脳からの神経命令が伝わりにくくなり、筋肉がやせ衰えていくALS(筋萎縮性側索硬化症・きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)。1万人に1人が発症し、原因は不明。治療法は確立されておらず、国内では指定難病に認定されている。近年はメディアなどの題材としてとり上げられ、デジタルコンテンツを使用した患者自身からの発信も増えてALSの認知度が高まってきた。しかし疾患の詳細や、患者が抱える困難の実態の多くは一般的に伝わっていない。東京都新宿区の株式会社HORTON(ホートン)代表取締役の齋藤信弥氏と、妻でホートンケアサービス所長の齋藤智恵子氏は、それぞれ介護福祉士としてALSを含む難病患者の訪問介護を長年にわたって続けてきた。本書では齋藤夫妻をはじめとするホートンケアサービスの介護士、また患者と家族らの取材協力のもと、ALSという疾患、そしていまだ問題が多いとされる重度訪問介護それぞれの今を伝えていく。