序論的考察
第二章 倫理の復権
1 自然や物に対する人間の責任
2 人間のエコロジカルな変化
3 よく生きるための倫理
4 倫理はなぜ忘れられるのか
5 技能動物化する人間
6 身近なエコエティカ
第三章 新しい徳目論
1 倫理の具体像としての徳
2 徳目創造の歴史
(1)勇気/(2)忠/(3)謙遜/(4)責任
3 新しい徳目の創造
(1)フィロクセニア(異邦人愛)/(2)定刻性/(3)国際性/(4)語学と機器の習得/(5)エウトラペリア(気分転換)
第四章 道徳と論理
1 日本人の道徳意識
2 技術連関と道徳意識の変化
3 行為の論理構造
4 新しい形の技術的抽象
5 科学技術と人間の自己規正
6 火のミュートス
第五章 人間と自然
1 原始自然の中の人間の位置
2 自然と技術連関
3 自然に学ぶ