政治という現象をどのようにとらえるか。政治学をどう学べばよいか。政治学の専門分野を深く学ぶための基礎となる、政治学の基本概念や方法・理論を幅広く解説。著者の東京大学での長年の講義に基づく書下ろし。本格的に政治学を学ぼうとする人のために。
【本書「はじめに」より】
本書は、筆者が東京大学法学部で「政治学」として行ってきた授業の講義録に基づいている。赴任が決まった直後に政治学に関わる科目の再編が行われ、「政治学」は、政治理論・政治思想や政治史以外の、実証政治学の入門講義としてカリキュラムの最初に位置づけられた。政治学の専門科目を学ぶための準備として、実証分析に関わる基本的な概念や考え方を網羅するという要請に基づき、参照する既存の講義がないまま構成された。
――(中略)――
本書を通じて最も伝えたいことは、政治という現象の不可思議さであり、政治学の面白さである。政治は、革命や戦争・虐殺から、民主主義における代表や平等の追求まで、異質で多様な現象を含む。社会や人間の幅広い側面に向き合い対応してきた政治学の考え方は、政治学や社会科学を専門としないとしても、社会における様々な問題の解決にも応用できる。政治学を学ぶことを超えて、より多くの人に本書を楽しんでいただけたら望外の喜びである。