人々の生活や文化程度、民主政治への成熟度を意味する民度。
本書は民度をキーワードに、日本の政治の現状を描く。
さまざまなデータや方法論から、投票参加、党派性、投票行動、若年層の行動、テレビ・新聞といったマスメディアや、大きく擡頭するソーシャル・メディアの影響などをトピックとして取り上げ分析。
日本人の政治意識・行動を追う。いま世界で危機に瀕する民主主議。分断とポピュリズムの波は日本まで来たのか。
その「現在地」を描き出す。
【目 次】
まえがき
第1章 政治的概念としての民度
1 定 義――国語辞典から生成AIまで
2 どのように使われて来たか
3 日本での起源――明治期から孕む政治性
第2章 誰が知っているのか
1 認知度と使用経験
2 社会的属性ごとの差異――性別・年齢・学歴
3 政治的態度との関係――関心・政党支持・イデオロギー
第3章 何が左右するのか
1 高低への影響を探る方法――民度コンジョイント実験
2 何が規定するのか
3 拒否政党地盤への判断
第4章 投票率は象徴か
1 参加のコスト
2 投票所問題――削減・遠距離化と「期日前」の限界
3 なぜ日本の投票率は低下したか
第5章 党派性と意思決定
1 無党派層のなかの党派性
2 否定的党派性の到来か
3 党派的選択の功罪――民主主義の進展と後退
第6章 若年層は低いのか
1 政治知識は加齢とともに増えるのか
2 「見た目」で選ぶのか
3 選挙権年齢引き下げへの消極性
第7章 問われた民度――2024年兵庫県知事選
1 知事選はなぜ行われたか――問題と疑惑
2 政策投票となったか
3 感情的分極化と陰謀論の受容
終 章 民度を問う意味――分岐点の日本政治
註 記
あとがき
巻末付録