「なぜ本書が、(中略)かような一大傑作論考として結実したのかといえば、それは結婚が全部悪いのである。」(あとがきより)
「どうして結婚したんですか?」
「どうして結婚したんですか?」
デリカシーに欠けた、無配慮で苛立たしいこの“愚問”がもたらしたのは、人はなぜ冒険するのかという「最大の実存上の謎」への偉大な洞察だった。
43歳をすぎ「人生が下り坂に入った」と自覚する著者が、探検家としての思考の遍歴を網羅した傑作エッセイがついに文庫化。
〈解説〉仲野徹(生命科学者)
目次
序 章 結婚の理由を問うのはなぜ愚問なのか
第一章 テクノロジーと世界疎外関わること その一
第二章 知るとは何か関わること その二
第三章 本質的な存在であること(二〇一九年冬の報告)関わること その三
第四章 漂泊という〈思いつき〉事態について その一
第五章 人はなぜ山に登るのか事態について その二
終 章 人生の固有度と自由
※文庫化にともない、『そこにある山 結婚と冒険について』から『そこにある山 人が一線を越えるとき』に改題しました。